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INZM☆小説←
温もり【ガゼバン】




なぜ私は産まれてきたのだろう。
ここにきて、たくさんのひとに知り合うことができた。
ただ、私は何故こんなところにいるんだろうか。“私を残して行った”ひとなんてどこにいるのかも知るわけないだろう。

ただ、私は、


「………」
時計を見ると短い針が2のところにあった。
微妙な時間に起きてしまった。
起き上がってただ壁を見つめた。

寝息が聞こえる。
…は?
布団を捲るとバーンが寝ていた。
なんでバーンと寝ているんだろう。
ゆっくりバーンに近寄りペロリと耳朶を舐めた。
「ん…んー…」
微かに聞こえるバーンの声。
バーンは寝返りをうった。
「…あ…あ、ガゼル…」
やっと起きたのか。頬を抓る。
「なぜ君が私のところで寝ている」
バーンはまだ寝ぼけているのか、ニヤニヤしてる。これにイラッとくる。
するとバーンは手を伸ばしてきた。
そして、私の頬にバーンの手が触れた。
「なんだ。」
「ガゼル………」
まだ寝ぼけているのか。
どんなことをしたら、目が覚めるのだろうか。
「お前…が……の」

そういうとバーンはゆっくり目を閉じた。
「は、はぁ!?…なんだ、バーン。」
頬を抓ったり、頭を叩いたりする。
バーンはまた深い眠りについた。
「チッ」
軽く舌打ちをして、髪をガシガシとする。気づいたらバーンの手は私の手を握ったままであった。
ため息をついた私はそのまま眠りについた。

………夢を見た。
私は暗いところにいて、私の前には、“私を残していった人”がいた。
足を進めていくも、そのひとのところにはたどり着けない。
『待って、置いていくな』
走っても、走っても、そこにはいけなくて、手を伸ばしても。

「……ゼル、ガゼル!!!!」
目を開けるとそこにバーンがいた。
寝汗がひどい。
息切れもひどくて、私は目を見開いた。
「バ、バーン…」
「お前…うなされてたぞ……大丈夫か?」
うなされてた?私が?
「バーン……」
手を伸ばしてバーンに抱きついた。
「ど、どうした…」

ああ、もし。
バーンが私から離れたらどうしよう。
このぬくもりとか。
はぁとため息をついた私。
ゆっくりバーンのTシャツの中に手を入れる。
ビクッとバーンは体が跳ねた。
「…ガゼル…?」
「……バーンは、私から、離れていかないよな…?」
「え。」
起き上がってバーンを押し倒す。
ベットが軋んだ。
「…な?バーン…」
バーンの太股を撫でる。
「っ……」
いつまで経ってもバーンは答えない。

イラッとまたきて、私はバーンの頭を掴んだ。
「な?そうだろ?バーン。私から離れてなんかいかないだろう?」
バーンの目はうるうるとしている。
泣きそうなのか。
「バーンは約束守れないひとなのか?」
「ち、ちげぇ…けど……」
「そうか。」


ただ、私は、寂しいだけで。
自分から“何か”が離れていくのは嫌で。あの夢のように。

「なぁ、バーン。あのとき、なんて言ってたんだ」
「………?何を…」
「………わからないなら、いい」
クスッと笑って、バーンの手を握った。バーンは涙ながらでも力いっぱい握り返した。

“私は、ひとりじゃないんだ”

そう言い聞かせながらバーンを見る。

“あのひととは違う。私を置いてなんかいかない”

“私は…”











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