詩集
丘
垢抜けない詩人が
ひとり
ひどく張り出した
大木の枝に座り
丘から広がる世界をえがく
大木の枝はこの丘の頂で
丘の大木は
世界と背くらべをしたがった
世界は何も言わず
だまりこんだまま
丘と
大木の根を背負った
かみさまは
のんびりと
枝から飛び上がると
低く落ちる曇り空で
灰色の空に別れをつげる
灰色の丘の大木には
熟れた林檎がひとつ
蛇から隠れるように
ぶら下がっている
丘の上では
誰も
話さない
ことばだけに
音が聞こえる
かみさまも
何も言わない
←→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!