鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー(鈴編) ・ 思わずジッと見詰めて、恥ずかしくなって眼を逸した。しかし隼人が鈴の顎を掴んで前を向かせる。 「あ…」 見詰め合う2人の双眸は、欲に濡れて熱い。 「鈴…」 グッと入って来る熱い屹立が、鈴を何処までもとろけさせ、甘い泣き声を上げさせ続けていた。 「流石に昼帰りはまずかったかな」 玄関の扉の前で、泣きそうな鈴を尻目に隼人がボヤく。腕時計の針は13時を指しており、今日が3連休の金曜日で助かったと安堵の吐息を零す。 −−−だって、マジで腰が怠いんだよ。まだ隼人さんのがお尻に入ってるみたい。 それにこんなに遅くなって(昼過ぎだけど)里桜が心配しているだろう事を考えれば、鈴は落ち着かないでいた。スラックスのポケットから鍵を取り出して解除する。 「た…ただいま」 恐々と扉を開いた鈴は在る筈の里桜の靴が、無い事に気付いた。 「どうした?」 中へ入らない鈴に隼人が訊く。 「兄ちゃん、帰ってないみたい」 鈴は靴を脱ぎ捨てリビングへ向かい、2階の子供部屋を見る。里桜が帰宅した形跡はなかった。何処かへ出掛けているらしい。 階段を降りると、お味噌汁の匂いがした。 「勝手に冷蔵庫開けたよ? 薫さんの書き置き、冷蔵庫にメモが貼ってあった」 見れば『里桜、鈴へ。冷蔵庫にお味噌汁在るから温めてね』とメモに書いてある。 「兄ちゃん、どうしたのかな…友達の家?」 いつもなら、何かメモでも残しているのだが。 「あ」 「どうした? 鈴」 「留守電…」 赤く点滅子機のランプ。見れば里桜の名前がづらりと在る。他に剛の携帯番号。 「鈴?」 「え? あ、ええと〜友達から、ちょっとごめんなさい」 そういえば、3連休に何処か遊びに行く約束をしていたのだ。隼人に断って電話を掛ける。驚いた事に、剛はワンコールで出た。 『鈴、なんだよずーっと出ないで心配すんだろ?』 「ごめんね? ちょっと用事があって留守にしてたんだ…」 紅くなりながら鈴は云う。 『そうか。今大丈夫か? で? どうだった? 相手の家族。良い奴か?』 鈴は、手際良く朝食を作る隼人を見詰める。 「うん、それがね? 聞いてびっくりだよ? 母ちゃんの結婚相手、小早川院長先生だったの」 『そうかそうか〜………何だって?』 「母ちゃん、院長先生とお泊まりで、兄ちゃんはなんか友達の家に出掛けたみたい。珍しいよね?」 「鈴、ご飯出来たよ」 『…ちょっと待て…今聞こえた声はまさか』 「やあ〜久しぶり剛君」 「あ、隼人さん!」 鈴の手に在った子機を取り上げて、勝手に出てしまった隼人に鈴は驚く。 『やいテメエなんで鈴と居るんだよ? ご飯てなんだよ!?』 「ん? メニューはハムエッグとポテトサラダに薫さんお手製のお味噌汁」 『喧嘩売っとんのかこぉらあ!!!』 「やだなあ〜そんなの売っても特になんないよ〜?」 『…鈴に手ぇだしたら只じゃ置かねえぞエロ医者』 隼人はおや? と眉を上げた。 「君には悪いが、鈴は私の大事な宝物だから、そっちこそ手ぇ出したら只じゃ置かないよ? それに、もう昨夜と今朝美味しく頂きました〜。鈴は蕩ける程美味しかったよ?」 「は、隼人さん?」 鈴は頬を染めた。何の会話か知りたくない。絶対禄な事じゃない。 『…てめえ、鈴に手ぇ出したのか!?』 「出したよ? 私のジュニアが大喜び。鈴は私のジュニアを気に入ってくれてね? そりゃあ熱い初体験を私にプレゼントしてくれました」 「隼人さん? 意味知るには怖いんですが」 「怖い? そんな事云う可愛い唇は、また泣かせてしまおうかな?」 隼人は鈴の頭を引き寄せて、仰向かせると唇を重ねた。 「隼人さ!? ん、んん…あ…」 隼人は子機を持ったまま、しかも通話そのままに、剛に聴かせるようにわざと舌の濡れた音を立てて、鈴の口腔内を愛撫する。 「はん…んん…」 『〜〜〜鈴っ!!』 ガチャンと音が鳴り、通話が切れた。 「んあ…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |