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魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
ユーリ「はやて……」はやて「兄ちゃん……」ゆかな『私完全に空気ね……』



ミッドチルダ中央区画湾岸地区。海から来る潮風が気持ちよく感じるこの場所には、機動六課と呼ばれる地上部隊が新しく設立され巷で話題を集めている。何せその部隊では、管理局で『エースオブエース』と呼ばれている優秀な魔導士に、若くして多大な実績を上げている執務官がそれぞれ分隊の隊長を兼任し、数年で二等陸佐にまで上り詰めた程の人物が部隊長を務めている。その他にも優秀な魔導士や騎士達が部隊員を務めており、時空管理局の中でも最強と言っていい程の部隊構成である。その理由は色々とあるのだが、ここでは差し控えておく。
そして六課の隊舎の一角にある部屋、部隊長室では、部隊長を務めている八神はやて二等陸佐の姿があった。



―――――――――――



「うーん……」


椅子に座り、デスクの上に広げている書類の数々を見ながら頭を抱えるはやて。その姿に一部隊の隊長と言う威厳はなく、ただただ物事に悩む十九歳の女性である。書類の一枚一枚を手にとっては置き、手にとっては置き……そんな動作ばかり繰り返していると、不意に部屋のドアがノックされる。


「どうぞ〜」


はやての入室を促す声の後に入って来たのは、この部隊で分隊の副隊長を務めるヴィータとシグナム、医務官を務めるシャマルに狼姿のザフィーラである。


「みんなお疲れさん。急に呼んでごめんなぁ」


デスクに寄ってくる三人と一匹にはやては申し訳なさそうに話し、シグナムがそれに代表して気にしないよう答える。そして直後にヴィータが呼ばれた理由を尋ね、シグナム達もヴィータと同じく今日この部屋に呼ばれた理由が分からず、それぞれ耳を傾ける。


「うーん、それなんやけどね……」


困った顔で話し出すはやてに、シグナム達は頭の上にはてなマークを浮かべる。そしてはやての話を聞いていたシグナム達は徐々に怪訝な顔になり……


「……と言うわけなんよ」


はやては困った表情のまま話を終える。


「なる程、新しく六課に編入する人物の詳細データが無いと」


「カリムの紹介やから信用できる人やとは思うんやけど……」


どうやら新しく機動六課に入る人物のデータが不明なため悩んでいたようだ。話を聞いたシグナムは難しい顔をしながら顎に手を当て、はやてに至っては溜め息をつき始める。そんな所に……



―――新しくこの部隊に編入するんだが、部隊長はいるか?―――



ノックの音と共に、ドアの向こう側から男性の声が聞こえてくる。これから世話になる部隊、それもその部隊の隊長に対しての口の聞き方としては余りよろしくない。そういった事に厳しいシグナムは男性の声を聞き、顔をしかめながら「鍛え直してやる」と呟いており、その声が聞こえたはやては苦笑いをしながら……


「丁度来たみたいやな……どうぞ〜」


ドアの向こうにいる男性へ入室するよう促す。そしてドアが開き男性の姿が見え始めると、一番最初にその姿が見えたシャマルは右手で自身の口を塞ぎながら驚いた表情になる。ザフィーラ、ヴィータ、シグナムも同じく姿が見えるとそれぞれ驚いた表情をし、その間にも男性ははやての座るデスクの前へと辿り着く。


「なにみんな幽霊でも見たような顔してんだ」


「だっ、て……」


はやては自身の前に立つ男性を信じられないといった表情で見上げる。そしてその場を立つと、徐々に目を潤ませ始めた。


「ただいま、はやて」


「兄ちゃん!」


はやては目にいっぱいの涙を浮かべたまま椅子を踏み台にジャンプをすると、自身の兄、ユーリ クローベルに抱き付くのだった。





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あきゅろす。
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