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第二の人生


8

くるまった白い布団の隙間から覗いた先の明るい空間で、残念な美少年もまたおれを見ていた。

真っ直ぐにブレない視線はあの男に似ているが、こっちはやたら活き活きときらめいている。
拒絶の姿勢で臨んでいるおれに、なおも口を開く。


「ここにはお前が望む物が全てある。光、人間、穏やかな民。毎夜求めた物は初めから在るのだ。薄汚い魔族は居ない……。さらに求めるならば、構わん。叶えよう」

初対面のてめえにいつおれが求めたってんだ。

そりゃ太陽は恋しくあったし、人間嫌いの魔族ひしめくあっこは、当の魔族達と対面するまでもなく心苦しいもんだ。
だけど、あそこにはおれの居場所も、出来ていたのに。

……それにこの口振りだ、このガキが人間の可能性は高い。
だからって好きな部類では無いのは確かだ。


「この国はお前を歓迎する。恐れる必要は無いのだ」

ガキの整った顔は、自分の言葉が正しいと信じ切ったような潔白の清々しい表情を浮かべていた。
そして苛つくと同時に、“この国"という言葉にギクリとする。
ここは魔王サマの領地では無い、のか?
………信じられん、拉致られたのかもしかして。

一挙に寄る絶望感。



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