短編


「んで? ・・・何で此処に俊がいるんだよ?
 生徒会室は関係者以外立ち入り禁止の筈だろ?」


柳の言うとおり。

生徒会室は機密事項を取り扱う為生徒会と関係者以外の部外者は立ち入り禁止になっているのだ



だが生徒会も一生徒
生徒の本文は勉強だ

だからこそ生徒会や先生が信用する生徒に補佐をしてもらい、
少しでも生徒会が学園生活を楽しく謳歌出来るようにしてあげようという制度があるにはある。



その制度は俺も此処に来た時に教えられたから知っている。

だが夏休みに
俺が泣く泣く親父の元に行く時、俊は補佐になったなんて事は全然言ってなかった。

確かに出会ってからそう時間は立っていないが、
もしなったとしたら俺に真っ先に教えてくれるだろう自信はある。




だからこそ補佐でない俊が此処にいる理由を目の前にいる会長に問いただす事にしたのだ。



本当はあまりこいつと2人きりにはなりたくなかったが・・・



それは俺がこいつに好かれているから?
と聞かれたら少し違うが「そうだ」と言えるだろう。



少し違う?
一対何が違うのか



それは・・・








「柳〜vvvV」

「ぅぎゃぁぁぁあああ!!!」



生徒会室に響く身の毛もよだつ悲鳴




悲鳴の主は言わずもなが、柳である。






柳は今生徒会長 基 男(男子校なので当たり前だが・・・)に抱きつかれているという、


全くもって不名誉な出来事に遭遇しているのだ。






「きっ、気持ち悪い!!!離れろ兄貴!!!」

「やっと抱きしめられたvvあぁ癒される〜vvV」

「気持ち悪いんじゃぁ!!このボケナスがぁあああ!!」

バキっ!!

悲鳴の次は綺麗なパンチ恩が鈍く響いた。


もちろんパンチされたのは生徒会長の東條 翔である。


殴った事で漸く離れた翔をとても冷たい眼差しで見る柳。


「痛いなぁ〜いきなりそんな事するもんじゃないぞ☆柳vv」

親が悪い事をした小さい幼子に指を立てて「メッ!」ってするような口調で話す生徒会長に
柳は全身がサブイボ全開になった。


「何がないぞ☆″だよ!!キモイんだよ!!全っ然性格直ってないじゃねぇか!!」

「はぁ口調が荒くなって・・・昔はあんなに可愛かったのに・・・」



此処まで来ればおわかりだろう・・・



実は転校生と生徒会長は実の兄弟なのだ。




昔から顔はいいのに、俺と話すときは鼻を思いっきり伸ばしてデロデロな顔で俺と話すこいつ・・・兄貴は本っっ当に!


気持ち悪かった・・・・



それはもう・・・

俺が中学で全寮制の学校に入ると決断するくらいには・・・




これまで何度このバカ兄貴を抹殺しようかと思っただろう・・・

もう両手を4往復しても足りないだろう。



とにかくそれ位兄貴のブラコン度は凄かった。




こうして少し距離を置いて―
兄貴が責任の重い生徒会に入ったと聞き、
少しマシになったかなっと思った俺が大バカ野郎だったのかもしれない・・・



  むしろ前より一層酷くなってやがる・・・・




「はぁ・・・とにかく俺の質問に答えろよ兄貴」

「・・・答えるから俺のお願い・・・聞いてくれる?」

「(まじで殺したい)・・・何だよ・・・」

俺に冷たくされ、
両手を顔に当ててシクシクと分かりやすい泣きまねをする兄貴をまたブン殴りたくなったが、そこは耐えた。

そしたらお願いだなんて調子に乗った事を言ってきたが、其処は我慢した・・・

 俺は本当に優しいな全く感謝して欲しいぜ


  ・・・ゾクッ

ため息をつきながら了承の言葉を口にした瞬間から、もの凄く嫌な予感がする・・・





「じゃぁあ・・・」

兄貴は俺の言葉に頬を赤く染め、
今度は人差し指のつま先同士を合わせモジモジしながら上目使いをしてきた。

  我が兄貴ながらこれは本当に気持ち悪い人チャンピョンに、いやギネス世界記録に乗れるだろうって位の気持ち悪さだ。

 もう俺の口では皆さんにお伝え出来る言葉がみつからない



身体の奥底から溢れる気持ち悪さを我慢しながら、
俺は速く俊の元へ行きたいが故に何も言わず、兄貴の発言を待った。




「じゃぁあ・・・・柳から俺のほっぺにちゅうしてv?」


・・・・




・・・




・・・・ブチッ






ドカッ!!!バキッ!!!ドスドス!!!




・・・・・・・・




・・・・



・・・




バンッ!!


「調子に乗りやがって!!次俺の視界に入ってきたら次は絶対に抹殺してやる!!」



とにかくあの使えないダメ会長はほっといて、
書記達と一緒に体育館に向かった俊の元へ向かうと決めた俺は全速力で走った。

 だってあいつらと一緒じゃ俊が危なねぇからな!!


 それに俺はまだ俊が足りてない。速く俊を抱きしめて俊不足を解消しなければ!!!


むしろ後者が本音だろうと分かりやすい事を思いながら風の様に廊下をかけて行った。


※廊下は走ってはいけません!!!







「おい翔。先生から頼まれた書類持って来てやったぞ」
「・・・翔?」
「・・・返事がない・・入るぞ」


「・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」


後に風紀委員長は生徒会室に広がる地獄絵図のせいでホラー映画が全く見れなくなったという・・・








[2012・3・18]


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