テニスの王子様shortstories
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タイムリミットが近づいて来た。今は午後の二時。後三十分程度で五時間目が終わる。
もう少し、もう少しだ。
「あー、早く終わんねーかなぁ。」
朝からずっとそんなことばかり考えてる。早く見たくてしょうがねえんだ。
仁王先輩の俺への愛を。
「何、そんなに部活行きたいの?」
ケラケラと笑いながら俺に近づいてくるコイツ。思わず、俺は笑いそうになってしまった。
ばーか、ちげえよ。ただ早くお前を殺して貰いたくてウズウズしてんだ。
きっと殺されるなんてこと、コイツは一ミリも思ってなどいないだろう。むしろ今日これからどうしようか、今度の休みに何して遊ぼうなんてお気楽なことを考えているに違いない。
そう思うと本当に吹き出してしまいそうになった。
「んー、まあそんなとこ。」
「へえ、そんなにテニス部って面白いの?」
そう言いながらコイツは俺の手に触れた。
さりげなくコイツは手を触る癖がある。正直言ってキモイ。虫酸が走る。
俺に触って良いのは仁王先輩ただ一人なのに。
「まあな。」
それでも大人な俺はニコリとソイツに笑ってやった。
もしかしたら、今日コイツがキモイせいでリストカットをしてしまうかもしれないな。
バレたらまた仁王先輩に怒られるかな?
それでもいいな、なんて思ってしまう俺は世間一般的にいうドMと言うやつなのだろうか?
「あー…マジで早く学校終われ。」
それで、早く殺されろ。俺の親友くん。
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