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詩集
空襲を待つ
雪の降り始めた初冬を
雪頭と言う
これはきっと本当
ではないのだろう
けれどことばは
ふいに木の葉が風を
見せるように
ありもしない冬の頭を
11月の朝の
金属質な空気に変える

映るものも届かない
人の混じらない

煉獄の外の虹

上唇の呟いた訳を
創ることもなく
朽ちていく恐ろしさと
下唇が愚痴ている

下がる電灯を消し
畳の節目に
膝を折り
語らず鎮座して
いつかに語られた
空襲を待つ

ゆるいい草の香が腐る
今この部屋に来たるべき
空襲を待つ
空襲を待つ



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