短編
7
「何バカな事を言ってるんですか柳」
「ほ〜んと。バカな事言わないでよねぇー」
「「「俊は僕(俺)です/の/!!!」」」
ぐあぁぁぁあやっぱりこいつらも俊にやられてやがるぅぅぅ!!!
突如現れた強敵に途方に暮れ、
床に蹲り頭をかきむしる柳。
あまりに勢いよく頭をかきむしるものだから・・・
ポロッ
「「「・・・・・・・・」」」
あまりに掻き毟ったせいで鬘がのいてしまいました。
柳はまだ気が付いていない様で
「ありえない・・・何でこんな事に・・・俺と俊とのスウィ―トライフが・・・」
等とブツブツ呟いています。
一方少し前まで好いていた相手の行き成りの変貌に茫然としてしまった生徒会。
ガチャ
「お茶が入りましたよ〜」
語尾にハートがつきそうな位ニコヤカに言って給仕室から出て来た俊。
今度は柳だけのではなくて会長や会計の分まで入れたみたいで、
盆の上には人数分のカップが湯気を立てている。
流石に今抱きついていたら危ないと、書記はひっつくのを止めてドアを開けてあげている。
「あれ?柳、鬘がのいてるよ?良かったの?」
実は柳は、俊の前だけでは鬘も瓶底眼鏡も外して素の自分で接していた。
だからこそ俊は驚きはしないが、柳は以前
「俊の前ではのけるけど、他の奴の前ではのけちゃダメだって言われているんだ。」
って言っていたのをきちんと覚えていたのだ。
愛しの君の声がした事で漸く独り言を止めて顔をあげた柳
「俊!!!」
「・・・お前の・・・違う・・・」
お前もかぁぁぁああ!!!
俊が視界に入ったと思ったら俊にひっつくように立っている書記も必然的に視界に入って来た。
そしていつもの無表情な顔で淡々と言いのけてきやがった。
言い終えた後書記はさっきの無表情が嘘の様な穏やかな微笑みを作って俊を見た。
その笑みはとても愛しそうで、幸せそうな笑みだった。
「ッ!!」
間違いない。一番の敵はこいつだ。
そう直感した柳の行動は速かった。
「しゅ・・俊っ!?///」
持っていたお盆を預かって机の上に置き、
俊と書記の間に入り俊を俺の腕の中に閉じ込めた。
俊は行き成りの俺の行動に混乱しながら俺から離れようとする。
余談だが、俺のこの行動は僅か2秒。本当に余談だ。
恥ずかしがっている俊は確かに鼻血が出そうな位可愛いが、今はそれよりも
さっきの笑みが嘘のような鋭い目つきでこちらを睨む書記の朱鷺棟・律
こいつが一番の問題だ。
バチバチと火花が飛ぶ
俊は俺の胸に顔をうずめる様になっているので、何が怒っているか分からないながらも、
不穏な空気は感じるのか頭の上で???を飛ばしている。
1分程無言のにらみ合いが続いた所で、今まで傍観者だった会長の東條・柳が相変わらずな俺様口調で間に入って来た。
「てめぇらいい加減にしやがれ。俊が困ってるじゃねぇか。
っていうか俺以外はさっさと始業式に行ってきやがれ!!これ以上此処にいられても邪魔だ!!!
まさか・・・俺の命令が聞けない訳ないよなぁ?」
その絶対零度の微笑みに、皆青ざめた顔をしながら一目散に始業式に向かった。
因みに俺は残った。会長に聞きたい事があったから。
本当は俊と生徒会連中と一緒にさせたくはなかったが、
此処で一度ゆっくり話した方が効率がいいと思ったからだ。
それに会長の目は俺に残れと言っていた。
[2012・2・22]
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