INZM☆小説← 君のひとことで【ガゼバン】 「あっちーぃな!!」 バーンの大声で一日が始まるようなものだ。 夏になってもギャーギャー騒ぐ。 パタパタとうちわを扇ぐ。 「うるっさいなぁ…もっと静かにできないのか?」 「あーもう嫌だ。夏なんて」 ゴロリとバーンは横に寝転がった。 「じゃぁさ、どっちかが、アイス持って来い。今すぐ。」 「却下。」 ぶつぶつ言いながらバーンは立ち上がる。 なんだかんだと言いながらしてくれる。 そんなバーンが好きだ。 「はい、100円」 冷たいアイス。 ただ、歩かせて100円? 「有り難く頂くよ」 「……いや、100円」 ニコッと笑って、アイスを食べる。 「あっちーぃな!」 「そうだな。」 何回聞いたんだろう。 このやり取りは。 もう聞かないようにするには。 「…バーン」 「あぁ?」 「私は、君のことが。」 バーンの耳元で、囁く。 『 』 アイスを食べ終わって、蝉の鳴き声が響く。 私は立ち上がって、部屋から出た。 バーンは、きっと涼しくなっただろう。 そして、私も涼しくなった。 『…私は、バーンが世界一大好きだ』 もう言わないだろうけど。 バーン顔が真っ赤になっていた。 クスクス私は、笑う。 また、明日も言ってくれるだろうか。 また、バーンが暑い暑い言い出したら、涼ませてやろう。 私のひとことで。 バーンの脳裏に焼き付ければ それで。 [次へ#] |