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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story41 止まったままの"時"










翌朝、










アイスカウンティーはやはり今日も外は雪




しかし太陽の光でキラキラ輝く雪はこれまた幻想的だ。








今日は朝早くからルナは朝食を作っていた。



恐らくこうでもしていないと落ち着かないのだろう。






そんなルナの手伝いをクロードがやっていた。


だんだんと心を開いてきたのか口数も増えてきた。



ムジカはというと
いつものように椅子の上で二度寝をしている。



しかし今日は目は覚めているようだ。



体は丸めているが目はパッチリあいている。



・・・早くリオナ起きてこないかなぁ。



ムジカは楽しそうにクスクス笑い出す。




すると珍しく寝坊気味のマーシャが大きなあくびをしながら部屋に入ってきた。



「んーいい匂い。今日の朝食はなーんだ・・・ってムジカ?お前なにひとりで笑ってんだよ。」


マーシャは目の前で怪しく笑う少女に後ずさる。


「今日はリオナと雪遊びするの。楽しみだなぁ。」


ムジカはニコニコしながら外の雪を眺めた。


しかしマーシャの表情は少し暗くなる。


「マーシャも一緒に遊ぶ?」


「いや・・ムジカそのことなんだが実はリオナは・・」
「おはよう。」


後ろから聞こえてきた声にマーシャは口元をひきつらせる。


そしてそうっと振り返ると
そこには寝ているB.B.を抱えたリオナが立っていた。


だがリオナの表情はマーシャの予想を裏切り、
いつものように、いや、むしろいつもより穏やかな顔をしていた。


「・・・・おはよう。マーシャ昨日はごめん。」


「い・・・いや、それより大丈夫か?」


「ああ。ピンピンしてる。」


リオナは普通に笑いかけてくる。


しかしマーシャにはそれが妙ににひっかかった。


するとムジカはマーシャを押しのけてリオナの前に立つ。


「リオナ昨日の約束覚えてるっ?」


「うん。雪遊びでしょ?覚えてる覚えてる。」


「やった・・・!!」


ムジカは嬉しそうにいすに座り直す。


「クロード」


「・・・・・・!」


クロードはリオナに呼ばれ
ビクッとした。


そんな彼に近づき
リオナは優しく頭をなでてやった。


「昨日は悪かった。またツリーを見せてやるから。」


「・・・・・うん」


なんか・・・リオナおかしくないか・・・?


無理をしてるのか・・・・気を使ってるのか・・・・それとも・・・・



「・・おいマーシャ?変な顔してる。」


リオナはマーシャの頬をグイッとつねる。


「俺のまじめな顔はそんなに変か。」


「・・・・・・」


「だれかツッコめよ。」


まぁ・・・・とりあえず
リオナは様子を見るしかないか。


「俺が騒いでも仕方ないしぃ。ねー俺。」


「な・・・なんか今日のマーシャ・・・・近寄りがたい・・・」


「ムジカちゃん、遠まわしにキモいと言っているのかな?」


「ちっ・・・違うよ・・!!」






























ダーク・ホーム



パーティーホール




今日は何やらエージェントたちが大勢集まり
がやがやと騒がしい。



もちろんそこには彼らもいた。



「今日ほどいづらいことはないわねぇ。」


「・・・少しの辛抱だ・・・・」


「はーあ!!なんの見せしめだよー!!!あっ!?そこのてめぇ今俺のこと見ただろ!?え!?やんのか!?」


「ら・・・ラードやめないか!!」



シキは暴れるラードを止める。



今日は新たにスペシャルマスターとして着任したキャロル3兄弟と
シキを押しのけ、めでたく第一使用人になったスバルの祝賀会なのだ。



「そうそう知ってるか!?来月から休暇が減るんだとさ!!」


「ウソー!!!信じられないわ・・・!!」


「・・・・・・しかも任務以外でダークホームを出るのを禁じるらしい・・・・・・・」


「わ・・・私死にそうだわ・・・・・」


倒れかかったユリスをベンが支えた。


「マスターも相当キレてんだな!!」


「・・・でも今回の規則追加はスバルの仕業らしい。」


シキの表情が一段と暗くなる。


「はぁ!?アイツが!?」


「・・・スバルは俺が第一使用人の時から俺のやり方がイヤだったらしいしな・・。」


「シキは優しいほうだったのね。」


「・・・当たり前だ。俺はもっと感謝されたかったがな。」


「もしここにマーシャがいたら"俺はいつでもシキに愛を注いでるぜ?"とか言ってるだろうな!」


「そうね・・・。」


しかし一気に空気が暗くなってしまった。


するとその空気を明るくするためか
ユリスは突然声を上げた。


「あーもぉ!!!早く戻ってダーリンとねーたーいー!!!」


「こらユリス・・・!!そんな不埒なことを大声で言うな・・!!」
[そうだそうだ。今日は記念すべき日なんだからな。]
「・・・!?」


突然知らない声が聞こえ、シキたちは全員振り返った。


すると
そこには見知らぬ三人がたっていた。


そのうちの長身の男は静かめで、
もう一人の男は明らかに性格の悪そうな顔をしている。


残りの少女は
表情一つ変えないほど無表情である。



「てめぇら何だよ!あ!!?てかどっかで見た顔だなぁ!?」


ラードはシキの腕を振り払って三人にガンをつけるように近づく。


[まぁ、一言で言うと、アンタらの尻拭いだな。]
[やめないかナツ]
[何も言ってないだろ。]


「ぁあ!?てめぇ俺に殺されてぇのか!?」
「やめろラード!!」
「んなシキ!!」


・・・・コイツらの髪の色・・・全員白・・・・しかもよく見れば顔もそっくりだ・・・


シキはゴクリと息を呑んだ。


「・・・もしかして君らは・・キャロル3兄弟か?」


[・・・そうだ。]
[そこの三人とは前に会ったことあんだけど。確かマーシャ・ロゼッティーとかいうへボと戦闘訓練したときだっけ。てかあいつ逃亡したんだって?やっぱり弱いなぁ。]


「ちょっとアンタ・・・マーシャのことバカにしたら承知しないわよ・・・」


[イイ女がそんなこと言っちゃっていいの?]
[・・・・ナツいい加減にしないか。]
[わかってるって。]


すると長身の男が
ナツとやらを押しのけ
シキに手を差し出してきた。


[俺はハルという。コイツはナツで妹のアキだ。よろしく。]


「ああ・・俺はシキだ。・・・・今はファーストエージェントなんだが・・・」


[ははっ。スバルに蹴落とされたんだろ?]
[ナツ!すまないな・・・気を悪くしないでくれ。]


「ああ・・・大丈夫だ」


シキが少し戸惑っていると、ステージの方から
スタスタと歩いてこちらに向かってくる男がいた。


それは晴れて第一使用人となったスバルだった。


「キャロル様方、間もなく始まりますのでお急ぎを。」


スバルはシキをちらっと見るが
大した反応を見せずそのまま戻っていった。


[それでは我々はこれで。またのちに。]
[じゃーな。]


そして3兄弟もその後に続いて去っていった。


「ヤな感じだな!!」


「マーシャがいたらこてんぱんにアイツらをケナすのにぃ!!」


「・・・・でもいない・・・・・・」


「ベン!悲しいこと言わないで!」


「てかシキ・・!!お前は何とも思わないのかよ!!」


ラードは黙りこくるシキを肘でどつく。


「え・・・いやそりゃあいやな感じはしたが・・ここは弱肉強食の世界だ・・性格なんて関係ない。ただ強さを求めるだけなんだよ・・。」


「・・それ言われたらおしまいね。」


シキ達はそれぞれに深いため息をついた。




「あっシキ!ここにいたのか!」


「・・・?ああコールか?」


人ごみをかき分けやってきたのはコールだった。


「でたよこの悪ガキが!」
「てめぇに言われたきゃねぇよオッサン!!」
「ぁあ!?オッサンだとクソガキ!?そういやぁてめぇ色々リオナをいじめてくれたらしいじゃねぇか!え!?」
「あれは俺なりの愛情表現なんだよ!」
「は!?どんだけひねくれてんだよ!!!」
「うるせぇよ!!!」



ラードとコールが睨み合う。


しかし先に身を引いたのは珍しくもコールの方だった。


「まてまて!話を戻す!!なぁシュナどこにいるかしってるか?」


「あっそういやぁこの間から見ねぇなぁ。」


「ラードがいじめたからよ。全く!」


「俺はいじっただけだ!」


「ぁあ!?またオッサンか!!」


「うるせぇよ!!」


するとシキは少し困ったようにため息をついた。


「・・実は最近体調が悪いみたいでさ・・」


「あ?マジカよ。アイツ弱いな。だからリオナ=ヴァンズマンに金魚の糞みたいにつきまとったのか!」


・・・・金魚の糞って・・・


「そ・・・それはどうかな・・」


「で、アイツ医務室にいんのか?」


「え・・・いやシュナは・・・俺の部屋で寝てるが・・」


「しゃーねぇな!!俺が見舞いにでも行ってやるか!」
「ま・・待ってコール!!」


シキはコールの腕をつかむ。


「ぁあ?」



「シュナは・・今本当に体調がすぐれないみたいなんだ・・・だからまた今度にしてもらえるかな・・」


コールは眉をピクッとさせ
少し訝しげな顔をした。


「医務室のデヴィスにみせたか?」


「いや・・・まだ・・・明日つれてくよ・・」


コールはシキに顔を近づけながら
真意を伺うような目つきをする。


「ふーん。まぁ無理すんなって伝えろよ。アイツに死なれたらリオナ=ヴァンズマンたちを探す手立てがなくなるからな。」


「・・わかった」


「じゃたのんだぜ!」


そう言ってコールは再び人混みに消えた。


しかしそんなコールをラードが目を丸くしてみていた。


「な・・なんかアイツ雰囲気変わったよな・・!?昔はリオナにめちゃくちゃ嫌がらせするイヤーな奴だったのにな!」


「あっ、私噂で聞いたんだけどね!コールってマーシャのことをかなり崇拝してるらしいわよ?だから近くにいるリオナが羨ましかったとか。」


「・・・・・・かわいい奴だな・・・・・」


「しかもムジカの事かなり好きだったみたいだしね。」


「へぇ〜。だから性格編成されてんのか!がははは!!」


ラードとユリスがコールの話で盛り上がっていると、
黙っていたベンがシキに話しかけてきた。


「・・・・・・・シキ・・・・・」


「どうした。」


「・・・・・・シュナのことなんだが・・・・もし、体調が良くなったら、会わせてほしい・・」


ベンの言葉に、
シキは一緒、眉を寄せた。


なぜ、ベンまで・・・・


しかし断る理由もなく、
シキは小さく頷いた。



しばらくすると、
中央ステージにキャロル3兄弟とスバルが姿を現した。



ラード達の顔からは一気に笑顔が消えた。


もちろんエージェントの中にも
感極まり拍手しだす者もいれば
口々に不満を漏らす者達もいた。



「・・私たちの敵は・・・フェイターと"悪魔狩り"だけじゃないかもね。」


「敵か味方かクソがつくくれぇ分からなくなってくるな!」


「・・・・・だが俺たちだけでも正気でいなければ・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」










なにが良くてなにが悪いのか



誰が正しくて誰が間違いなのか


混沌とした世界はまるで時だけが進むだけのように見える



本当は"あの時"からすべてが止まっている事にも気づかずに

































「はいはーい。わかりましたよ。」


マーシャは手に取っていた電話を置いた。


「・・・・なんて言ってた・・・・・・?」


ルナはマーシャにコーヒーを手渡す。


「今日の夜にはファストラインが動くそうだ。要望通り1日で直ったな。」


「・・・・・マーシャが脅すから・・・・・」


ルナは呆れたようにため息をつく。


2人はホテルの窓からリオナとムジカとクロードが遊ぶ姿を眺めていた。


「・・・・リオナは・・大丈夫かしら・・・」


「それがわかればこんなに悩むこともないんですけどねぇ。」


「・・・・・悩んでたの・・・・・?」
「失礼だなぁ。」


2人は黙ってリオナを見つめる。


すると突然
ルナは目を閉じ
窓に手を置いた。


その顔は真剣で
瞼は堅く閉じられている。


「おいルナ・・・・・?」


しかし返事はない。


「まさか・・・・・お前・・・・!」


マーシャはガシッとルナの手を取る。


「リオナの心は読むな・・・・・・!!」


マーシャは顔を歪ませた。


「言ったよな?リオナの心だけは読むなって・・!」


しかしルナは動じることなくマーシャを見つめる。


しかしその瞳にはうっすら涙が浮かび上がっていた。


「・・・・大丈夫よ・・・・・・・」


「・・・・?」


「・・・・・・やっぱり・・・心・・・・読めなくなってるみたい・・・・」


「・・・・・!」


マーシャは握っていた手をそっと離す。


「怒鳴って・・・・・悪かった」


「・・・・・私こそ・・・ゴメンナサイ・・・」


「・・・・・・・・・・」


しばらく沈黙が続く。


しかしマーシャはすぐにいつもの口調で話し出す。


「どうだ?自分の目で世界を見てみて。」


「・・・そうね・・・・・世界は思っていた以上に・・・荒れてるのね・・・・」


ルナは遠くの空を見つめる。


「なぁ俺の顔は?どう思った?」


「・・・・え・・・あ・・・・・・・・」


「どもるなよ。」


「・・・ご・・・ごめんなさい・・・・・・・」


「いいさ。まぁお前も辛いよな。お前にとっては心の目の方がいいもんな。」


「・・・・わ・・・わたしは・・・・・・」
「あっ!」
「・・・・どうしたの・・・・?」


するとマーシャは突然声を上げたかと思うと
なにを思ったのか
リオナの荷物を漁りだす。


そしてカバンから
布に包まれたローズソウルを取り出した。



「・・・・やっぱりな。ルナ見てみろよ」




マーシャは布に包まれたローズソウルをルナに渡す。



「・・・・・・!!・・・色が・・・違う・・・・・」


ローズソウルは赤色からオレンジ色に変わっていた。


「ルナの神の力がなくなったからさ、もしかしたらローズソウルにも変化がでるんじゃないかって思ったんだけど。」


するとルナは驚きで目を丸くしながらローズソウルをそっと握りしめる。


「・・・・・・大変だわ・・・・・・・」


「・・力がなくなったことか?」


「・・・ううん・・・私の力が無くなることは別にいいの・・・・・・・・ただ・・・ローズソウルの封印が・・・・・とれかけてきてる・・・・・」


マーシャはビクッとする。


「それって・・神が復活するのか?」


「・・・・ううん・・・・神の復活はすべてのローズソウルが揃ってその封印を解いて初めて復活を遂げるの・・・・・ただ・・・ローズソウルが揃わない状態で封印がとれてしまうと・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・世界が破滅を迎える」


「・・・・・!?」


ルナとマーシャは
声のした方をバッと振り返った。


「クロードか!?リオナとムジカもいつの間に!」


いつの間にか帰ってきていたリオナたちにマーシャとルナは驚きを隠せない。


「・・つい今だよ。あっ邪魔だった?」


リオナがいやらしく笑う。


「バカやろう。」


マーシャに小突かれながらも
リオナは気を取り直してクロードを見る。


「・・・というかなんでクロードは知ってるんだ?」


「・・・・・・・・・・・・常識」


「・・・・・へぇ・・・そう。」


・・・・・やっぱり生意気だ


リオナは殺気を出しながらクロードを睨む。


「・・・・・・・・・世界は神の力にやられ・・・すべての人間が化身となる・・・・・・・・」


「ってことわよぉ・・・」


《早くローズソウルを集めなきゃやばくね!?》


「バカ・・・集めたら逆に神が復活するだろ。」


「じゃあ・・・・また封印し直さなきゃだめなの?」


「・・・・・・・そうなるわ・・・・・・・・」


誰もが口をぼっかり開ける。


「でも封印の仕方なんてわかんねぇじゃん。このまま世界が滅びるのを指くわえてみてるしかないってか?」


「・・・・でも・・・・方法は・・・2つあるわ・・・・・・・・・・」


「・・・・どんな?」


「・・・・・ひとつは・・さっきB.B.が言ったように・・・ローズソウルを集めて神を復活させる・・・・・・・・・」


「それ自体滅びの道だな。」


「・・そうね・・・・・それで二つ目は・・・・"コウヤ"という男をさがすのよ・・・」


するとリオナはハッとしたような顔をする。


「"コウヤ"って・・・神を封印するためにその知識を各国の王に授けたっていう賢者か?」


「・・・・・ええ・・・・」


「リオナすごい・・・・!」


ムジカは目を輝かせてリオナを見る。


「む・・・昔読んだ本に書いてあっただけだ・・」


「違う違う。俺がリオナ君に読んで聞かせてやったんだよなぁ?たしか夜眠れないとか言ってさ。あの頃はあの頃でかわいかったなぁ。今も可愛いけど。」


「うるさい・・・!!」


「でもその本には"コウヤ"は伝説上の人物だって書いてあったぞ?」


「・・・そうそう。実際に"コウヤ"を見た者はいなくて記録にも残っていないんだ。」


「・・・・・・・・・・・・・・でも僕その人にあったことあるよ。」


「!?!?」


リオナ達は目を丸くしてクロードを見た。


「・・・・・・・・・・・・・・僕その"コウヤ"って人に助けられたんだ。」


「まじかよ」


「なんかお化けみたい・・・・」


ムジカは顔を青くする。


「・・・・コウヤは存在するわ・・・・・・私も何度も会ったことがある・・・・・・」


「じゃあソイツを連れてきてローズソウルを封印させよう。」


しかしルナの表情が一気に暗くなった。


「・・・・・・・でも彼は・・・・・・なかなか姿を現さないわ・・・・・・」


「・・・・そうなんだ。」


「やっぱ賢者だから姿を現さないのか。」


「・・・・・い・・・・・いいえ・・・・彼は・・・・・ただたんに気まぐれなの・・・・・・・・・」


「・・・・は?」


「・・・・・コウヤは・・偽善者でもあり偽悪者でもある・・・・・・悪も正義も関係ない・・・・自分がやりたいと思ったことだけやるの・・・・」


「それってただの・・・」
「自己中だな。」


「・・・だから神の封印を教えたのも気紛れらしいわ・・・・・・・・・・・・・」


・・・・・ヤな奴・・・


「・・・じゃあさ、ソイツはこの世界が滅んでもイイってわけか?」


「・・・・・・・賢者の彼には関係ないから・・・・・・・」


・・・・・・なんでそんな奴が賢者なんだよ・・・・・・・・


「でもソイツを探すしかないだろ。どこにいるかとかわからないのか?」


「・・・彼は世界中を転々としてるわ・・・・・大きな事件とかが起きれば必ず現れるんだけど・・・・あとは彼の好奇心を引き寄せるしか・・・」


「・・・・運任せか」


「ったく面倒な奴だなぁ」


マーシャに似てるだろ・・・


「じゃあこっちから探すのは無理なんだな。」


「・・・・・恐らく・・まだ封印はとれないわ・・・・だから慌てなくても大丈夫だと思うわ・・・」


「まぁとりあえず俺たちはUWを目指そう。それからだ。」


「・・そうだな。」


ルナはローズソウルをリオナに返す。


「あっ、お前らファストラインが夜には動くらしいぜ。だから今のウチに必要なもの用意しとけ」


《オイラねー!クリスマ・・・》
「・・・・B.B.には買わないからな。」
《ひどーい!!!》


B.B.とリオナがお決まりの喧嘩を始める。


「あーあ。アイツらまぁたケンカしやがってぇ。」


「あ・・・・マーシャ・・!!」


「んあ?」



突然ルナに呼び止められ
マーシャは少し驚いた顔をした。


「どうしたよ?」


ルナはどもりながら話し出す。


「・・・あ・・・あの・・・・・・さっきマーシャが顔どうかって・・・聞いたでしょ・・・?」


「ああ、あのことまだ気にしてたのか?別にノリで聞いただけだから気にすん」
「私・・!!!・・マーシャの顔・・・好き・・よ・・」
「・・・・・・・」

突然の告白にマーシャは口をぽかんと開ける。


しかしルナは顔を真っ赤にさせていた。


マーシャはようやく状況把握ができたようで、
驚きながら顔を赤くする。


「あ・・・・好きって・・・・・そういうことじゃなくて・・・・!!あ・・あの・・イメージ通り優しい顔だったから・・・・!!・・わ・・・わたしなに言ってるのかな・・・・ごめんね・・・・!」


ルナはそう言って顔を押さえたままマーシャの横を通り過ぎる。


「まった!」


するとその瞬間
マーシャに腕をガシッと掴まれた。


「ちょっとまてよ。」


「・・・ぇ・・・・」


そしてちょっと照れくさそうに頭をかいた。


「あ・・ありがとよ。・・優しいなんて言われたの、リオナ以来だ。」


ルナは少し目を見開く。


「・・・マーシャ・・・・・・・」


「わかったか?これが世に言うイケメンだ。」


「・・・ふふっ!・・はいはい・・・!」


「あっ、今笑っただろ。最悪ー。」


「わ・・・・笑わせたのはマーシャでしょ・・・・!!」


「勝手に笑ったんじゃん?」


「・・・・ひどい・・・・・・・」


ルナの頬を膨らます表情を見て
マーシャはクスクス笑う。



・・・・・ルナもやっぱり人間だな・・。


「な・・・なによ・・・・・・・!?」


「いーや。何でもない。」








優しい・・・・か。















本当に優しかったらいいんだけどな。






















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