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親指筆頭
訪れるは平凡な日々?



政宗に携帯電話を買った。

スマホではなく、スライド式のブルーの携帯。
携帯の後ろには伊達の家紋のシールを張り、更に伊達の家紋のストラップ。
これは私と色違い。
最初はブルブル振動するそれに対抗したり、画面に映る自分の姿に驚いてはいたが、すぐに使いこなすようになった。
飲み込みは早いご様子。



『Hey、終わったのか?』



携帯の向こうから政宗の声。
政宗が来てから2ヶ月が経とうとしている。
会社を出た後、これから帰ります!の電話を掛けるのが日課になった。
まるで、部屋で待つ恋人に連絡をしているみたい。

自分が政宗という存在に助けられている事は事実。
きっと、彼がいなくなってしまった後は泣くだろうし、塞ぎ込む。
寂しくて、苦しくて、今までの平凡な生活に戻ってしまうのが嫌になるだろう。
でも、それでもいいと思えるから不思議だ。

政宗は毎日色んな事を話してくれる。
戦の事や、真田幸村との対戦、奥州の生活。
小十郎の畑の事や、いつきちゃんの話など。
キラキラと眩しい話は、私にとって宝物以外何物でもない。
相手にとても伝わりやすい話し方は、やっぱり一国の主なんだと思う。



「もし、政宗が大きくなったら遊園地行こうね!」



果たせるかも分からない約束もした。



「俺が元に戻ったら、お前、惚れるぜ」



いつだって偉そうで、そしてキザな政宗。
この時代にこんな奴が存在したら、笑われ者になるだろうけど、こうやって話していると、政宗だから許される事なんてたくさんあるんだと思い知らされる。
いつか私は、政宗に恋をするだろう。
惹かれてはいけないと分かっていながらも。



「じゃぁ、惚れさせて貰おうじゃないの♪」



何となく悔しいから、そう言ってやった。
ニヤリと、小さな政宗が笑う。
対抗意識が芽生えるのは、この性格ゆえか、それとも相手が相手だからか……

これから私達に起こる事は決して楽しい事ばかりじゃない。
平凡でも、ほのぼのでもないだろう。
葛藤や苦悩がやって来る。
泣く日も、怒る日も当然やって来る。

それを乗り越える為、今はただ進むのみだ!!



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