[携帯モード] [URL送信]


年下の彼2(雲雀HB/15歳)
※ちょびっと注意




机の前に置かれた小さな包みを見て溜息をつく。


(何やってるんだろ、私…)


今日は隣に住む恭弥くんの誕生日。といっても彼とは最近…いや長いことしゃべっていない。昔は仲良かったのにな。
恭弥くんなんて「おねえさん」って言って駆け寄ってきたのに。

恭弥くんは今年で15歳になる。この年頃になるとそんなものか、とも思う。



ただちょっと、寂しい。

だから誕生日を口実に会おうってわけじゃないけど恭弥くんに誕生日プレゼントをあげようと思って。正直恭弥くんの歳の男の子は何がほしいかわからなくてめちゃくちゃ悩んだんだけど…



カーテンをあけて窓から隣の家を見ると明かりがついてない。まだ恭弥くん帰ってないのかな?もう11時すぎてるのに。
誕生日であっても恭弥くんの両親は忙しくて帰れないらしいから、恭弥くんも帰らないとか?


もしかして、誰か付き合ってる子とお祝いしてたり?


そう考えて鈍い痛みが走った。うわ、私もういい歳でしょ。何これ私妬いてるの?最悪最悪最悪。なによ私だって付き合ったりなんだりしたじゃない。
だいたいただのお隣りの男の子だよ?ただの―…


“おねえさんをおよめさんにむかえにいくから”


…いつの話してんだよ私!そんなのとっくに恭弥くん忘れてるから!!


邪念をはらうために頭をポカポカ叩く。あほ、私のあほ!







「やっぱいない、よね」


いろいろ考えたすえ恐る恐る恭弥くんの家のインターホンをならしてみた。真っ暗だからいないってわかってたじゃん。期待しちゃって、私馬鹿すぎる。
それに恭弥くんにとっちゃ私なんてただのお隣りの昔ちょっと遊んだだけのおばさん…


「誰?何やってるの」


完全にマイナス思考に走っていたところ、後ろから声がかかった。想像していたよりも低い声。


振り向くとその人は少し目を見開いた。「…名前」と小さく声をもらす。あれ、名前呼び。そんなことより目の前の男の子は確かに恭弥くんだよね?でも私の頭の中の恭弥くんとはうまく結びつかなくて、

だって私より背が高くなった。

声だって低くなってて。


変わらないのは真っ黒でさらさらな髪と鋭い目つき。
…あれ、頭に乗ってるの鳥?


「えと、久しぶり恭弥くん」


「久しぶりだね」


「なんだかしばらく会わなかったみたい。恭弥くんとはお隣りなのに…うまくすれ違ってたのかな」


「…今日はどうかしたの」


「誕生日おめでとう、って言いたくて」


「それだけ?」


「あとこれ!プレゼント。…って言ってもたいしたものじゃないんだけどね?それからこれケーキなんだけど…つくってみたの」


「手作り?」


「うん」


「ふぅん、そう……ありがと」


その言葉が聞けてよかった。それだけで嬉しくて、でも久々の恭弥くんともっと話がしたくて。


「恭弥くん帰りが遅いんだね」


「風紀の仕事がたまっててね」


彼が着ている学ランの腕についた腕章の安全ピンが暗闇に光った。委員会か。大変だな。

心の片隅で女の子じゃないんだと安心する私。…だからもう!!


「…」


「…」


あれ、沈黙が…。
困ったな…どうしよう。


「…本当は」


会わないつもりだった、と恭弥くんは言う。なんで?私の声は弱々しかった。なんだろ、ずきずきする。


「僕がもう少し大人になるまで会わないつもりだったんだ」


「え…どうして」


「迎えに行くっていったろ?貴方に相応しい男になったら、って」


「…迎えにって…!」


「ワォ忘れたの?僕は忘れたこと一度だってないのに」


「あれは、昔の約束じゃ…」


「そんなのしらない」


ぐいっと引き寄せられたと同時に私の手からケーキが入った箱とプレゼントの包みが地面に落ちた。恭弥くん、と抵抗するけど腰にまわされた腕をほどくことはできない。

昔抱き着いてきた恭弥くんとは違う。あの男の子ではない。
今目の前にいるのは、男の人だ。


「…会わないようにして我慢してたけどもうできない」


「恭弥くん、え、あの」


「好きだよ…名前」


「それは…その」


「名前が女として好きなんだよ。返事はもちろんイエスだよね…?拒否権はないよ?」


「私、もうおばさんだし…!」


「ワォなにいってるの」


「恭弥くんまだ15歳だし、もっとお似合いの子いるんじゃないの?もっと綺麗で可愛くて……んんっ」



突如ふさがれた唇。恭弥くんの唇は変わらず柔らかい。離されることはないキスに空気を取り込むように口を開ければそれを逃さず恭弥くんの舌が入ってきた。
キスは初めてじゃない。
なのにこんなに胸が脈打つ。
こんなに、こんなに…


「確かめようか」


唇を離したあと肩で息を吸う私を見て恭弥くんは何を思い付いたのか口角をあげて言った。


「何、を…」


「名前がおばさんかどうか。さあ入りなよ。どうせ僕ら以外誰もいないんだから。…もしかして初めて?」


「ち、違うけど!」


慌てて否定すると恭弥くんはむっとした表情。けどすぐになんでもないって顔してにやっと笑った。


「じゃあ手加減する必要ないね」






(15歳の君は)(狼でした)





[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!