TickeT
待ち受ける壁(1)
彼にチケットを貰ってから、何かが起こると言われた七日間の内、三日が過ぎた。
しかし四日目を迎えたというのに、僕は依然として何にも出会っていない。
一日が終わるにつれ、僕の中で二つの泡がどんどん大きくなっていった。
一つの泡は期待から成る正の気持ち。
──昨日は何も起きなかったから、今日こそは何かが起きるだろう──
何も起きないまま一日が終われば、新しく迎えた日は何かに出会える確率が増えていると、実際違ったとしてもそう思うからだ。
もう一つの泡は諦めや虚無感から形成される負の気持ち。
──昨日も何もなかったから、やっぱり何も起こらないんだ──
──このチケットは何の意味も無い、ただの紙切れなんだ──
しかし、負の泡には必ず小さな泡が付いてた。
──でも何かが──
きっとそういう事は誰にでもあるだろう。如何なる人でも、負の言葉でできた上の句には、期待の言葉でできた下の句を繋げてしてしまうものだ。
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