第二の人生 11 『それは我が国と他国との関係を幼少期から理解させる為の教本だ』 『そ、それって洗脳教育じゃないっすか……』 『人間共も道徳を育むという名目で魔族退治を夜伽に聞かせている。ふん、あちらの方が余程野蛮な植え付けだと思いますがね』 ソルトさんの言い分はもっともだったが、フィクションの枠はまだおれに根深く嵌っている。 『これ、子どもが読むにしちゃあ分かり難くないか…?』 『概念の基盤は明確な表現よりも多少滲ませた方が効果的に浸透する。貴様の弱いおつむは無駄に屁理屈ばかり達者のようだ、砂に水とは行かないな。教材を間違えたか』 会話途中からぶつぶつと思案し始めるソルトさんに心底肝が冷えた。 あいつ絶対おれを洗脳しようとしてんだろ。 <<>> [戻る] |