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TickeT
望まぬ不死者(8)
「思いついたのはもう一つあってな…。それは、お前を刺せば…いや…コロセば、この死なない体を殺せるんじゃないのかってものなんだ。だから死んでくれないか」

 今までは──負的な感じでも──言葉は感情を纏っていた。しかし最後の言葉はなんとも言えない、感情が伝わってこない、平らで、摩擦の無い、無機質なものだった。

 足取りは緩──というよりなんだか大きな一歩で、軽く飛んでいるかの様──だったが、すぐに目の前にきた。僕は恐怖で自然に後退りし、逃げようと後ろへ体重をかけた。するといきなり胸ぐらを掴まれ、手前に軽く飛ばされた。

「何で逃げるんだよ。逃げるくらいなら早く俺をコロセ。それが一番の解決策だと思うぞ」

「無理だよ、ころすなんて…」

 飛ばされた勢いで体は前倒しになっている。それを起こそうとしたら、恐怖で下半身には力が入らなくなっていた事に気がついた。

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