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魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
なのは「運命って、残酷だよね……」はやて「(ブルブルブルブル……)」フェイト「はやてどうしたの?」



「……はぁ……」


つい先程、急にセイバーが話を止めたと思ったら何故か落ち込み始め、今ははやて達に挟まれながらため息をついていた。どうやら胸が小さくなった事が原因のようだが、はやて達はユーリの事を聞いている最中なので落ち込まれていては困る。


「セイバー、落ち込んどるとこ悪いんやけど説明を……」



―――――――――――



召喚の儀でセイバーを喚び出すことに成功したユーリとイリヤは、聖杯戦争の監督者、そして自身の恩人である言峰綺礼の父、言峰璃正にマスター登録を申請するため、教会の礼拝堂へと入る。そして礼拝堂の奥へ進むと、そこにはユーリとイリヤの姿に気付いた老人―――言峰璃正が笑顔を浮かべてこちらを見ている。しかし二人のそばにいるセイバーに気付くと険しい表情へと変わり、聖杯戦争に参加したいという話を聞いて更にその顔は険しさを増す。


「私個人の見解として、君達に参加はして欲しくないんだがね……」


璃正は目の前に立つユーリとイリヤを難しい表情で見つめながら、考える。彼は自身の息子である綺礼が保護をした子供、ユーリとイリヤを不憫に思っていた。片や十二才、片や七才の兄妹が二人で生きていくなど辛過ぎる。だからせめて、二人が自立するまでは何不自由ない暮らしをさせてやろう。そう思っていた矢先にこれだ。この子達は聖杯戦争を理解していない。璃正はマスター登録を辞退するように求めるが……


「イヤッ!ぜったいイヤッ!」


「オレ達の事なら心配しないで下さい。イリヤのサーヴァントは、聖杯戦争で絶対的に有利なセイバーのクラスです。自慢じゃないですが、オレもそれなりに戦えます」


「マスターとユーリは、必ず護ると約束します」


璃正の言葉に必死に抵抗するイリヤと、その横で真剣な表情を浮かべながら話すユーリとセイバー。璃正は難しい表情を崩さないが、三人にある条件を提示することで参加を認めた。それは殺し合いとも呼べる聖杯戦争において、勝ち上がるのが不可能に近いほどの難しい条件。


「誰一人として、相手のマスターを殺してはいけない。無理だと思ったら、直ぐにリタイアを宣言すること……守れるかな?」


「「はい!」」


承諾を得ることができて、ユーリとイリヤは笑顔を浮かべた。セイバーはその様子を微笑ましく見守り、三人で教会の自室へと戻る。そして三人が礼拝堂を後にすると、その場に残った璃正は先程から礼拝堂の隅の暗がりに感じる気配へと語りかけた。


「これもお前の計画か?魔術の才があるとはいえ、幼い子供にまで聖杯戦争へ関わらせるとは……」


返答はない。だが確かにそこへ誰かいるようで、礼拝堂の隅ではステンドグラスから漏れる光に照らされて十字架のネックレスがきらめいていた。璃正はその者へ更に語りかける。


「先日行われたあの子達の召喚の儀。私も陰から覗いたが、少女は兎も角あの少年は異質だ。投影魔術自体は珍しくないが、宝具を投影する者など聞いたことがない……兎に角、私はあの子達の応援をするつもりだ。あれだけの才があれば、聖杯戦争を勝ち抜くことも可能だろう」


璃正は話を終えると礼拝堂を去る。そしてその後、苛立ちを思わせる誰かの声が礼拝堂に響き渡るのだった。



―――――――――――



「ユーリとイリヤは、その後聖杯戦争へと身を投じ、見事勝ち進みました。私は敵のサーヴァントを倒し、そしてユーリはそのマスターを倒す。敵も残り一組となり、私達の勝利はほぼ確実のものでした……ですが、ある男の裏切りによって事態は急変します」



―――――――――――



深夜、イギリスの郊外。洋式の建物が連なる風景の中、教会の前に立つユーリとセイバーは月の光に照らされながら、忘れ物をしたイリヤが中から戻ってくるのを待っていた。


「ピクニックじゃないんだから、弁当なんか要らないだろ」


「敵もあと一組なんです。イリヤも嬉しくて待ちきれないんでしょう」


「でももう少し緊張感を持ってだな……」


―――きゃあぁぁぁ!―――


「「!?」」


談笑していた二人だったが、突如教会の中から聞こえてきたイリヤの悲鳴で話は中断される。ユーリとセイバーは驚きの表情を浮かべ、急いで教会の中へと戻った。そしてそこで見たのは……






「お兄、ちゃん……」


自分達を拾ってくれた恩人、言峰綺礼の手に握られたナイフがイリヤの胸に突き刺さった光景。そしてその横で倒れている璃正の頭を踏みつける、黄金の鎧を纏った人物。


「イリ、ヤ?……イリヤあぁぁぁぁ!」



―――――――――――



「酷い……酷すぎる!」


「イリヤが、ユーリが可哀相過ぎるよ!」


「ユーリさんもイリヤちゃんも、その人を信じてたのに!」


セイバーの話を聞いた三人は、涙を流しながら叫んでいた。セイバーは当時の光景を思い出したのか、涙を浮かべながら話し続ける。


「激昂したユーリは、イリヤと璃正を殺害した綺礼、英雄王の二人を圧倒的な力で叩き伏せ、璃正との約束がなければ二人を殺していても不思議ではないほどでした。その後、イリヤが死んだ事で魔力供給が無くなった私と再契約を交わし、急いで聖杯を探しました。イリヤを、璃正を、家族を生き返らせるために……」


セイバーの両手に力が入る。その先を語る事が辛いのか少し言いよどんでしまうが、一呼吸置いて落ち着きを取り戻すと話を再開する。



―――――――――――



教会にて綺礼とギルガメッシュを倒したユーリは、イリヤに代わってセイバーと再契約を交した。そして今はユーリがイリヤを、セイバーが璃正を担いで森の中を駆け抜けていた。道中に連なる木々を避けながら、全速力で両者は駆ける。


「聖杯はどこだ!早くイリヤを、璃正さんを助ける!」


「この先に聖杯の反応があります!森を抜ければイリヤと璃正も……」


休む間もなく走り続ける。二人は疲れている事など気にもせず、その先にあるはずの聖杯を求めて進む。二人を助けるために、こんな筈じゃなかった運命を覆すために。そして森の出口が見えると、二人は更に走るスピードを速めた。しかし、森を抜けた先にあったものは……


「ふざ、けるなよ……」


「これが……聖、杯?」


願いを叶える器とは思えないほど、禍々しい物体が蠢いている姿だった。











後書き


いてミ「どうも、最近コメントが頂けなくていじけているいてミです。誰かコメしてえぇぇぇぇ!……ふぅ、スッキリ。取り敢えず次回をお楽しみにっ!」





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あきゅろす。
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