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第四話‐壱
いけ好かない奴




『…くっ!いったいなぁもう!思いっ切り斬りやがってあの犬…!!』


猫芽は奥へ奥へと伝い歩き川へと向かった。


『(あー…見た感じ酷い傷だな…)』


上を脱ぎ川に背を写し見る。



ガサッ…

『………』


苦無を音の場所に投げた。


「ひぃ!!」

『(人間か…)殺されたくなければ今すぐ去れ』

「っあ、あの…見た所お怪我を…」


ギロッ


「ひっ!!っここに薬草を置いていきます故!!」


そう言って男は去って行った。


『………置かれても背中じゃ出来ないんだけど…(まぁ、持っとくだけ持っとくか…)』





――『はぁ…』


猫芽は岩の上で丸くなった。


『(やっと一人になった…)』

ガサガサッ
ガササッ


『(…今度は妖怪か…)』

「…四魂の玉の臭いがするぞぉ」

「この女からか」

「…どうやら寝ているらしい」

「ついでに食っちまおう」

『(…鬼が三匹…いや五匹か…)』


猫芽は化け猫になり一匹の鬼に食いかかった。


「ぎゃあああ!!」


シャー!!


「があっ!!」

『っ!!?(傷が…)』

「今の内に!!」

「「四魂のかけら、よこせー!!」」

『(やば……)』


ドヒュンッ!

ズバッ!!


『!?』

「「「うがあっ!!」」」


猫芽は人間の姿になり、その人物を見た。


『………殺生丸…』

「………」

『…何か用?』

「………」

『……(何とか言えや!!)』


猫芽は溜息をつくと、殺生丸とは逆の方へ歩き出した。


「……どこへ行く」

『…別に』

「貴様は先程からそればかりだな」

『うっさい!どこへ行こうとあたしの勝手だ!』


そう言い歩き出そうとしたが、殺生丸に頭を掴まれ岩に顔面が激突した。


『どべふっ!!』

「……薬草を持っているなら何故使わん」


殺生丸の手には先程猫芽が拾った薬草が握られていた。
手から解放された猫芽は頭だけ上げる。


『(いつの間に…!?)背中だから自分で出来るわけないでしょ!?ってかいきなり頭押し付けてどういうつも…』


グシャッ


『!!?ぎゃーーーっ!!』


俯せ状態の猫芽の衣服を捲ると背中に薬草を押し付けた。

猫芽は飛び起き、涙目になりながら怒鳴った。


『ちょっとあんた!!さっきから一体何なのさ!!』

「………治療してやった者に対しての態度がそれか」

『あんたを庇って出来た傷なんだから治療するのが当たり前……って………』

「……なんだ」

『(やり方はどうであれ)治療…してくれたの……?』

「…だからなんだと言うのだ…」

『………あり』
「私を庇って死んだとなれば、些か後味が悪い」

『………寝る』


そう言って岩で丸くなった。


『(ったく、人が折角礼を言おうと……あの陰険め…!)』


殺生丸は一度それを見遣ると近くの木の上に上り体を休めた。


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