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詩集
曇天
いつの間にか雪が降り止んで
重なりあう白雲を透かし
日差しが息をつき
黒く縁取られた四角の空が
あたたかな部屋の中に入り込もうと窓をたたいた

通りを歩く人は少なく
そのせいか
空はいくらか大胆に
大きな音を立てて
聞き分けのない窓ガラスを説き伏せようとしていた

寒空はやはり空にも寒空のようで
彼は何も言わず冷ややかな雪雲を折りたたみ
夜へと向けて放り投げた

ここのところ眠りっぱなしの陽が目をさまし
暖色の毛並みがあたりに広がると
空は窓をたたくのをやめ
せわしない足音を立てて
地平線をとび越えていった


窓枠に似た
大人びた空が
街中の屋根に冷たい白雲を作っている




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