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第二の人生


10

からすがないた

『よるはくらくて、なにもみえない。きみがみえない』

こうもりがうたった

『あさはあかるくて、なにもみえない。きみがわからない』

むかしむかし、あさとよるのすきまは、なにもなかった

かみさまは、あさのおうさまがつくった
よるのおうさまは、かみさまはいらないといった
かみさまがほしいよるのものと、かみさまがいらないあさのものは、あさとよるのあいだをうめた
もやして もやして あかくした

あさのおうさまは、かみさまをすてたなかまを、おこった
よるのおうさまは、かみさまをほしがったなかまを、すてた

あいだがうまって、あさとよるは、まえよりずっととおくなった


黒い布団に包まれて、ぼんやり頭に浮かんだ文章は世話係の外交官が持参した教材用“絵本"の冒頭。

『貴様にしては良く読めた方だな。褒めてやる』

細い鉄製の指示棒をパシリとしならせ、教育係の外交官がつまらなそうに心の籠もらない賛辞をくれたのは、二度目の飯を食った後のことだ。
飯を食い終わり、男は軍部へ芝刈りに…ではなく、また仕事へ行って、残念な事にゼノも連れていかれたので、悲しくも鬼教官ソルトさんと二人きりでの勉強会は普段通り執行されたのだ。
にしても、なんか、こえー文章。

桃太郎やらネズミ二匹のほのぼのシリーズで育ったおれにはやや理解に苦しむ内容だった。

魔族の児童向けらしいのだが、その中身たるや鬱々抽象的。
あさとよるの対立は、人間と魔族の敵対関係をなぞったもんだろうとはいくら愚鈍愚鈍と言われ続けているおれにだって、さすがにクセえと感じた。



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