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れっつ肝試し


「今晩はー。今日はこの“かぶき町肝試し大会”にお集まり下さり有り難うございまーす。今回は三人一組になって貰い、この弟留曽山の頂上に行ってお札を取ってそのまま下山でーす。標高はそこまで高くないので、遅くても一時間三十分くらいで帰ってこれまーす。ではでは〜れっつ〜」
「「「肝試し〜」」」


と遂に始まった肝試し大会。李野はそれを遠目に見ていた。


「何で俺が多串君なんかと組まないといけないわけェ?まじやなんだけど。な、李野」
「土方だ。俺だってごめんなんだよ。てめェみたいな甘党野郎と一緒にいたら、こっちまで血糖値上がっちまう。だよな水野」
「……新八君、変わってくれ」


李野が見る先には、新八。その隣の山崎は、妙に向かう近藤を必死に押さえている。


「李野さんには同情しますけど、断固拒否です」
「頼むから、お握りあげるから。見て、この小学生みたいなやり取り。永遠に続いてるよ?ループループしてるよ?」
「お握りで僕は動きません」
「神様はなんて残酷なんだ!!騎士(ナイト)と姫を別のチームにするなんて!!誰がお妙さんを守るんだァァァ!!」
「妙ちゃんは僕が守る」
「あら頼もしい、流石九ちゃん。ついでにあのゴリラを塵も残さず消してくれないかしら?」
「局長!!じっとして下さい!!殺されますよ!?」
「姐御がいるからお化けなんてイチコロネ」
「何か言った神楽ちゃん?」
「言ってません」


とまぁ、いつものやり取りを李野は疲れきった表情で見ていた。


「それじゃあ一組目どうぞ!」


一組目だったのは沖田と名もなき真撰組隊士二名。その二名はお化けよりも沖田に恐がっている様子だ。

と、その沖田と目が合った。がふいっと逸らされてしまい、李野は苦笑いした。


「ん?どした」
「…いや…(嫌われてしまったかな…)」
「にしても弟留曽山って何だよ、聞いた事ねェよ。絶対今つけただろ。でる気満々じゃねェかよ」
「ああ、だから弟留曽(デルゾ)山か。しかしいかにも出そうだな。霊がうようよいそうだ」
「きゃあああ!!何この娘言っちゃったよ!!軽々しくそんな言葉使うもんじゃありません!!今すぐ謝りなさい!!」
「んだァ万事屋。てめェもしかしてビビってんのか?ぷぷ、大の大人がこれじゃあガキに察しがつかねェな。な、水野」
「だァれがビビってるって?それはてめェの方だろうが。それにいちいち李野に意見求めてんじゃねェよ。あ、もしかして土方君こないだ李野の乳鷲掴みしたから意識しちゃってんじゃねェの?嫌だねェ、これだからチェリーボーイは」
「誰がチェリーボーイだゴラ。つか、あれはてめェが無理矢理やったんだろ!だいたい誰がこんなちんちくりんに意識するかっ!!」
「………」
「あ…」


そー、と李野を見ると目尻に涙を浮かべ俯いていた。


「あーあ、泣かしちゃった土方君。女の子泣かせるなんて侍の風上にも置けねェな」
「………」


すっかり黙ってしまった土方は気まずそうに頭をかいている。


その李野は、


「(何かループループ見てたら眠くなってきたな…)」


欠伸をしただけだった。




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あきゅろす。
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