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Novel
★【男主夢】12星座と濃い物語09








〜夜空の廊下〜




金属の扉をそっと閉じて、無傷で"獅子座の部屋"を抜けられた事に安堵する。次は乙女座か……、夜久とか理事長かなぁ。…いや、性別と星座は関係ないか。
ぼんやりとしながら"夜空の廊下"を進む。扉の近くにいろって言ったのに神楽坂の奴どこにい…


「わっ」


「うぎゃああああーっ!?」


…い、ぃいたぁぁぁ!!?
背後からいきなり背中を押され、俺は仰天して思わず絶叫してしまった。な、なんか懐かしいノリだ……神楽坂のドッキリ。最初は驚かされてばかりだったからな…。


「お、驚かすなよ…!」


「アンタが…近くで待ってろって言うから…」


「誰も驚かせとは言ってねぇよ!」


まったく!なんなんだコイツは!…そういえば、突然姿を現すだけじゃなく神楽坂は姿を消す事も出来るんだっけ…。この世界に放り込まれてすぐの時よりも神楽坂との距離は縮まったように感じるが、決まり事とは言え様々な秘密を一切口にしないと壁を感じてしまうものだ。それだけじゃない。よく分からないシュー…という音、不審な態度、鱗……。よくよく考えたら、神楽坂には謎が多過ぎた。


「…どうか…した?」


急に黙り込んだ俺の顔を覗き込み、神楽坂は首を傾げる。一思いに聞いてみるべきだろうか?……えぇい!聞く!


「あのさ!神楽坂…」


「ん…?」


「単刀直入に聞くけど………この世界でのお前って…"何"?」


「……」


"何"とは大分失礼かもしれないが、山羊に始まり水瓶や魚…なんでもアリな世界において相手が何者なのかを把握しておく事は重要であると思う。
神楽坂は申し訳なさそうに少しだけ眉を下げて、しばらくの無言の後にようやく口を開いた。


「………言えない」


「…そっか」


「ごめん…。アンタが"射手座の部屋"を抜けた後なら…言えるんだけど…」


「…………、…って、え、なに、ネタバレになるから駄目っていうので話してくんないだけなの?」


なーんだ、そんな事だったのか。
そんな感じ、と頷く神楽坂に、ほぉーと溜息。神楽坂への不信感…というと言葉が悪いが、それは少し薄れた。この世界について、番人について、そして何より神楽坂自身について……凄く興味がある。最後まで行けば聞けるってんなら、もう少し頑張ろうじゃないか!
…最初は回復ポイントとしか考えてなかったが、神楽坂と話すのも実は結構面白いかもしれないと思うようになっていた。


「……名無し、襟曲がってる」


「え?どこ?」


ふと神楽坂に首元を指差され、俺はワイシャツの襟に手を伸ばす。くいくいと襟を引っ張って……と。


「直った?」


「まだ…」


そう言うと神楽坂は俺に一歩近付き、襟をピンッと直してくれた。眠そうな顔してんのに、よく目に付くというか気が利くというか…。意外な四季の一面を見れて、なんだか頬が緩む。


「なんで…笑ってるの?」


「いやー、お前って良い嫁さんになりそうだなって。」


「………」


「…いや、ごめん、冗談だから!」


神楽坂が無言になってしまったので慌てて左右に手を振ると、「婿に…くる?」なんて首を傾げられてしまったので、今度はこちらが言葉を無くした。


「冗談…」


「わ、分かってるっての!」


くっそ、神楽坂にこう切り返されるとは思わなんだ…!


「名無し…、元気そうでよかった。回復は…いらない?」


「ん?おおぉ、今回もいいや。ありがとな」


つい長居してしまったな。俺は頭を次の部屋の事に切り替えると、神楽坂に手を振って廊下の先を進んだ。
星空の下を歩き乙女座の記号が刻まれたの扉の前にやってくると、俺は扉の隣に小さな木の台が置いてあるのを見付けた。確か、"魚座の部屋"の前にも置いてあったっけか……。今度は何が乗っているんだ?と覗き込む。台の上には白くて小さな皿が置いてあり、皿にはピンク色のマカロンが一つ、ちょこんと佇んでいた。"eat me"なんて書いてある怪しさ満点なマカロンを…食べるべきか否か…。


「やめておくか」


アリスじゃあるまいし、必要に迫られていないのに異世界の食べ物を食べるのは危険過ぎる。俺はマカロンを無視して扉に向き直る……と、「09」と書かれた標札の裏側に、何やら貼紙がしてある事に気が付いた。


「…?」


標札を裏返すと、綺麗な文字で「食べて下さいね?」と…。…これってやっぱ…マカロンを食わないと駄目って事なのだろうか…。
もう一度マカロンに目を向け、じとりと睨む。…し、仕方ない………食うしかない…!マカロンをつまみ、口元に運ぶ。死にませんように!と願いながら口を開け、思い切り歯を立てた。
……だが、しかし。
力を加えても、噛み切るどころか歯を食い込ませる事も出来ない。しかも、舐めてみたら甘くもない!
畜生やられた、まさか食品サンプルだったとは…!


「誰だよ!悪ふざけしやがって!!!」


俺は目を三角にしながらドアノブに手を伸ばし、怒りながら勢いよく扉を開けた。




















〜09.乙女座の部屋〜




「うわあぁぁああぁ!?」


扉を開けて部屋に飛び込んだ瞬間、俺は突然真っ白い光に包まれてしまった!眩しくて目を開けられない!咄嗟に手で目を覆い隠し、光が弱まるのをただ待った。


「うぅ…っ」


何十秒くらい経ったのだろうか?しばらくすると光は弱まり、消えていったのを瞼の向こうに感じた。恐る恐る目を開くが…チカチカして周りの状況が見えない…。
ようやく目が落ち着き、俺は花畑の中に放り出されているのだとわかった。背後にある扉は…入口か。閉める前に光にやられたからな…!俺は扉を閉め、そして立ち上がった。


「…すげぇ………」


"乙女座の部屋"の中は、まるで屋外のようだった。色とりどりの花畑には蝶が舞い、上を見上げると綺麗な青空が広がっている。おい…なんで雲が動いてるんだ…!?相変わらず謎の技術だぜ…。
広い室内を見渡すと、向こうの方に白いテーブルについてティーカップを傾けている人がいるのを発見した。アイツが食品サンプルの犯人に違いない!


「オイおま……………え…?」


顔に一発キめてやろうと、握りこぶしを作って走ろうとしたその時……身体に今までに感じた事のない違和感を覚えて硬直した。主に…胸の部分…。


「―――ッ!?!?」


目線を下ろすと…そこには、さっきまで無かったモノがあった。


「な…っ、な………!?」


「あ、名無し君!」


俺が驚愕して固まっていると、向こうにいた人が呑気に俺の名前を呼んできた。
な、なにが「名無し君」だ!!!これじゃあ「名無しさん」じゃねぇか!!!!


「ああぁぁぁあ意味わかんねぇぇぇぇ!!!!」


俺は頭を抱えて叫ぶ。なにがどうして………胸が…おっぱいが…あるんだ…!
そう、お察しの通り…俺は所謂"女体化"という状況に陥ってしまったらしい。慌てて下半身に手を伸ばすが…、……なかった。…そんな…女体化なんて漫画でしか読んだ事ないぞ!?
会計君が女体化していたのは、まあ番人だし、と片付けていたのだがいざ自分がなると驚きに身体が震える。


「名無しくーん、こちらに来て頂けますかー?」


「あぁ分かったよ!行くよ!!」


自分の事で頭がいっぱいだったが番人だったら何か知っているかもしれないと思い、いつもと違う走り心地を嫌々味わいながら白いテーブルに駆け寄った。振る腕は、いつもより細い。
テーブルに近寄り椅子に座る番人の顔を見て、俺はまた驚きの声を上げた。


「ふ、副会長!!」


「ふふ、こんばんは、名無し君」


「こんばんは…?」


晴れ渡る青空の下の挨拶が、"こんばんは"?


「あれ?今って昼じゃねぇの?」


「…あぁ、すみません。間違えてしまいました」


「副会長も抜けてるところあるんだなぁ」


…にしても、まさか副会長が番人だなんてな…。優雅に紅茶を楽しみながら俺を待つなんて、副会長らしいっちゃらしい?


「あ、そうだ。扉の前にマカロンあったじゃん?」


「はい、僕が置きました」


「……なんで食品サンプルなんだよ…」


でも副会長があんな悪ふざけをしたとなると、なんだか怒りより微笑ましい気持ちになってくる。俺は苦笑しながら副会長にわけを尋ねた…のだが、返ってきた言葉は実に不可解なものだった。


「サンプル…?………おかしいですね…僕はちゃんと本物を置いたのですが…」


「…え?」


「………まさか…。………あぁ、成る程…どうりで名無し君の態度が…」


副会長はカップに入っていた一口を飲み干し、怪訝そうに眉をひそめる。副会長の悪ふざけじゃ…ない…?じゃあ一体誰が?
言葉の半分はよく聞き取れなかったが、副会長は曇った表情をすぐに消すと俺に向き直った。


「まあ、いいでしょう。
ところで名無し君、如何ですか?」


「なにが?」


「魔法に掛かった気分…ですよ」


「はっ!」


副会長の言葉にハッとする。そうだ!俺は今女の身体になってしまっているんだった!会計君と同じように、身体は女だが声だけは元のままだったので忘れていた。


「魔法って…!副会長の仕業なのか!?」


「はい。此処は"乙女座の部屋"ですから、名無し君にはそれに相応しい姿になって頂こうかと…」


だったら番人である副会長が女体化すればいいだろう!まったく…なんてこった…。
改めて自分の身体を見、膨らんだ胸に手を置いてみた。…柔らかい。大きさは片手に少し余るくらいで漫画みたいに巨乳ってわけではなかった。思えばズボンも、少々緩く感じる。ワイシャツも肩が余ってるし!


「うわ…」


ワイシャツを押し上げる胸の先にある乳首が白い生地越しに透けていて、自分のではあるがその光景にドキドキする。


「どうせなら、声も女にしろよ。男のままとか萎えるじゃん?」


心臓の高鳴りをごまかすように冗談を言ってみる。肌なんてすべすべしてるし、これで声が高かったら本当に…。いや、勿論自分の女声なんて恐ろしくて聞けたものではないが。


「では、変えてみましょうか」


「あはは…は、………え゙?」


「僕も最初、名無し君の声帯にも魔法をかけるべきか迷ったんです…。身体は女性でも声は名無し君自身のまま、という方が燃えるかと思いまして。」


「えっ、えっ?!」


燃える!?何が!?
俺の何気ない呟きに対して饒舌に語り出す副会長に驚き、俺は目をぱちくりさせる。
やばい…目がマジだ。


「あ、あのー…副会長…?」


「大丈夫、痛くありませんから。」


人差し指をピンと立てて、俺の喉を指差す。ちょっと待て!やめろ!!


「副会長!タンマ!!」


「えいっ」


無駄に可愛らしい掛け声と共に副会長が指を振ったかと思うと、先程の光よりは弱いもののパッと指先から閃光が走り…俺の喉に入り込んできた。喉元で小さな何かが弾けるような感覚に、「わっ!?」と声を上げる。…その声が自分で意識しても出せないくらい細くなっていて、俺は唖然とした。


「おい副会長ぉぉ!!何すんだよ!本当にやるか普通!?…うあぁぁ声がぁぁぁ!」


「大丈夫ですよ、とても可愛らしいです。」


「何も大丈夫じゃねぇよ!あぁぁぁもう!
つーか、副会長の"お願い"ってなんなんだよ!?」


これ以上遊ばれては堪らない。俺は金切り声(自然とそんな声になってしまう)を上げながら副会長を睨みつけると、強引に本題に入る。副会長は「あぁ」とまるで忘れていたように手を叩き、俺を手招きしてきた。


「…今度はなんだよ……」


半ば呆れ気味に、俺は副会長が座る椅子の隣に立つ。背もたれを身体の側面に当てて座り、俺を見上げる副会長は、そのまま座るように言ってきた。……なんだ?取り敢えず言われるままに、花に申し訳なく思いながら地面に膝をついた。


「で?」


「はい。僕の"お願い"は……紅葉合わせです。」


「……………は、はい?」


副会長の顔を見上げて、俺は首を傾げた。幾分さらさらになった髪の毛が、その拍子に頬を撫でる。聞き慣れない…というか初めて耳にする言葉に戸惑っていると、副会長は俺の頭を撫でて、楽しそうに微笑んだ。


「俗に言うパイズリですよ」


「ぶーッ!?」


爽やかな笑顔で何を言って…!?あまりにも副会長に似合わない単語に思わず吹き出すと、くすくすという笑い声が降ってきた。


「僕だって、そのくらいの知識はありますよ?」


「えっ……本当にやるのか?俺初めてなんだけど…」


…いや落ち着け、パイズリが初めてじゃなかったら大問題だろ俺。副会長は笑顔だが、抗う事を許さないオーラが出ているような気がしてならない。抗うもなにも、鍵の為には言う事を聞く以外にないのだが…。


「っ、わかったよ…。足、開け」


「あ、折角なので口調も変えてみて下さい」


「オカマになるだろ!?」


だったらテキトーに女でもつかまえてパイズリでもなんでもすればいいだろ、という話だ。身体も声も女で、口調まで合わせろというなら本物の女とヤった方が手っ取り早いはずなのに、変な奴。すると副会長に、貴方だからですよ、と言われて余計にわけがわからなくなった。
俺は緩く開かれた足の間に入ると、副会長のズボンのベルトに手を伸ばした。細くなった指でベルトを外し、ジッパーを下ろして下着から副会長のペニスを取り出す。既に半勃ち状態で、副会長も人間なんだなぁと妙な感動を覚えた。


「では…まずは濡らして頂けますか…?」


「わ、わかった…」


綺麗な顔は期待により興奮が滲み、普段と違う雰囲気を纏う副会長に心臓が跳ねる。"双子座の部屋"で郁先生にフェラはしたが何分薬で頭がぶっ飛んでいたもので、平素の状態ではなんだか憚られる。俺は恐る恐る亀頭に舌を伸ばすと、ぺろっと一舐めした。


「…可愛らしいですね」


副会長は俺の髪の毛に指を絡め、満足げに吐息を漏らす。俺は左手でペニスを支えると、裏筋を根元から先端まで舐め上げ顔を斜めにして茎に吸い付いた。溢れる唾液を舌に絡めたっぷりとペニスを濡らしながら、俺は手探りで口淫を続ける。


「ふっ、んぅ……ん…っ」


副会長のペニスはすぐに硬くなり、手の中で時折びくんっと反応を示す。その事に不思議と胸が熱くなり、俺はキスをするように先端に唇を寄せ、溢れてくる先走りを吸った。


「気持ち…いい…?」


「えぇ…。」


言われた通りしおらしい口調にするが、物凄い違和感…。少し抵抗があるものの、俺は亀頭をくわえ、そのまま頭を下げて副会長のものを口内に納めていく。遠慮がちに頭を上下に動かし唇できゅっと締め付けると、副会長の喉が鳴るのが聞こえた。喉奥まで入れると嘔吐反射が起こるから、根元は手で扱く。唾液や先走りでぐしょぐしょに濡れていき、頭を動かす度に聞くだけで恥ずかしくなるような水音がした。


「名無し君…、貴方の口の中……温かくて気持ちいいです…」


「ぅ、んんっ!?ひ、あぅ……ッ…ひゃ、め…」


副会長は俺の頬に手を伸ばし、そのまま耳を撫でてきたので俺は堪らずに肩をすくめた。
別にフェラするのが好きってわけじゃない。けど、しているうちに…なんだか変な気分になってきた…。下半身がきゅう、とする切ないようなよくわからない感覚に戸惑っていたところに不意打ちを食らい、ペニスをくわえたまま声を上げる。


「っ、……耳が弱いんですか…?」


「んくっ、ぅ…んんんっ!」


副会長は俺が耳が弱いと分かるや否や両耳を撫で、くすぐってきた。弥が上にも上下運動はゆっくりになるのに、副会長はそれでも満足そうにくすっと笑う。


「もう十分に濡れましたね…。では名無し君、ワイシャツを脱いで頂けますか?」


「ん、んぅ…っ」


ワイシャツを脱ぐため、俺はフェラを止め口から副会長のペニスを抜こうと頭を上げる。しかし、あろうことか、副会長を俺の頭をグイと強く押さえ付けて抜く事を許さなかった。


「んっんんん!?」


咄嗟に力を入れたから喉を突かれる事態には至らなかったが、それでも無理矢理突っ込まれるのが苦しい事に変わりはない。俺が怖々と目線を上げると、副会長は口角を上げた。


「くわえたまま、脱いで下さい」


「…っ!?」


頭を押さえられていては、また抜こうとした時に力を加えるに決まっている。俺は観念して、濡れた指先でワイシャツのボタンを外していった。ただやられるのは癪なのでぢゅるっと吸ってやると、副会長は小さく声を詰めた。


「んっ…、…名無し君………随分と反抗的なんですね。」


…へっ!
やられっぱなしは性に合わないからな。


「ふふふ、でもとても可愛い姿ですよ?僕のをくわえながらワイシャツを脱ぐなんて、とても扇情的です…」


副会長ってもしかして…見掛けによらず割と変態なのか。
頭を思うように動かせないため脱ぎにくかったが、俺がワイシャツを腕から抜き脇に放ると副会長はようやく頭を解放してくれた。


「っぷは!…くそ、頭押さえたら苦しいだろうが!」


口元を拭いながら副会長を睨む。が、顔に影を落とすような笑みを浮かべられ…俺はギョッとした。…チッ、そうか…口調ね…。


「…………」


「さて、名無し君……お願いしますね?」


「っ、あ…!」


副会長の手の平が俺の胸を撫で、その感覚に思わず声が漏れた。左肘をテーブルにつき、普段は見れない支配者のような副会長の態度と表情。右手を伸ばし俺の胸を下から上へと撫で上げてきて、それにゾクゾクと背筋が甘く痺れた。


「や、め………!ふ…っ、んぅ……ッ」


思わず副会長のズボンを握り堪えるが、時折乳首を手の平が掠め身体の力が抜ける。元の身体の時は特に何も感じなかったはずなのに…!


「んっ、くぅ……ふく、かいちょぉ…胸…駄目…ぇ…!」


「おやおや…、そんなに強く握ったらズボンが皺になってしまいますよ名無し君」


「だって……っ!」


「"だって"…、…"気持ちいいから"?」


「……ぁ、っんあ…!」


きゅ、と乳首を摘まれ、自分でも寒気がするような甘ったるい声が上がる。そのまま優しく捩られたり、こね回されたり…俺は足を震わせて副会長の太股に額を押し付けて悶えるしかなかった。


「や、いや、ぁ…っ!……ん、…はっ…はぁ………あ、あっ」


「こんなにかたくして…、いやらしいですね」


そう笑うと、副会長は強く俺の乳首を摘んだ。


「ひ!?あ、ああぁっ!」


痛みの中の強い快感に驚き、俺は思わず悲鳴を上げる。痛くされたのはその一瞬だけで、また優しく乳首を撫でられ敏感になったそこは今まで以上に俺をおかしくさせた。


「あ、ふぁ…っ やめ…て……!」


涙目になりながら訴えると、副会長は俺の顎を取り親指の腹で俺の唇をそっと撫で…まるで続きを促すように首を傾ける。パイズリをしようにも胸は特別大きいわけではないので、漫画みたいな事にはならなそうだと思った。
俺は副会長に更に密着し、手で胸を寄せその間にペニスを挟み込んだ。俺の唾液と先走りでぬるぬるになったのが胸を滑り、なんとも言い難い感触に眉をひそめる。反り返ったものを副会長に押し付けるようにして、身体を動かし胸を擦り付けていく。


「はあっ、は……」


「何故…名無し君の息が上がっているのですか?」


恥ずかしくて顔なんて上げられない。それでも、声から副会長が笑っている事が悟れた。
息なんて…上がるに決まってる!膝立ちだし、…なにより、特に気持ちいいってわけじゃないのに、…なんだかドキドキする。


「なんでも…ない……!」


「僕のを胸に擦りつけて、興奮しているのでしょう…?」


「〜〜ッ!!!?」


副会長の右足が上がったと思ったら突然股間に足先をぐりぐりと押し付けられ、俺は声にならない悲鳴を上げた。


「な、…ぁ……ひぁう!ふくかいちょ…や………っ、…動かしちゃ、あ…ぁあ…!」


「意外ですね。名無し君は足にも感じてしまうんですか…?」


「っんん!なに、これぇ……や、ぅぅ…っ」


無意識にきゅう、と入口を締め付け女の身体の事なんて何も知らない俺にとってはそれさえも快感で、身体の内側からの痺れに呼吸を荒くする他無かった。しかし副会長は足はすぐに離してくれ、俺は息も絶え絶えにパイズリを再開した。乳首がペニスや服に擦れ、一々声を上げてしまう。色んな感覚にもみくちゃにされ俺が泣きそうっていると、少し呼吸を荒くした副会長が俺の手を掴んだ。


「は…っ、……名無し君…」


「副会長…イきそ、……なの…?」


「はい…っ、手も使って……ください…」


顔を上げると物凄くえろい表情の副会長がいた。普段は隙のない副会長の、欲に塗れた顔……。俺は唇を引き結び、高揚していく気分を無理矢理押さえ込んだ。
胸の間のペニスを握り、ぐちゅぐちゅと音がする程に扱く。既に限界が近かったのか、副会長は時折吐息を途切れさせた。


「くっ、名無し君……、…出しますよ…ッ」


「い、いよ……副会長…っ」


「名無し君…!はぁっ…ん、く……っ!」


「あ…ッ!」

胸を押し付けていれば必然的に顔が近くになっていて…、俺は副会長の精液をもろに顔に浴びた。自分でも無意識に唇にかかった精液を舐めていて、決して美味しいわけではないし男のなんて気持ち悪いだけのはずなのに…不思議と嫌悪感も吐き気もしない。


「ごめんなさい、顔に…」


「大、丈夫…」


頬を伝う精液を拭う副会長の手を、俺は素直に受け入れた。





















副会長は俺の顔や身体を拭いたあと、俺がワイシャツを着るのを待っていた。そして俺が鍵の話題を振る前に胸ポケットから次の扉の鍵を取り出し、手渡してくれた。


「ありがとな!……つか、俺の身体…いつ戻るわけ?」


鍵を握り締めながら、俺は副会長に聞く。鍵を貰ったからさっさと口調は戻させていただいた、が、肝心の身体と声がまだ女のままなのだ!


「あぁ………」


「な、なんだよ…」


「僕は戻せませんよ」


「!?」


さらっ、ととんでもない事を言われて目が点になる。…いや、しかし、神楽坂に頼めば多分…治してくれるはず…。うん、多分大丈夫…。


「はぁ…戻す魔法もちゃんと覚えておけよなぁ…」


「ふふ、そういう仕様です」


「いらねーよそんな仕様!!副会長変なところでお茶目過ぎ!」


まぁ、鍵は手に入れたし、長居は無用だ。本当は……まだ身体が疼いてるんだけど…。だがもしそんな素振りを見せたら、次こそ食われる気がする。逃げるが勝ちだ!!


「じゃ、もう行くわ!」


「えぇ…。本当は引き止めたいところですが、ルールなので仕方ありませんね…」


「?お、おう…」


副会長の目に…なんか危ない光を感じる。俺は無理矢理口角を上げると、副会長に手を振って扉に向かった。扉の前に立ち、鍵を開ける。
俺は自分の身体を見下ろし、元に戻りますように!と祈りながら扉を開けた。











continue










2012.5.23

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