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魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
フェイト「ユーリ、激しす、ぎるよ……」なのは「二人共何やってるの!?」ユーリ「何もしてないから!?」



「(どうやら決めにくるらしいな……)」


上空でデバイスを構えているシグナムとフェイトを見上げながら、ユーリは腰に提げている刀の柄に手を当てている。いつでも反撃できるよう、準備は万全だ。


「(恐らく二人は対応のしにくい両サイドからの挟み撃ち……)」


向こうの出方を考えながら、不敵な笑みを浮かべるユーリだった。



―――――――――――



「(テスタロッサ。私は兄上の右側を攻める)」


「(じゃあ私は左側、だね……了解)」


ユーリの予測は見事に当を得ていた。上空でユーリを見下ろしているシグナムとフェイトは、念話によって互いの攻め方の確認をとっている。その顔には緊張の面持ちが感じられ、ハーケンフォームのバルディッシュを握っているフェイトの手は微かに震えている。


「どうした、今になって恐くなったのか?」


「だ、だってあの次元騎士に突っ込むんだよ?いくら模擬戦でも少しくらい恐いよ……」


フェイトの言っていることは尤もだ。最初に手加減無しと豪語してしまった以上、当然ながらユーリは全力で向かい打ってくるとフェイトは思っている。非殺傷設定とはいえ、やはり攻撃を受けてしまえば痛い。ましてやユーリの攻撃など比べる以前の問題だ。先程ユーリの魔法は手加減していたとシグナムから聞いたことも含めて、身体は自然に反応してしまう。


「だからって、負けるつもりは無いけどね!(ユーリに成長した私を見てもらうんだ!)」


『Load cartridge』


フェイトの声と共にバルディッシュからは薬莢が二つはきだされ、先端に展開された魔力刃は一層輝きを増す。因みにはきだされた薬莢はカートリッジと呼ばれる物で、これを消費することにより魔力を瞬間的に高めることが出来る。


「それでこそテスタロッサだ。レヴァンティン!」


『Explosion』


フェイトの様子を見たシグナムは笑みをこぼすと、レヴァンティンの握る力を強める。そしてレヴァンティンもバルディッシュと同様にカートリッジをロードし、薬莢が二つはきだされる。そして……


「行くぞ!テスタロッサ!」


「了解!」


両者は目にも留まらぬ速さで下降をし始めると、それぞれユーリの横に回り込みながらデバイスを振りかぶる。そのスピードは目で追うだけでも大変で、それを別々に確認しなければいけないユーリは相当の動体視力が求められる。並みの魔導士ではまず対処できないだろう。ユーリはその場でじっとしたまま、体勢を変えない。その間にもシグナム達との距離はどんどん短くなっていく。


「(流石の兄上もこれなら……)」


「(よし!ユーリはこっちの動きについてこれてない!)」

ユーリの様子を見て対応できていないと感じ取ったのだろう。すでに両端へと辿り着いた二人は笑みを浮かべており……


「紫電一閃!」「花散る天幕〈ロサイクトゥス〉!」


全力でデバイスをユーリへと振りかざす。爆発と共に煙が巻き起こり、その余波で辺りは風が吹き荒れる。これで終わった……かに見えた。


「二人共良い攻撃だ……そしてシグナム、この範囲内に入ったってことは、分かるよな?」


ユーリは二人の攻撃を見切っていた。煙がはれて見えたのは、抜刀した刀でレヴァンティンの刀身を受け止め、バルディッシュの魔力刃を鞘で防いでいる笑みを浮かべたユーリの姿。


「嘘!?」


自分達の同時攻撃を防がれたことに驚きの表情を隠せないフェイト。そしてシグナムは……

「拙い!」


ユーリの言葉を聞いてかなり焦っている様子だ。顔は青ざめており、額からは汗が流れ始めている。


「さぁてと、そんじゃ行きますか!」


「「きゃあっ!!」」


ユーリの言葉の直後、三人の足元には直径十メートルはあろうかという魔法陣が突如として現れた。シグナムとフェイトは魔法陣から噴き出された魔力波によって若干空中に浮かされ、可愛らしい声を上げている。


「砕け散れ……」


ユーリは恐ろしい言葉を口にすると、右手に持つ刀を地面に突き刺し……



「絞牙、鳴衝斬!」


「きゃあぁぁぁぁ!……」「うあぁぁぁぁ!……」


魔法陣から高密度の魔力エネルギーを発生させ、二人へとぶつける。シグナムとフェイトはユーリの攻撃に声を上げ、気を失ったのか地面に体がついた後も立ち上がる気配がない。即ち……


『しょ……勝者ユーリさん!』


という訳だ。なのはのアナウンスにより、模擬戦はユーリの勝利で幕を閉じるのだった。











後書き



いてミ「匿名さん、コメントありがとうございます。因みに絞牙鳴衝斬の読みは『コウガメイショウザン』です」


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