魔法少女リリカルなのはStrikerS ―次元騎士―
はやて「そうだ、海鳴へ行こう!」なのは「何か聞いたことがあるような……」
「それじゃあまた後でね、はやてちゃん」
「うん。なのはちゃん達も、また後でな」
翌日の朝。六課の屋上にて、青い空を背景に、なのは、フェイト、FWを乗せたヘリが飛び立つ。それを見送っているはやては、ヘリの巻き起こした風によって揺れる髪を抑えながら手を振っている。どうやら今から任務のようで、なのは達は先に向かうらしい。はやてはなのは達を乗せたヘリが見えなくなると、何故かいきなり身体をプルプル震えさせ始めた。
「いぃぃよっしゃあ!これで兄ちゃんに思う存分甘えられるで!」
…………なる程。なのはやフェイトがいなくなった今、確かにユーリに構ってもらう時間は増える。だがはやては先程「また後でな」と言っていた筈だ。つまり自分も同じく任務へと赴かなければならない。ならないのだが……
「久し振りに家族みんなクラナガンで買い物楽しもうかなぁ。それともそれとも、シグナム達には申し訳ないけど兄ちゃんと二人っきりで……」
見事にサボる気である。手を後ろに組みながらルンルン気分ではやては勝手な事を考えているが、そうは問屋がおろさない。はやては扉のある方へ向きを変え、進もうとするが……誰かに頭をガシッと掴まれた。
「おいこら。何サボろうとしてんだ」
「うっ、兄ちゃん。いや、今言っとった事は……」
ユーリである。はやてにとっては見事にタイミングが悪いとしか言いようがなく笑いながら誤魔化そうとしているが、ユーリは呆れた表情を浮かべるとはやての頭を撫で始める。
「家族の事を考えるのははやての良いとこだが、任務をサボってまでやるってのはいけない……分かるな?」
「うん。ごめんな兄ちゃん(何かよう分からんけど、誤魔化せた?)」
ユーリの勘違いにより何とか難を逃れたはやては頬を紅潮させ嬉しそうな表情を浮かべている。ユーリもそんなはやてを微笑みながら見ており、その場は二人だけのほんわかな空間が広がり始める。そこへ……
「お兄さま〜、準備が出来たですー♪」
「兄貴、待たせてごめん」
小人のような姿、はやてのユニゾンデバイスであるリインフォースツヴァイ(以下リイン略)とアイゼンを片手に担いだヴィータが、ユーリ、はやての元へと近寄ってくる。リインはユーリの肩へと座り、ヴィータはユーリの服にしがみつくように抱き付いた。見た目は可愛い小学生の女の子である。
「主はやてもお出ででしたか」
「お兄さんお待たせしました♪」
シグナム、シャマルも続いてユーリの元へと近寄ってくる。どうやら六課の前線メンバー総出のようだが、ザフィーラの姿が見当たらない。ユーリはその事に首を傾げている。
「兄ちゃん、ザフィーラはお留守番なんよ」
だ、そうだ。何とも影の薄いいn……狼である。ユーリはそれを聞くと、周りにいるみんなを確認し左手を上へと挙げ始める。
「確か地球の海鳴市だったな……」
ユーリがそう呟くと、屋上全体に魔法陣が出現する。どうやら転移魔法のようだ。それも魔法陣の大きさを考えるとかなり魔力を消費しそうである。
「はい……しかし兄上の魔法は何度見ても不思議です。ミッド式でもベルカ式でも無いようですし……」
不思議そうな顔をしながらシグナムが言うとおり、ユーリの使う魔法は何れもミッド式、ベルカ式の魔法陣とは違い、丸い円の中、五亡星を中心に回りを何か文字が刻み込まれた形を成している。
「その疑問はオレも分からないんだ。前も言ったが、レアスキルとしか言い様がないな」
シグナムの言葉に対して困ったような表情を浮かべるユーリは回答を終えると瞳を閉じ、周りはユーリの魔力によって発生した光の粒子でキラキラと輝き始める。
「それじゃあ転移するぞ」
ユーリはそう言うと瞳を開き、はやて達が頷くのを確認すると転移魔法を発動させる。そして……
「転移……開始!」
ユーリ一同、その場から姿を消すのだった。
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後書き
いてミ「騎士さん、コメントありがとうございます。番外編……つまり海鳴編は今から突入します。基本は前ににじファンで記載していたのと同じ流れになります。それでは他の皆様もコメントの方宜しくお願いします」
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