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それは嫉妬。それは恋。(影白)※キス描写若干有

「なぁなぁローグ、仕事行こうぜ!」

朝、というものは未だに馴れない。どうも俺は影という性質上(?)朝に弱いらしい。長年一緒にコンビをやってきているスティングも、それを知っている。ーーー俺は朝はあまり機嫌がよくない、と。

「…朝から騒々しい」
「えー!俺、いつもこんな感じだろ!?」
「………………はぁ」

頭がいたい。
ついこの前……………大魔闘演武が始まる前までは、少なくとも朝から俺に頻繁に話しかけてくるようなことはなかったはずだ。だが現実、スティングはお決まりのハイテンションで話しかけてくる。なんなんだ、この変わりようは。あれか、ナツ・ドラグニルの影響か。


ーーーナツ・ドラグニル。
自ら名前を出しておきながら、何故か気分が悪い。
ナツ・ドラグニル、スティングの憧れの人。…そんなもの、とうの昔に知っている。それなのに、何故。

「…ぐ……………ろーぐ……………ローグってば!」

沈みかけた思考がスティングに無理矢理引き戻される。

「なんだ馬鹿。聞いている。五月蝿いぞ馬鹿」

「馬鹿って…!二回も言うなよ!」

些細なことにぎゃんぎゃん喚くスティングの額を軽く小突く。いてっ、と小さく呻いたと思うと、唇をとがらせなにやら文句を呟いている。
…まぁそれはいつものことなので放っておくとして、今気になるのは。

「…スティング」

「なんだよローグ…って、おま、なにしてーーーんっ」

ほぼ衝動的に、といって良いだろう。俺はスティングの顎に手を添えると一気に引き寄せ、その唇へとキスを落とした。
男の癖にやけに柔らかい唇の感触に、何故だか愛しさを覚える。

「…!……………、…!」

息が苦しくなってきたのか、スティングが胸元を叩いてきた。少し唇を離してやると、呼吸をするためスティングが口を開いた。

「……………っふは…ロー…グっ、なにすんだ…ぁ!?」

荒い息を交えながら文句を言い出すスティング。俺は煩いと告げる代わりに、先程よりも深いキスをしてみせる。

「っふぁ!?………………んん、ん………ぅん…っ」

後頭部を押さえ逃げられないようにしてから、ゆっくりと舌を絡める。
吸い上げたり、口内を掻き乱したり、唇に噛みついてみたり。快楽を与えるようにしてやると、スティングの身体から力が徐々に抜けていくのがわかる。生理的なものだろうか。目の端には涙が溜まっている。

「ろぉ…ぐ…も、やめ…!」

さすがにここら辺で止めなくてはいけないか…と理性のブレーキがかかったらしい。俺はスティングから離れてやる。
するとスティングは。

「っばかばかばかばかローグのばか!なにするんだいきなり!あ、あんな…!」

顔を真っ赤にしながら俺のことを睨んできた。

「あんな…なんだ?」

「は!?なっ、なんだじゃねえよ!ばか!朝から盛ってんじゃねーよ変態!エローグ!」

「…うまいこと言ったつもりか」

「そういう話じゃねぇ!」

最初と同じようにぎゃんぎゃん騒ぎ出すスティングに、俺は黙らせる意図も込めて囁く。

「……………まだしたいのか?あんな…を」

「〜!?ろ、ろーぐのばかやろー!!」

顔を真っ赤にし走り去るスティングの姿を眺めながら、悪くないな…と俺は笑いを溢した。



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