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高銀(短編)
一輪の花


泣かないで
笑っていて…


お前の
無邪気な姿がもう一度見たい


枯れないで
一輪の花



<一輪の花>


戦場で咲く真っ白な花。

場違いと思わんばかりの白さ、強さ、敵に自分を標的とさせ少しでも仲間への攻撃を減らす為に犠牲にでもするかのような…白白白。

『白夜叉』
戦場でついたアイツの呼び名。夜叉のように狂ったように殺し続け、白夜叉には近づくことは死に値しる…



なのに、いつも仲間の前じゃ馬鹿みてェに笑ってばかり。白夜叉がなんて有り様だァ。


俺はそんなアイツが大嫌いだった。


無神経・馬鹿・単純
アイツを言葉に表せばこんなモンだろ。


だが…ふと見ちまった。
戦争で仲間が死んだ時、1人自室で声を殺して泣いていた。

無神経・馬鹿・単純のアイツが1人で泣いて泣いて…


あぁ…いつも馬鹿みてェに笑ってたのはただの『強がり』
本当は戦争なんかやりたくねェし、逃げたいし、怖い。


あの時のアイツの背中は寂しさと今にも壊れてしまいそうな儚さの塊だった。



『あれぇ〜高杉こんなトコで何してんの?』


アイツの自室から少し離れた縁側で休んでいれば、アイツはへらへら笑いながらやって来た。


さっきまで泣いてたクセにいつものように振る舞っている。
さっきのは見間違いか?と思ったが、やはりアイツの目は真っ赤に腫れている。




仲間の前じゃ泣けないか?
テメェには俺も死んじまう存在だと思ってんのか?



敵の標的になるための白装束は、自分を犠牲にして…自分は死んでもいいのか!?


俺は腹の底からアイツが憎らしくなり睨みつけ、アイツの頬を殴った。肌を叩く乾いた音が辺りに響いた。

何が起きたかわからないアイツは呆然と俺を見、そして怒りが爆発した。


『何すんだコノバカヤロー!!!痛ってー本気だろ今の!?蚊?蚊がいたんだよな!?じゃなかったら殺すぞ馬鹿杉』

「俺はテメェの何だ!?他人か!仲間か!ンな安っぽい仲じゃねェだろ!だったら1人で何でも溜め込むんじゃねェよ阿呆。テメェのそういう所が嫌ェなんだ…誰でもいい、誰かに頼ったっていいんだぜ銀時ィ」


俺はアイツをキツく抱き締めて、震えるアイツの身体をもっと抱き締めた。


『何…言ってんだよ…何…言ってん…だ、よ…高杉は俺の…大切な仲間だ。死んで欲しくない仲間だ…よ』


銀時の震える腕はゆっくりと俺の背中へと回された。

『うわっー、ひっぐ…死ぬなー、お前へら゛ー』

『高杉…貴様銀時を泣かしたな!?』

『総督見損ないましたぞ!』

「…俺じゃねェ。多分」

銀時の泣き声を聞きつけた仲間みんなが俺達の周りに集まり、心配しながらも最後には笑い合っていた。


テメェの周りにゃ泣き声を聞きつけてこんなに仲間が集まってくんだぜ?

もう1人なんかじゃねェからな。


戦場に咲く真っ白な一輪の花。

いつの間にか、皆その花を守る為に戦っていた。

そして、この時からか…俺がアイツを仲間以外な感情を芽生え始めたのは。


俺達の光は闇にも簡単になりうる。
だから俺が闇になってやらァ
テメェ…銀時を守る為ならな。
誰よりも脆く儚く、誰よりも強がりなどーしようも無ェテメェをな。








変わりなんて他に居ないんだ。


痛みも苦しみも全てを受け止めるよだから…
泣かないで笑っていてくれ…


たとえ君以外の全ての人を敵に回す時が来ても…

君のこと守り抜くから…



『高杉、お前絶対俺が嫌いだろ!!』

「…ほォ、理由は?」

『いつも馬鹿にするし、馬鹿って本気で思ってるし、いつも睨むし…』

「好きでもねェし、嫌いでもねェなァ。くくっ」

『けっ!!意味不明ーまぁ銀さん優しぃから、お前の背中守ってやるよ!!ただし有料だけどな』

「はっ、頭に乗るな。逆はあるだろうけどなァバーカ」

『バカって言う方がバカなんですぅ!!先生が言ってたろ?やだわ自分で認めてるー高杉君』

『テメェだって今言ったろうが。しかも2回もな』



馬鹿はコイツだけで十分だ。
罪と罰で押しつぶされる前に気付いてやれて良かった。テメェの負担を少しでもいい、俺にかけろ。


今もこれからも…

変わらねェでくれや、銀時ィ。















高杉、

あの時お前が叱咤激励してくんなかったら俺壊れてたわ。

自分の闇に堕ちてとち狂っちまってたな…



感謝、とか恥ずかしいから言わねーけど…なんつーの?

あんがとな。

礼に高杉の背中は守ってやるよ。何があっても…お前が闇に引きずられちまっても俺が助ける!!



白はみんなの道標になって欲しい。

高杉…死ぬなよ。

そん時ゃ、涙流してお前だけの為に泣くから。





完。

―――――――――

突破文。
HIGH and MIGHTY COLORの『一輪の花』はすごく攘夷時代の高銀だと思う…

『たとえ君以外の全ての人を敵に回す時が来ても君のこと守り抜くから

枯れないで
一輪の花』


花は銀時ですね。
初めの

『光がまともに差し込まない
君はまるで日陰に咲いた花の様
望んだ筈じゃなかった場所に根をはらされて動けずにいるんだね』


とか!!
何度聞いても好きだなぁ
BL○ACHには勿体無い←

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あきゅろす。
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