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魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
はやて「なんやこの羨ましすぎる展開は!」なのは「はやてちゃんだって私からしたら充分羨ましいからね!」



「兄ちゃん、それちょうだい」


「いや、お前も同じの食ってるだろ」


ここは機動六課の食堂。あれからシグナムとフェイトが目を覚まし、魔力ダメージによるノックダウンとは言え大事をとって二人を医務室に連れて行った後、ユーリ達は昼食をとっている。テーブルではユーリの右側にはやて、左側にヴィータがそれぞれ座っており、近くのテーブルにもなのは達が座っているようだ。ユーリは皿に盛り付けられているパスタをフォークでクルクルとまとめ、横にいるはやての口の中へとそれを運ぶ。端から見たら兄妹というよりただのバカップルである。


「モグモグ……んっ。はぁ〜、やっぱり兄ちゃんの方のパスタは美味しいわぁ♪」


「兄貴!私もくれ!」


横で幸せそうにパスタを食べるはやてを見ながら、ユーリは苦笑いを浮かべる。今まで自身がしてきた事を考えると、こういう時くらいはやて達にも甘えさせてやろう。ユーリはそんな事を思いながら、左側にいるヴィータの口にも同じ様にパスタを運ぶ。


「ご飯ぐらい自分で食べろ」


「嫌や!」「嫌だ!」


ユーリの言葉に対して不機嫌そうな顔で反論するはやてとヴィータ。これだけは絶対に引けないといった二人の雰囲気に、やれやれと頭を抱えるユーリだった。



―――――――――――



「(はやて達、今頃ユーリとお昼食べてるんだろうなぁ)」


所変わって六課の医務室。医療を行う部屋独特の匂いが漂う中、真っ白なカーテンに覆われているベッドの中で身体を休めるフェイトがいた。今頃ユーリと食事を楽しんでいるであろうはやて達を、心の中で羨ましながら何度も何度も寝返りを打ち、終いには「うぅ〜」と唸っている。


「フェイトちゃん、もしかしてどこか体調が悪い……」


不意にカーテンが開き、そこから心配そうな顔をしたシャマルが顔を覗かせる。が……


「でも、さっきは嬉しかったなぁ。ユーリにお姫様抱っこされて……ふふっ♪」


どうやらユーリが、フェイトを医務室へ運んだ時にそうしたのだろう。フェイトはその時の事を思い出すと、枕相手に独り言をぶつぶつ言い始め、頬が赤くなったり顔がにやけたりしている。そしてそんな様子のフェイトを目撃してしまったシャマルは顔を引きつらせ「お、お大事に〜」と言いながら、そっとカーテンを閉めるのだった。



―――――――――――



「フェイト、大丈夫か?」


あれから三十分程経ち、医務室に設置されたカーテンが開いた中、椅子に腰掛け、ベッドに身体を預けているフェイトへ話しかけるユーリがいた。側にある台にお粥の入った器が置いてあるところを見ると、どうやらフェイトとシグナムの食事を持ってきたようだ。同じく椅子に座っているシャマルと隣のベッドに腰をかけているシグナムはユーリが別に持ってきたサンドイッチを既に食べている。


「ごめんねユーリ。大したことないのに……」


フェイトは起き上がると申し訳なさそうな顔で話しだすが、ユーリは気にした様子もなく器に盛ったお粥をスプーンですくってフーフーと冷まし、フェイトの口へそれを運ぼうとする。


「い、いいよ!?自分で食べるから……」


「そうか?別に遠慮しなくてもいいんだぞ?」


どうやらユーリは見た目に似合わず心配性で世話焼きのようだ。フェイトもユーリの押しに負けたらしく、顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにお粥を食べさせてもらっている。それを間近で見ているシグナムとシャマルはもの凄く羨ましそうな顔だ。何かユーリのとっている行動を見るとフェイトの体調が悪いみたいな感じだが、フェイトは魔力ダメージを受け足が少々痺れて動かしづらいというだけである。勿論日常生活は疎か任務にも支障は来さない。


「はむはむ……美味しい!でも食堂にこんなメニューあったっけ?」


何度かユーリに食べさせてもらい何とか恥ずかしさは無くなったフェイトだが、器に入っているお粥を見ながら首を傾げている。それを聞いたシグナムは食べていたサンドイッチを一旦皿に置くと、立ち上がってフェイトの側へと近寄ってくる。


「そのお粥は恐らく兄上がお作りになったものだ。以前主はやてが食べていた物と同じ匂いがするからな」


「そうなんだ。ユーリのお手製……」


途端にフェイトの食べるスピードが早まる。どうやらユーリの手作りというところに理由があるようだ。ユーリもフェイトの食欲を見て安心したのだろう、笑顔を浮かべながらお粥をスプーンですくいフェイトの口に運んでいる。もう一度言っておくが、フェイトは魔力ダメージを受けただけで健康そのものだ。というかその魔力ダメージの原因自体はユーリである。


「お兄さんの心配性は昔っからよね」


「そうだな。私達もどれだけ兄上に良くしてもらったか……」


ユーリとフェイトの様子を見て、自然と顔が綻ぶシャマルとシグナムだった。











後書き
いてミ「匿名さん、ご感想ありがとうございます。ヴァンの技は出来ればその内……それと、もう1人の匿名さんもご指摘ありがとうございました。今は修正済みです。次回もお楽しみに〜」





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