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ヒバードVS私(雲雀/ギャグ)
私のライバルは綺麗な女の子でも可愛い女の子でも草食動物でもない。
そう、私のライバルは…
鳥!!
***
ただ今放課後、応接室。
「ヒバリ、ヒバリ」
「うるさいな餌はさっきやったろ」
「ヒバリ、アソブ!ヒバリ!」
「今僕は忙しいんだよ」
「ヒバリノバカ!バカバカ!」
「ワォ、誰に口聞いてるの?」
……。
鳥が可愛いっていう人いるよね。ちまたではヒバードは可愛いなんていう子もいる。でも正直私はヒバードは嫌いだ。もうなんていうか…焼鳥にしてしまいたいわ!!!
「ナマエコワイ、オニ!」
黙ってヒバードと私の恋人である風紀委員長様、恭弥をじとーっと見ていたらヒバードがなんとひどいことを…!
書類から顔をあげた恭弥はそれはもう怪訝な顔をしていた。
「何、どうかしたの」
「…別に」
「ふぅん」
そう言ってまた書類を見る恭弥。も、もっと話に突っ込んでくれたっていいのに…!
「ミードリタナービクー」
歌いだしたヒバードの声が応接室に響く。うるさいよ、と恭弥。ヒバリアソンデ、やだよ、ヒバリヒバリ!、君人の話聞いてるの。この状況おかしいよ。彼女である私は簡単に放って置かれてるのに、なんでヒバードには構うわけ!?鳥に嫉妬なんかしないよ、してないけど…!!
「…あとで相手するから静かにして」
その言葉に思わず飛び上がりそうになる。私の言葉は無言で流してたくせにヒバードにはちゃんと返事して、更には遊ぶ約束まで…!
もうどっちと付き合ってるのかわからないし!もういいし!なんか悲しくなってきた…っ
「名前?」
私がソファから立ち上がりドアを開けた時やっと恭弥は顔をあげて私を見た。どこ行くの、と聞く恭弥にイライラする。ちゃっかり恭弥の頭に乗っかってるヒバードにはもっとイライラする。
「もう恭弥なんか知らないっ」
捨て台詞(?)を残しダメとはわかっていながら廊下を走って応接室を後にした。息が切れるほど走ってから振り向く。…追いかけてくれたって、いいじゃんか……。
携帯を確認するとメール1件。恭弥からだ。…電話じゃないんだ。
内容は一言。
『何の真似?』
…っておい。全然本気にしてないよていうか何にもわかってないよこの人。ああなんかもう私バカみたいじゃんか。鳥なんかに嫉妬して、勝手に部屋出てって…しかも恭弥は本気にしてなくて。
「…バカみたい……っ」
「だよね。わけわからないよ」
「え!?な、恭弥!?」
「やあ」
やあ、っていつからそこに…!私は廊下にいて、恭弥は教室のドアに佇んでる。不機嫌…ってわけじゃないかもだけど、固く閉ざされた口と組まれた腕がなぜか嫌なオーラを発してる。
「恭弥?あの…」
「勝手に飛び出して何がしたいの?君は」
「それは恭弥が…!」
「僕が?」
うっと言葉につまる。先を言わせないような恭弥の目に圧されて、私は一歩下がった。すると恭弥が一歩近づいてくる。
「なんで逃げるの」
「じゃあなんで近づいてくるの!」
「名前が逃げるからだろ」
「私だって、恭弥が近づいてくるから…っ」
どん、と背中がぶつかり振り向けば窓。そこからは夕暮れの中活動している野球部が見えた。そしてまた目の前に視線を戻す。恭弥の口許がにやり…としたような気がした(気のせいでありたい)。
「もう逃げられないね」
窓に手をおき私を逃がさないようにした恭弥の目はたとえるなら獲物を捕らえたような…
私はというと、恭弥との距離が近くてドキドキしてるなんてまさか言えない。
「恭弥が、悪いんだから…っ」
「ワォ僕が?」
「恭弥がヒバードばっか相手して…私なんか放って置かれてて本当に彼女かわからないし!恭弥だって私よりヒバードのほうが好きなんでしょ?そうだよね恭弥小動物に好かれるし恭弥も嫌いじゃないんだもん私なんかとても小動物とは言えな」
「名前、ちょっと待ちなよ」
今まで俯きかげんに話していたけど恭弥の顔をまっすぐ見つめてみる。怒ったかななんて不安に思っていたのに呆気にとられてしまった。だって恭弥、ちょっと顔を反らしてクツクツ笑ってる。その顔はよくは見えないけど肩が上下してるもの。
「じゃあ何?君は鳥にヤキモチやいてたわけ。僕に構ってもらえなくて」
「そ、そんなこと…!…言った…けど」
「馬鹿だね名前は」
「なっ」
「そういうとこ可愛いけどね」
「〜〜〜っきょ、や何言ってんのっ」
顔赤いよ、とクスッと笑っていう恭弥に、悔しいけど敵う気がしない。そうして恭弥は私の顎を固定し逃がさないようにしてキスをした。こんなこと君としかできないでしょと言って、まるでしてやったりな恭弥を見て、この人は確信犯だと気づいた夕暮れ時。
ヒバードVS私
(構ってもらえなくていじける名前見るの好きなんだよね)(ドS!)(そういう僕が好きなんでしょ?)(なっ…)
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