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ここで会うのは、月に二回。
新月と、満月の日。
それは、最初に交わした大切な約束。
出会った頃。
あまりに幼かった自分には、国を違え住む場所が遠く隔たっている事実が障害になるのだと気付けなかった。
次の約束を交わしても、会えるとは限らない。
何かの理由で訪れられなくなったところで伝える術もない。
その上ですれ違えば、後は偶然を頼るだけ。
時は無情に流れ。
会えない相手をただひたすら待つ。
そんなすれ違いを重ね続けた頃。
偶然を装った必然で、ようやく会えた日に。
彼がくれた。
約束。
大切な、約束。
*
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