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魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
はやて「ぜ、絶対許さないんだからね!」ユーリ「似合わないからやめとけ」



「ほんまに兄ちゃんや……」


頬を朱色に染め、ユーリに抱き付いたまま幸せそうな顔をするはやて。そんなはやての頭を、優しく右手で撫でているユーリは少し困った表情だ。後ろにいるシグナム達に助けを求めるような顔をするが……


「兄貴、後で私も……」


「その、私は、別に……」


「私もお願いします♪」


ヴィータ、シグナム、シャマルの順で同じく頬を赤らめながら話し出す。はやてやシグナム達が甘えたくなるのも無理はない。ユーリはここ二年の間個人的な問題のためはやて達の元へ帰っておらず、更には通信などの連絡もしなかった。何かあったのではと心配になるのが当たり前だ。ユーリは最後の望みでザフィーラへと視線を向けるが……


「連絡一つ寄越さなかったのだ。自業自得」


「やっぱり?」


きっぱりと断られる。ユーリ自身も分かっていた事だった。自分が離れればはやて達が寂しがることは。だが大切な妹達をほったらかしてまでやらなければいけないことが彼にはあった。はやて達には長期任務と誤魔化しているが、それが何かはこの先分かるだろう。


「はやて、離れてくれないか?そして許してくれると助かるんだが……」


「嫌や。絶対離さへん、許さへん……」


はやての頭に右手を置いたまま左手で自身の頭を掻きつつ話すユーリだが、その言葉ではやては更に抱き付く力を強める。どうやら先ずは、この二年間をはやて達に許してもらうことが第一のようだ。


『まっ、仕方無いでしょうね』


ゆかなもはやて達の味方のようだ。はぁ、と溜め息をつき、窓の外に見える海を眺めるユーリだった。



―――――――――――



所変わって機動六課の訓練場。其処は立体プログラムによって表現された高層ビルが建ち並び、爆発音と共に少女達の気合いの入った声が響き渡っている。前線を担う新人達の訓練が行われているようだ。


「ウイングロード!」


青髪の少女、スバルの前に突如空へと伸びる道が現れた。先天的な魔法資質だろう。スバルはそれに飛び乗ると、足に装着されたローラーを回転させ中々のスピードで空へと駆け上がる。ウイングロードの伸びる先には栗色の髪をサイドポニーにした教導官の女性、高町なのはが浮かんでおり、そのなのは目掛けて一直線だ。


「レイジングハート」


『Axel Shooter』


なのはが言葉を発すると、彼女の右手に握られた杖型のデバイスから機械音声が発せられた。そしてなのはの周りに八つの魔力弾が現れると、その内の半分、つまり四つの魔力弾がウイングロードの上を走るスバルへと襲いかかっていく……


「はあぁぁぁぁ!」


スバルは自身に迫る魔力弾を破壊しようと考え、右手を思い切り振りかぶると力任せに魔力弾を殴りつける。二発の魔力弾を破壊する事に成功した。だが三発目は破壊する事が出来ず、左手を前に出してシールドを張ることによって防ぐ。これで終わりではない。もう一発魔力弾があったはずだ。スバルはそれを見失い、辺りを見回すと後ろから魔力弾が迫ってきていることに気がつく。しかし反応が遅れてしまい……


「うわあぁぁぁ!」


魔力弾は見事に直撃。小規模の爆発が起こり、その衝撃でスバルはウイングロードから落ちるが、何とか道路を表現した地面の上に着地する事が出来た。それを確認したなのはは「スバルは撃墜」と話す。今の言葉を聞いたスバルはがっくりと落ち込んでいる。


「ティアナ、どうする?」


なのはは残り四つの魔力弾を自身の周りで旋空させながらそう叫ぶと、ビルの陰からオレンジ色の髪をツインテールにした少女が両手を挙げながら出て来た。「降参です」と言いながらスバルの横まで歩いていき、それを見たなのはは模擬戦の終了を告げるのだった。



―――――――――――



―――馬鹿スバル!なにいきなり突っ込んでんのよ!―――


「何だ?(それに今の声、聞いたことがあるような……)」


あの後何とかはやて達に今までの事を許してもらい、漸く六課の訓練場へ来ることができたユーリだが……ティアナの叫び声が訓練場に響き渡り、その声に疑問を持っていたところだ。


「ティアナの声やね」


「そうだな」


はやてはユーリの右腕、ヴィータは左腕に抱きつきながら嬉しそうにそれぞれ話す。その後ろをシグナムと狼姿のザフィーラが歩いており、シグナムは何だか不服そうな顔をしている。そしてユーリははやての言葉を聞くと何かを思い出した表情になり、顔を綻ばせ始める。


「(そうか、ティアナの声だったのか。まさかこんな所で会えるとはな……)」


四人と一匹は訓練場の中に入ると、金髪の長い髪をたなびかせた女性と二人の子供の姿を見つける。はやてはその女性へ「フェイトちゃーん!」と呼びかけ、その声に気付いたフェイトと二人の子供が駆け寄ってくる。


「「おはようございます!」」


「はやて、どうし、た、の……」


赤い髪をした男の子エリオと、桃色の髪をした女の子キャロは元気良く挨拶をしているが、フェイトははやてからユーリへと顔を移した瞬間に固まる。そして……


「よっ。久し振りだな、ハラオウン執務官」


何故かフェイトに親しげな態度のユーリと


「な……何で次元騎士がここにいるの!?」


ユーリに右手人差し指を向けながら、もの凄く驚いた顔をするフェイトだった。









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あきゅろす。
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