TickeT 望まぬ不死者(7) 顔を上げずに下ばかり見ていると、すぐ前に金属が落ちた音がした。目だけそちらに向けると、そこにはナイフが落ちていた。 「さあ、それで俺を刺せ。俺をコロセ。そして俺に『死』をくれ」 「だから、できないって言ってるだろ」 僕の声は遠くの闇へと虚しく響くだけだった。 「……」 「……」 僕の哀傷を合図に二人ともしばらく黙っていた。じっとこっちを見ているのは分かったが、僕はずっと下を向いていた。 「だったら仕方ないな」 突然話し──ただ呟いた様にも思えたが──かけてきた。 「これ以上増やしたくなかったんだがな…」 そう言って、もう一本ナイフを取り出した。 [back][next] [戻る] |