魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
フェイト「ユーリ……結婚して下さい!」ユーリ「おまえもか!」
「ユーリ、なん、だよね」
「あぁ……五年振りくらいか?」
声を震わせながら、目に涙を浮かべ始めるフェイト。頬は赤みがかっており、その顔は信じられないといった様子だ。ユーリはそんなフェイトにどう返事を返していいのか分からず、頭を掻きながら取り敢えず思ったことを口にする。
「ユーリ!」
フェイトが急に走り出し、その勢いで目に浮かべた涙はキラキラと空中を漂う。そしてユーリに抱き付くと、ユーリが着ている服(教導官の服を赤くしたようなもの)をギュッと握り締め、ユーリの胸の中で静かに涙を流す。その勢いでユーリの両腕に抱き付いていたはやてとヴィータは離れてしまい、二人とももの凄く不機嫌そうな表情だが、空気を読んでか何も言わずにいる。
「良かっ、た。もう、会えない、って思っ、てたから……」
「分かったから。取り敢えず落ち着け、な?」
泣き出すフェイトに慌てふためくユーリだが何とか落ち着かせようと、フェイトの頭を右手で優しく撫でながら、左手で背中をさすっている。
―――――――――――
数分程経ち、その成果もあってか嗚咽も少しずつ収まり、フェイトは目に涙を浮かべたままだがユーリの顔を見上げる。
「あの日からずっと捜してたんだよ?でも全然見つからなくて、結局判ったのは次元騎士ってことだけ」
「すれ違いだったんだろう。二年前からは長期任務で離れていたが、それまでははやての家にもちょくちょく帰ってたしな」
悲しげな表情で話していたフェイトだが、ユーリの『はやての家』辺りの発言を聞くと顔をキョトンとする。そして今まで横で黙っていたはやては限界にきたのか、二人の間に割って入る。
「感動の再会はこれくらいでええやろ!いつまで兄ちゃんに抱きついとんねん!」
はやての兄ちゃん発言にフェイトは漸く事を理解したのか、キョトンとした表情が驚きへと変わると、はやてに言われた通りユーリから離れる。
「えっ!ユーリってはやてのお兄ちゃんだったの!?」
「そうや!」
「ユーリを私に下さい!」
「会話になっとらん!?」
騒がしい様子の二人は放っておき、ユーリは近くで呆然としているエリオとキャロの元へと歩いていく。
「騒がしくてごめんな。二人も機動六課のメンバーなのか?」
「はい!エリオ モンディアル三等陸士です!」
「同じく、キャロ ル ルシエ三等陸士であります!」
苦笑いを浮かべながら話すユーリの質問に、二人は敬礼をしながら元気良く答えている。その様子を見たユーリは一瞬だが悲しそうな表情を浮かべた。当たり前だ。こんな小さな子供までもが前線を担う役を買っていると知れば、そんな表情を浮かべてしまうのも。管理外世界にある紛争地域等では別段珍しい事ではなく、それを知っているユーリは特にはやて達に何かを言おうとは思わない。自分がそばにいる限りはこの子達を、はやて達を何としても守っていこう。エリオとキャロの頭を撫でながら、そんな事を考えるユーリだった。
―――――――――――
「あれ?フェイトちゃん達、どうしたんだろう?」
高町なのはは訓練場の入口で騒いでいるフェイト達を見て首を傾げる。ユーリがなんちゃらとか、兄ちゃんがなんちゃらと聞こえてくるのが分かり、ユーリの部分で何かを思い出したのか「まさかぁ」と笑顔になるが、有り得ないと頭の中で考えながらフェイト達の元へと歩いていく。因みにスバルとティアナはなのはの後ろをついて歩いている。相変わらずティアナはスバルに文句を言っているが。
「二人共、どうした、の……」
はやてとフェイトに声をかけようとするなのはだが、二人のそばにいたエリオ、キャロの頭を撫でているユーリに目が移った瞬間、笑顔のまま顔が固まった。そして右手をわなわな震わせながら人差し指をユーリに向け……
「ど、どうして次元騎士がいるのー!」
フェイトの時と全く同じ反応を見せるなのはだった。
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後書き
いてミ「騎士さんお久しぶりです。まさかコメントを頂けるとは……これからも頑張っていきますので、応援宜しくお願いします」
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