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第八話‐肆




夜も更け皆が寝静まった頃、猫芽は阿吽に寄り掛かり月を見ていた。


『……“よろしく”か…』


一人呟いて、夕方を思い出す。

結局、焼いていた肉は刀々斎が丸呑みしてしまった。そのあと、魚を取ったりして焼いて食べた。その間にもかごめは猫芽に話しかけてきた。


『(…確か村にいた奴も、あんなのがいた…)』


すると、冥加がぴょんと猫芽の肩に乗ってきた。


「殺生丸様とは上手くやってるみたいじゃの」

『そう見えてたら、お前は可笑しい。あいつには“強くなる事”しか見えちゃいないよ』


全く自己中な奴だ、と背伸びをする。


「わしは色んな血を吸ってきたが、お前の母君は親方様と同じくらい旨い血をしておられた…」

『………』

「……お前の一族は皆、使命を果たした素晴らしい一族じゃ」

『死んでちゃ意味ない』




「…………まだ親方様を恨んでおるのか?」

『………』


猫芽は無言のまま冥加を潰した。冥加はひらひらと地面に落ち、気絶してしまった。




『………この手で殺したいくらい憎んでるさ……のうのうと生きてる自分と同じくらい…』















「―――よっこら…しょっどっこい」


翌朝になり、刀々斎とは別れる事になった。


「じゃーの」

「おじいさん一人で逃げる気?」

「犬夜叉は宛にならんからのー」

「そんなぁ」

「ほっとけかごめ。こっちだってそんなじじいに用はねぇんだ」


刀々斎はポンと手を打つと、犬夜叉に歩み寄り鉄砕牙を返せと言う。


「お前に鉄砕牙は使えん。やっぱり叩き折っておく」

「ふざけんなこのじじい」


犬夜叉に殴られ、牛に乗り覚えてろー!と捨て台詞をはいてあっさり去って行った。




『じゃああたしもそろそろ行こうかな。じゃあね』

「え!もう行っちゃうの?」

「残念だね。もう少し話したかったのに」


と、女性陣が話している所に、ドドドドドと走って刀々斎が戻ってきた。

だが、その後ろから光が刀々斎に攻撃し牛もろとも吹っ飛んだ。



「!?殺生丸!!」

「そこに直れ!犬夜叉共々八つ裂きにしてくれる」


現れた殺生丸に、慌てて飛び起きた刀々斎は犬夜叉の後ろに隠れる。


「あ、あ、あんな事言ってる。どうする?」

「じじい、殺生丸に新しい刀打つ気ないんだろ?」

「ない」

「だとよ!俺も鉄砕牙の事で付き纏われんのに、いい加減うんざりしてんだ。そろそろ決着つけさして貰うぜ!!」

「安心しろ」


刀を抜いた犬夜叉に、襲い掛かる殺生丸。

その左腕は、竜の腕となっていた。


「それも今日で終わる…!!貴様に見えぬかぎり……“風の傷”が!!」




第八話
《鉄砕牙と天生牙》



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