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魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
シグナム「あ、兄上……」フェイト「優しく、してね?」ユーリ「誤解を生むから!?」



「何故こんな事になった……」


所々窓ガラスが破壊され、今にも崩れそうなビルが幾つか建ち並んでいる。空もどこか薄暗く、まさに廃墟都市の様な風景。恐らく訓練場の立体プログラムによって再現されたのだろう、そこにユーリの姿があった。理由は分からないが、ユーリはもの凄く顔を引きつらせながら正面を見据えている。その先に……


「ユーリ、手加減無しだよ!」


バリアジャケットを展開し、バルディッシュを両手で持ちながらどこか嬉しそうな顔のフェイトと


「兄上との模擬戦……」


こちらもバリアジャケットを展開し、レヴァンティンを右手に握り締めながらもの思いに耽るシグナムがいた。二人とも顔がほのかに赤らんでおり、先程顔を引きつらせていたユーリはそんな二人を見ると首を傾げていた。何とも鈍感な男である。



―――――――――――



『それでは今からユーリさん対フェイトちゃん、シグナムさんによる模擬戦を始めます。三人とも準備はいい?』


観戦室。其処には素人ではまず分からないであろう機器が幾つかあり、不機嫌そうな顔で椅子に座っているなのはによるアナウンスが訓練場に響き渡っている。はやてやヴィータ、新人達も同じ場所におり、先程いなかった人物までもがいた。


「シャーリーとヴァイス君、いつからおったん?」


同じく椅子に座り、何故か苦笑いをしながら話しているはやて。声をかけるその先には一組の男女が立っていた。


「いやぁ〜、ゆかなの調子はどうかなって思いまして」


眼鏡をかけた如何にもメカニックそうな彼女の名前は、シャリオ フィニーノ。みんなからはシャーリーの愛称で呼ばれ、ここ機動六課の通信主任兼隊員達のデバイス管理を行っている人物だ。仕事をさぼってまで見に来たのだろう。因みにユーリのデバイス、ゆかなの製作者はシャーリーである。


「旦那が来てるって聞いたもんですから」


こちらの男性は、ここ機動六課のヘリパイロットを務める人物。名前は、ヴァイス グランセニック。ユーリの事を旦那と呼んでいる当たり、かなりユーリと親しいようである。


『それでは……始め!』


「始まるみたいだぞ」


なのはのアナウンスにヴィータが反応し、その言葉を受けて観戦室にいるメンバーは、訓練場のユーリ達が映るモニターに目を向けるのだった。



―――――――――――



「白銀の抱擁を受けよ……」


模擬戦の開始と共にユーリは右手を顔の前に構えると、すぐさま詠唱を行う。足元には不思議な魔法陣が出現しており、恐らくはミッド式でもベルカ式でもない。


「この冷気は……!?テスタロッサ!直ぐに離れろ!」


ユーリを見据えながらレヴァンティンを構えていたシグナムは違和感に気付き、何かを思い出したのか驚いた顔をすると、横でバルディッシュを構えているフェイトに注意を促し上空に飛び上がる。フェイトは何が起こっているのか理解していない顔だが、構えを一旦解くとシグナムの後をついて行くように急いで上空へと上がる。


「アブソリュート!」


詠唱の終了と共にユーリが右手を前に出すと……


「くっ!?」


先程シグナムとフェイトがいた場所に氷の刃が無数に現れ、辺り一面を凍り付かせる。その光景はまさに銀世界だ。逃げるタイミングが少し遅れたフェイトは左足に僅かだがダメージを負っているようで、少し苦しそうな顔をしている。


「大丈夫か?テスタロッサ」


「何とか……」


上空ではシグナムが心配そうな表情でフェイトを見ている。フェイトもどうにかシグナムへ追いつき、上空からユーリを見下ろしている。


「兄上は手加減をしていてくれたのだろう」


「あれで手加減してたの!?」


何とも信じがたい言葉がシグナムから発せられた。魔法ランクならSは堅い程のユーリによる凍結魔法。それが手加減だと言うのだ。フェイトの開いた口が塞がらない状態も納得できる。


「き、厳しいね……」


顔を引きつらせながらフェイトは当の本人であるユーリを見ている。厳しい……勝てない、と言わないところにフェイトの強さが見て取れる。流石は管理局随一の執務官だ。シグナムもそんな様子のフェイトを見て覚悟を決めたのだろう。真っ直ぐな瞳で遠目にユーリを見ながら、レヴァンティンを構え直す。


「兄上に小細工は通用しない。勝ちに行くのなら……一撃に全てをかける!」


「全力全壊!は、なのはだったね……私も!」


二人共それぞれデバイスを構えると、次の一撃に全てをかけるため、神経を研ぎ澄ましている。その真剣な表情と漂わせている雰囲気は、歴戦の戦士そのもの。その様子を下から見上げているユーリもまた、いつの間にか左腰に納刀した状態で差している刀に右手をそえると、腰を落として体勢をとる。所謂抜刀術の構えだ。因みに何処からか『全壊じゃなくて全開だよ!』と聞こえてきたのは空耳だろう。


「行くぞ!テスタロッサ!」


「了解!」


模擬戦はそろそろ佳境へと入る……











後書き



いてミ「騎士さん、またまたコメントありがとうございます。物語についてはにじファンで連載していた時と同じ流れで書いていこうと思っています。細かい部分の違いはあったりしますが、以前よりもっと良い作品にできるよう頑張っていきますので、応援していただけると幸いです」





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あきゅろす。
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