よみもの~中等部編 7~kaoru 一時間半。。。 普段なら、結構長い時間のはずなのに、 この部屋に籠って、ピアノを聴いていたこの一時間半は、あっという間だったような気がする 内線電話で、もうすぐ俺の家族が、ここに着くことが知らされた ピアノを片付け、2階へ上がると、ダイニングテーブルには料理が並べられている どうやら、立食パーティの形式になるようだ アイツは、おばさんと一緒に、食器やカトラリーを準備し 俺はおじさんと一緒に、リビングのソファやテーブル、そして椅子を配置しなおす 「やっぱり男の子だよね、力仕事手伝ってもらって助かるよ」 そうニコニコしながら、配置をどんどん決めていく 「薫君、お父さんはどんなお酒が好きかな?」 「ビールは、普通に飲むと思いますけど...」 「ワイン、好きかな?」 俺は家で飲んだのはみたことないけど、職場のパーティとかでは飲んでるんじゃないか、 ということを話した 「薫君は、飲まないよね?だめか、未成年だもんね」 あはは、とおじさんは笑う、そして 「でも、奏音ちゃんは、グラスに1/4くらいなら飲むんだよ? やめなさいっていうのに、炭酸ジュースで割ったりして、ね、もったいないんだよなぁ... あれ、コレ、ナイショね」 そう言ってにこにこと笑う 「今日は薫君と奏音ちゃんのお祝いだからね、とっておきを出すよ 薫君もナイショで飲んでみるかい?」 いたずらっ子のような顔で笑うおじさんに俺は唖然としたけど 俺のイタズラ心も、ちょっとだけくすぐられたのも確かだ 程なくして、俺の家族が菊池家へ到着した 挨拶もそこそこに、おばさんとおじさんが、俺の両親を、あの忍者部屋に案内する 葉末は、アイツにべったりで、離れようとしない そして、ピアノを弾いてくれ、と、リビングのあの小さいグランドピアノへと連れて行く オイ、葉末よ、ここはお前の家じゃないだろ?なんだ、その勝手知ったるナントヤラ、は まったく、コイツらホントに仲がいいよな 今は、そんな二人をみることも、俺にとって心地よい 一時期。。。そんな素直な葉末に嫉妬した事があったなんて。。。 本棚には、大量の楽譜 まるで楽器店の楽譜売り場だ その中から、コレコレ。。。と、何冊か取り出し、さっそくピアノを弾き始める 。。。お前、それって葉末のテーマなのか? ぴったりじゃないか、なぁ? [*前へ][次へ#] [戻る] |