「―――いたぁぁぁあああ!!!」 ドォン!! 新たに珊瑚が加わった犬夜叉一行が刀々斎と話していたが、そんな叫びと共に吹っ飛んだ。土煙が晴れ、姿を現したのは拳を震わす猫芽の姿。 「てめぇこら刀々斎!!どこほっつき歩いてた!!」 「き、貴様は殺生丸のとこの…!!」 逃げようとする刀々斎の胸倉を掴む。 「よくもトンズラこきやがったな!!?こっちはあのくそ野郎に言われて夜も寝ずに探し回ってたんだよ!!」 「はてー、トンズラとは何かな」 「こんのくそじじい…!!」 ぎゃあぎゃあ騒ぐ猫芽を遠巻きに犬夜叉達は呆気に取られている。 「あいつは殺生丸といた猫女じゃねぇか」 「確か、猫芽ちゃんだったかしら」 「殺生丸って?」 会った事がない珊瑚が尋ねる。 「犬夜叉の兄です」 「兄弟なのにちっとも似とらんのじゃ」 「とぼけんのもいい加減にしろよコラ!!てめぇのその牛食うぞ!!」 「まー猫芽、その辺にしとけ」 「お前は冥加の…!」 「この間は話ができんかったからの〜。いやーそれにしても暫く見ない間に母君に似てきた。血もさぞかし旨かろうて…」 首に吸い付いてきた冥加を、容赦なく平手で潰した。 「今はどうでもいいんだよ。あたしは奴に言われてきた!覚悟しとけよ刀々斎!!」 「待って!!あなたが来たって事は刀々斎さんの命を狙ってるのって…」 「来てしもうた…」 かごめが言うと刀々斎が冷や汗を流した。遠くの空が光り、頭が二つある妖怪――阿吽に乗った殺生丸が現れた。 「これでお前も終わりだ刀々斎!なははははは!!」 嘲笑うかの様に言うと、その場から離れた。刀々斎はと言うと犬夜叉の後ろに隠れた。 「犬夜叉。何故貴様が刀々斎とつるんでいる」 その言葉に答えたのは、犬夜叉の後ろでこそこそしている刀々斎。 「知れた事、貴様を成敗する為よ」 「ほう、刀々斎。余程死に急いでいると見える」 「ああいやその!あの犬夜叉を倒したら、新しい刀を作ってやってもいいかな〜?なんて」 さっきと違う刀々斎の言葉に詰め寄るかごめだが、お得意のおとぼけをだす刀々斎。 「刀々斎、今の言葉…忘れるなよ…」 始まった兄弟喧嘩に、一行は急いでその場を離れる。 猫芽は阿吽を連れ、一緒に戯れている。 「“似た者”兄弟も大変だねー阿吽」 「ウー?」 犬夜叉は殺生丸の挑発に乗り、頭に血が昇った。鉄砕牙を力任せに振り回し、とうとうその手首を掴まれた。 「どうだ刀々斎。まだ私の刀を打つ気にならんか」 「んーーと………やーなこったー!」 飛び上がり、火を吹いた。犬夜叉と殺生丸の間に火が燃え上がった。 「あくまでも拒むと申すのか?」 「喧しいわ!だいたい、貴様には既に立派な刀を一口与えてあるではないかー!!」 青筋を立ててがなる刀々斎の言葉に、犬夜叉が反応した。 殺生丸の腰にあるのは“天生牙”。これもまた犬夜叉達の父の牙から刀々斎が鍛えたものだ。 兄には天生牙、弟には鉄砕牙を与えよ――これが父からの遺言である。 「鉄砕牙に勝るとも劣らぬ名刀の中の名刀であるぞー!もっと愛着を持ってもよかろうがー!!」 「…このなまくら刀が、私に相応しいと吐かすか…!!」 「おお!!怒っとる怒っとる!!がはははは!!じゃあ逃げるかの!」 金づちを振り上げ、地面にたたき付けた。辺りは一気に火の海となり、その隙に逃げ出した。 前次 [戻る] |