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第八話‐弐
「―――いたぁぁぁあああ!!!」


ドォン!!


新たに珊瑚が加わった犬夜叉一行が刀々斎と話していたが、そんな叫びと共に吹っ飛んだ。土煙が晴れ、姿を現したのは拳を震わす猫芽の姿。


「てめぇこら刀々斎!!どこほっつき歩いてた!!」
「き、貴様は殺生丸のとこの…!!」


逃げようとする刀々斎の胸倉を掴む。


「よくもトンズラこきやがったな!!?こっちはあのくそ野郎に言われて夜も寝ずに探し回ってたんだよ!!」
「はてー、トンズラとは何かな」
「こんのくそじじい…!!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ猫芽を遠巻きに犬夜叉達は呆気に取られている。


「あいつは殺生丸といた猫女じゃねぇか」
「確か、猫芽ちゃんだったかしら」
「殺生丸って?」


会った事がない珊瑚が尋ねる。


「犬夜叉の兄です」
「兄弟なのにちっとも似とらんのじゃ」


「とぼけんのもいい加減にしろよコラ!!てめぇのその牛食うぞ!!」
「まー猫芽、その辺にしとけ」
「お前は冥加の…!」
「この間は話ができんかったからの〜。いやーそれにしても暫く見ない間に母君に似てきた。血もさぞかし旨かろうて…」


首に吸い付いてきた冥加を、容赦なく平手で潰した。


「今はどうでもいいんだよ。あたしは奴に言われてきた!覚悟しとけよ刀々斎!!」
「待って!!あなたが来たって事は刀々斎さんの命を狙ってるのって…」
「来てしもうた…」


かごめが言うと刀々斎が冷や汗を流した。遠くの空が光り、頭が二つある妖怪――阿吽に乗った殺生丸が現れた。


「これでお前も終わりだ刀々斎!なははははは!!」


嘲笑うかの様に言うと、その場から離れた。刀々斎はと言うと犬夜叉の後ろに隠れた。


「犬夜叉。何故貴様が刀々斎とつるんでいる」


その言葉に答えたのは、犬夜叉の後ろでこそこそしている刀々斎。


「知れた事、貴様を成敗する為よ」
「ほう、刀々斎。余程死に急いでいると見える」
「ああいやその!あの犬夜叉を倒したら、新しい刀を作ってやってもいいかな〜?なんて」


さっきと違う刀々斎の言葉に詰め寄るかごめだが、お得意のおとぼけをだす刀々斎。


「刀々斎、今の言葉…忘れるなよ…」


始まった兄弟喧嘩に、一行は急いでその場を離れる。
猫芽は阿吽を連れ、一緒に戯れている。


「“似た者”兄弟も大変だねー阿吽」
「ウー?」


犬夜叉は殺生丸の挑発に乗り、頭に血が昇った。鉄砕牙を力任せに振り回し、とうとうその手首を掴まれた。


「どうだ刀々斎。まだ私の刀を打つ気にならんか」
「んーーと………やーなこったー!」


飛び上がり、火を吹いた。犬夜叉と殺生丸の間に火が燃え上がった。


「あくまでも拒むと申すのか?」
「喧しいわ!だいたい、貴様には既に立派な刀を一口与えてあるではないかー!!」


青筋を立ててがなる刀々斎の言葉に、犬夜叉が反応した。
殺生丸の腰にあるのは“天生牙”。これもまた犬夜叉達の父の牙から刀々斎が鍛えたものだ。

兄には天生牙、弟には鉄砕牙を与えよ――これが父からの遺言である。



「鉄砕牙に勝るとも劣らぬ名刀の中の名刀であるぞー!もっと愛着を持ってもよかろうがー!!」
「…このなまくら刀が、私に相応しいと吐かすか…!!」
「おお!!怒っとる怒っとる!!がはははは!!じゃあ逃げるかの!」


金づちを振り上げ、地面にたたき付けた。辺りは一気に火の海となり、その隙に逃げ出した。


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あきゅろす。
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