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よみもの~中等部編
10 ~side canon-2

「なぁ...」
「えっ?」
急に話しかけられて、びっくりして顔を向けた
なに?その無表情。。。
「俺...」
そう言うと、のど仏がごろん、と上下する
うわぁ。。。のど仏って、こんなに動くもんなんだ。。。
ヘンな所に感心してると、腕が背中に回ったのがわかった
え?なに?なに??
腕ごと、ぎゅっと引っ張られて、体が斜め前につんのめり
とっさに手で海堂君の胸を押すかたちになる
「え?なに?やだ、海堂君?」
「ごめん」
そう言って、反対の腕もからだに巻き付いて来た
うそっ、やっ、ちょっと。。。
一応の抵抗は試みるけど、さすがに男の子だ、全然動けないんだけど。。。
あれ、なんで?
何で私こんなに冷静なのっ?
それでも、もじもじしてると、ぎゅっと腕に力が入った
う、わぁああぁあぁぁあ。。。ぁあ?
。。。急に海堂君の身体が離れ、ごめん、と言うと、ぷいっと他所を向く

しばらくは唖然としてた私。。。
あれ?よく見ると
これって、海堂君のテレてるサイン。。。みたいなんだけど。。。

「海堂君?」
名前を呼ぶと、また一瞬、硬直。。。
そりゃ、緊張もするよねぇ、私もびっくりしたもん
へへっと、笑いが出た
そして海堂君のホッとしたような顔が向けられると
私まで安心してしまう
海堂君の表情、たったコレだけのコトなのに、私すごく心地がいい
その表情をずっとみていたい
見せて欲しい
そう思うのって、わがままかな?
わがまま、言ってもいいかな?

床についた海堂君の手に、自分の手を重ねる
あの日、海堂君がそうしてくれたように
きゅっと握ると、海堂君の手にも力が入るのがわかった

マメで固くなった手のひらが、頬をなでる
触れるか触れないかの、その感触が、くすぐったい
今度は指先で顔の輪郭をなぞるように
くすぐったくて、反射的に海堂君の手をつかんでしまった
おでこに、ふにっ、っと、やわらかいものが当たり、
その感触が、すぅっと離れると、
そこには、海堂君の優しい顔
髪をすくいあげる指
優しいまなざしで見つめてくれる
その視線ですら、くすぐったい
海堂君から、ぷにっ、って一瞬だけ触れるキス
そして、もう一度
さっきよりも少しだけ長め
海堂君が逃げる仕草をする
あれ?なんで?
少しだけ、身体を海堂君に向けて
自分からキスをしてみる
あぁ、ホントだ、これって、結構勇気いるね?

うっすらと笑う海堂君の顔
ゆっくりと、おでこから頬にかけて、なでられる
首筋から髪の毛の間に滑り込んだ指に抱かれ
触れるだけのキスが、唇をついばむようなキスに変わった
息をするタイミングがわからなくて、
ちょっとだけ離れた瞬間に、変な声がでてしまった
海堂君が、びくっと身体を離す
「海堂君...」
ごめん、どうやって息しようか?
なんて、マヌケな質問する人なんていないよねぇ、と、自分で呆れてしまう
それなのに、もうっ、海堂君、全然わかってないみたい
いつもの低くてぼそぼそとした声でつぶやく
「好きだ」
そんな事言われたら、何も言えないじゃない。。。
そう動いた唇が合わさった、と思ったら
海堂君の手が腰の上のあたりにまわって、また身体が引っ張られる
自然と手が海堂君の肩にのっかるカタチになった
不安定な体勢になると、人間、ホント、手を前につくんだねぇ。。。
なんて、またしてもアホな事を考えてると
急に唇が引っ張られて、つい手に力が入る
そして合わせた唇を離す度に
海堂君は、何度も、何度も、好きだ。。。って繰り返す
それ、何かの呪文ですか?
すきだ、かのん。。。
そしてキスを繰り返すたびに、どんどん、間隔がながくなってきて
息がまともにできずに、ぼぅっとなる
も、だめ。。。
「ふわぁ〜」
酸素〜っ
うわ。。。体。。。あっちこっち固まってて、変なとこがツリそう
「クッ...あはははは...」
「何で笑うのっ?」
やだぁ。。。ムードぶちこわしなんですけどぉ
。。。って、私じゃん、へへ。。。

「海堂君」
「うん?」
笑い顔のまま返事
「はじめて名前...よんでくれた、ね?」
「え...」
目をぱちぱち
「ね?」
「...あぁ...さっき」
目線、うろうろ
「さっき?」
「さっき、だけ」
ぷいっ、と、あさっての方向
「だけ?」
「たまに」
ちょっとだけ俯いて
「たまに?」
「恥ずかしいんだよ、バカ」
上目遣い
「バカ?」
海堂君の腕が身体に巻き付く
「すきだ...かのん」
ぎゅっと抱きしめられて、耳元でぼそっ。。。
ソレ反則
力が抜けちゃう
「うん...」
今はそれだけでイッパイ、イッパイ。。。
でも。。。ちょっとだけ試しに呼んでみようか。。。
「...かおるクン...
 ......ぶはっ!あはははははっ
 ダメ、やっぱ慣れない、ムリっ」
ヘン、それ、絶対ヘンだって!!
かおるクンって、かっ。。。ダメ、笑い、止まんないよ

ぎゃはぎゃは笑う私を抱きしめたまま、
とうとう海堂君も笑いはじめた
もう、身体にまわっていた腕にも力が入らないみたいで
二人で向かい合って笑った
さっきの甘いムードは何だったんでしょう?
そんな私だけど。。。私だけど。。。
それでも、コレからも一緒にいてくれる?
それにね。。。
特別のイミが変わった。。。ような気がする。。。
変わったんじゃなくて、気付いただけ、かな?
海堂君はどうなのかな?

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あきゅろす。
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