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肝試し当日。集合場所の薄気味悪い山の前では人だかりができていた。


「結構人いますねー」
「嫌だァァア!!俺は帰る!!帰るからな!!」
「この期に及んで往生際が悪いアル」


銀時と言えば神楽に引っ張られていた。


「…わかった。銀時は帰れ」
「何言うアルか李野」
「よし、じゃあ俺は帰…」
「あー、でも今帰ったら家に一人だな。いや…もしかしたら誰かいるかも…」
「ぎゃあああ!!やる!!やるからそんな事言わないで!!」


泣きながら頷く銀時をやれやれと見る三人の前に見慣れた黒装束が現れた。


「ゔっやめろ総悟!!引っ張んな!!」
「ひ〜じか〜たさ〜ん、いい加減諦なせェ」
「うっせェ!俺は帰るからな!!屯所明ける訳にはいかねェだろ!!」
「今帰っても一人ですぜィ?夜中にトイレ行けなくても知りやせんよ」
「ぐっ…」
「俺達が帰ったらおしめ取り替えねェといけやせんねィ。ひ〜じかたは〜おねしょやろォ〜」
「わかった!!やりゃあいいんだろ!!」


同じく沖田に引っ張られ連れてこられた土方とその後ろからぞろぞろと真撰組が現れた。


「うわ…デジャヴュだ」
「ここまで来て最悪ネ。キラキラの思い出がパァヨ〜」
「それはこっちの台詞でィチャイナ。折角土方の野郎を廃人にしてやろうと思ってたのに」
「よし、お前斬る」
「あり?旦那もいたんですかィ?てっきり来ないもんだと」
「俺はどこぞのヤニ野郎とは違うんだよ」
「はっ!そういうお前は冷や汗ダラッダラじゃねェか。どしたァ?」
「違いますゥ。これは汗なんですゥ、ノーマルな汗なんですゥ。いやァそれにしても暑いね」
「何だよノーマルって。無機質なのか?お前の汗はナトリウムも何もないのか?」


ギャーギャーと騒がしくなる一同から一歩下がった状態で李野達はそれを見ていた。


「新八君、主達は仲が悪いのか?」
「いつもこうなんですよ、特にあの二人は似た者同士で同族嫌悪っていうか何というか…」
「へぇ。そんなに似ているのか」
「嫌いなものとか一緒だし、性格とかも。本人達は絶対認めませんけど」


取っ組み合う銀時と土方を見ていた李野はふーんと頷いた。


「まぁでもあの二人とはペアになりたくないな」
「同感です」
「そういえばあんたこないだ定食屋にいましたねィ。誰ですかィ?」


突然沖田が李野に話掛けてきたので、李野はそれに驚き声が出なかった。


「この人は新しく入った万事屋の水野李野さんですよ。銀さんの幼なじみなんです。あとちなみに女性です」
「へェ旦那の…(てことは攘夷志士かもな。後で山崎に調べさせるか)」
「………」
「李野さん?」
「…いや…何でもない…」
「この前もだったが、俺の顔に何かついてやすかィ?」


沖田の顔をじっと見る李野に流石に怪訝な顔をする。そして李野はフッと微笑むと沖田の頭にポンと手を乗せた。


「!」
「……主は…拙者の弟に…」


似ている。と言う前にパシッと手を弾かれてしまった。


「………」


沖田は李野を一瞥すると、去って行った。
李野はというと、弾かれた手を少し寂しそうに微笑みながら見ていた。


「…どうしたんですか?」
「……何でもない。…さてくじを引こうか」
「…?」









「――何なんでィ、あいつは…」




殆ど初対面の奴に、頭なんて撫でられたくねェ。


仕方ない、憂さ晴らしに土方の息の根でも止めときやしょう。


「死ね、土方コノヤロー」
「総一郎君んんん!!?俺もいるからね!?巻き込まないでくれないィィ!!?」
「上等じゃねェか!!かかってこい!!」
「土方君んんん!!?」



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あきゅろす。
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