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Novel
★【男主夢】12星座と濃い物語10







〜夜空の廊下〜





胸があるせいで歩くとワイシャツが乳首と擦れてぞくぞくするから、生地がズレないように胸を腕で押さえながら歩く。青空の下から突然夜空の下に移動した為、最初は明暗の違いに驚いたが直に慣れた。


「あ…」


しばらく進むと、星が瞬く壁にもたれて寝ている神楽坂を発見した。起こさないようにそっと近寄り、横に座る。……よく寝てんなー、起こすの悪いか…?いや、でも回復させてもらわなければ次の部屋に進もうにも進めない。


「……」


あ。回復、俺自身で勝手にやるって…アリ?神楽坂、何処にマムシの干物しまってんのかなー…。
手を伸ばし、神楽坂のブレザーの上からズボンのポケットに触れてみようとも思ったのだが、…うーむ、流石に悪い気がするぞ。


「神楽坂ー、神楽坂起きろー」


「………」


「かーぐらーざーかーぁー」


……起きない。おかしいな…前にも廊下で寝てた事はあったが、あの時はすぐに起きたのに…。
何度か名前を呼んでも起きないから、作戦その二。よっこいしょと正面に回り、足を伸ばして座っている神楽坂を膝立ちで跨ぐ。神楽坂の肩を叩いて、目を開けた時に驚かせてやろうと思い、反応を楽しみにしながら肩に手を触れた…その時だった。


「んぐッ!?」


神楽坂は突然目を見開いたかと思うと、右腕を伸ばして俺の口元を押さえ付けてきた!慌てて腕を掴み引きはがそうとするが、女の身体だからか神楽坂が強いのか、ビクともしない。加えて、頬に爪が食い込んで痛い。
顔をしかめ神楽坂の事を睨みつける、…が…俺は目の前の光景が信じられず目を点にした。
神楽坂の目が、蛇のようになっていた…!いや、蛇そのものかもしれない。黄色がかった金色の瞳に、細い縦長の鋭い瞳孔……、その目は今までに見た事がないくらい敵意に満ちていた。


「ん、んんー!」


身の危険を感じ、俺はジタバタと暴れる。しかし今度は左腕まで伸ばしてきて…あろう事か首を絞めてきやがった…!喉元に当たる手の平に鱗があるのを感じ…俺はゾッとして冷や汗を流す。
こんの野郎…!!
呼吸が出来なくて苦しいが俺はギッと思い切り神楽坂を睨みつけると、根性で右手に噛み付いてやった。


「…っ!」


「か、ぐらざかっ!!!!」


神楽坂が怯み右手が若干浮いた隙に、俺は思い切り叫んだ。喉を絞められている為そこまで大きな声は出なかったが、それでも神楽坂には届いたらしい…。


「名無し…っ!?」


ハッとしたように手の力を緩め、俺の名前を呼ぶ。舌が蛇みたいに細く、二股になっていておまけに牙まで生えているのが見えたが、哉太の鱗だの陽日先生の牙だのを見た後では特に驚きは無かった。俺は力なく神楽坂の足の上に腰を落とし、喉元に手を当てて荒い呼吸を整えた。


「……ごめん…、大丈夫…?」


「お前、さ……何…蛇なのかよ…?」


「…………」


「…こんな事してもまただんまりか。……まあ…いい、けど…」


いつの間にか神楽坂の顔も手も人間のものに戻っていて、俺はほっと溜息をつく。寝込みを襲われたら反射的に襲ってしまうものなのかな、と思った。いつだったかに変な音がしたり鱗が落ちてたりってのは、神楽坂のだったのか…?
俺は神楽坂の肩に頭を預け、また深く溜息をついた。そっと背中に腕を回し身体を密着させ…………って…、んん?


「うぉぉぉ!?な、なな何してんだ俺!!」


「………さあ…」


何がどうしてこうなった!?何でナチュラルに神楽坂に抱き着いてるんだ俺は!!
慌てて神楽坂の肩を掴み、腕を突っ張って距離を取る。顔が真っ赤になってしまった俺とは対照的に神楽坂は普段の通り白い顔をしていて、一人で何をあたふたしているんだろうか…と認識して余計恥ずかしくなってしまった。


「声と身体………青空にされたの?」


「へっ?あ、あぁ…魔法とやらに…。あのさ、コレって回復……っつーか元に戻るか?」


「うん、戻る」


「はあー、よかったー……」


俺は神楽坂の上から降り、立ち上がって伸びをした。これで女の身体ともおさらば!さっき抱き着いたのは…あれは何かの間違いだ、間違い。
はい、と手渡されたマムシの干物を口に放り込み、よく噛んで飲み込む。すると身体の中からぱぁっと光が出てきて、その事に驚いているうちにいつの間にか元の身体に戻っていた。


「あー、あー」


「? 発声練習してる」


「声が戻ったか確かめてんだよ!」


胸もないし、声は元の低さに戻ったし……あぁよかった、一時はどうなる事かと…!


「こっちの方がいいよ、アンタは。」


「身体がか?そりゃそうだろー………って、何笑ってんだよ」


「よかった…、アンタがアンタのままでいてくれて。」


「??」


不可解な事を言い出す神楽坂に、俺は首を傾げた。いや、俺のままも何も俺は俺だし……。


「どういう意味だ?」


「ん、こっちの話」


「ふーん…?」


まあ神楽坂ってこういう奴だし、気にしなくてもいいか。
そろそろ行かないと、だな!俺は神楽坂に別れを告げると、先に向かって歩き出した。廊下を進んで行くとやがて扉が見えてきて、天秤座の記号と「10」の標札に、遂に二桁まで来たのか…と息を吐く。


「……お?」


ドアノブに手を伸ばすと、扉に小さく文字が掘られている事に気が付いた。顔を近付けてよく見てみると「足元注意」と書かれてある。足元注意……電車とホームの隙間的な感じか?よし、最初の一歩目は大きく踏み出そう!
俺は無警戒にドアノブを捻り、扉を開けた。





















〜10.天秤座の部屋〜




扉の中は暗く、少し怯んだが思い切って飛び込み着地する。その途端どこかで、ギイ、という音がした……と思ったら。


「ぎゃああああああ!?」


ガクンッ、と足元が落ち、床ごと下に落下していった!ハイスピードのエレベーターみたいに風を切って床が落ちていき、俺は意図せずに絶叫する。これが遊園地のアトラクションなら面白いものだが、そうも言っていられない。
長く感じた落下は、またガクンという衝撃と共に止まった。


「う、うぅ……」


い、一体なんだったんだ…!?びっくりし過ぎたのか、揺れてる感じがする。それにしても、部屋の中が暗くて何も見えない。足元注意ってあったし、下手に動くのは危険だろうか…。
俺が悩んでいると、ふと、上の方から声が降ってきた。


「なんだ……?」


なんだ?はこっちの台詞だ。


「あのー!明かりとかないんですかー!?」


「あぁ…名無しか…」


上にいるらしい人が何をしているのか全くわからないが、暫し待っていると部屋全体が段々明るくなってきた。ぐるりと見回すと、俺は黒い皿のような物の上にいて、部屋の真ん中には柱の様な物が………って…えぇぇ?


「て、…天秤…!?」


皿の三点から伸びた鎖が頭上の棹に繋がれていて、支点となる支柱から先にも伸びる長い棹を辿ると、反対側にも皿があった。揺れてたのは天秤の皿の上だったからか…。支柱は黒と濃紺の配色で、螺旋を描いていたり土星のオブジェがあったりして綺麗だった。そういえば数年前に天秤座に土星が入ったんだっけか。それでかな。
それにしても、80゚くらいに偉く傾いてしまっている…。もう片方の皿にも人が乗っているはずなのに、どうしてこんなにも傾いているんだ…。


「それにしても、凄いな…」


「ほ、星月先生!?」


反対側の皿から呆れたような顔を覗かせてきた人の顔を見て、俺は目を見開く。眠そうに欠伸をしながらこちらを見下ろしてきたのは、なんと星月先生だった!


「あのなぁ…、この天秤は性欲の強さに比例して傾くんだぞ。……若いな…」


「え、ちょ、え?」


待て待て待て待て!話が急でついていけなくなる!
性欲に比例…?じゃあ、この天秤は…体重は関係ないって事か。


「どんな天秤ですかソレ!!?」


「……………こういう天秤だな」


「あ、説明面倒臭がりやがったな…」


多分、ダイナミックに飛び乗ったからあんなに落ち方をしたに違いない。性欲ったってそんな凄まじいわけじゃないし、さっき回復をしたからっていうのもあるはずだ。…ていうか、そうだとすると年齢差があるにしたって星月先生性欲無さ過ぎじゃね…!?でも性欲より睡眠欲っぽいよな、先生は。


「そうだ、星月先生の"お願い"って何ですか?」


天秤に気を取られていたが…、そうだ、番人との距離がこんなにあるのに、どうやって近付けばいいのか。支柱の足元は深い闇に飲まれて見えず、皿の下から床まで一体どのくらいの距離があるのかもわからない。落ちたら…やばそうだな…。


「"お願い"……あぁ、考えておけって言われてたか…」


おいおい…、考えてなかった、とかはないよな。


「実は考えてなくってな…」


やっぱりか!


「面倒臭いから扉の鍵は既に開けてある。」


「え…、マジ?じゃあこのまま行かせてくれるとか…」


「お前な、そんな所からどうやって扉に行くんだ?」


星月先生はおかしそうに笑うと、顎で下の方を指す。そちらの方を向いてみると、…俺は思わず「うっわ…」と呟いた。
扉は向かい側の壁にあり、45゚くらい傾かせれば行けそうだった。だが扉にたどり着くには星月先生の方の皿に移って皿を下げるしかなく…、そもそもどう先生の皿に移れば…。


「どうやって扉に行くんだ!?」


「真似するな。」


「いや、だって………無理…」


「この天秤は回転するからな、それを踏まえてよーく考えてみろ」


「なんで問題形式にするんですか!」


棹が回転…って事は、わざわざ先生側の皿に移動しなくてもいいって事だよな?…なら……180゚回して貰って角度を調節すれば…。角度の調節という事は、つまり性欲の調節…。星月先生の性欲が増せばOK…って事か!


「はい!わかりました!」


「ん?」


「天秤を回転させて、星月先生が性欲アップさせればいいんです」


「ふむ…、解答としては三角だな」


「三角!?…って、おわあぁぁ!?」


これが三角なら模範解答は何ですか、と俺が続けようとした時、いきなり皿がぐらついた。なんだなんだ!?と上を見上げると、棹がゆっくりと回転しているのが見え思わず声が漏れる。


「おぉぉおぉ…!」


大きく弧を描きながら天秤は回転し、180゚回転したところで動きを止めた。俺は皿の上を移動し、扉側の縁から仰ぐ。回転させるところまでは正答だったんだな…。


「正解は…」


「ひッ!?」


すると突然、耳元で声がしたので俺は肩をすくませた。慌てて振り返るとさっきまで反対の皿にいた筈の星月先生がいて…驚かされっぱなしの俺はただ口をぽかんと開く。


「星月先生…!?」


「俺は、天秤の上を自由に動けるんだよ。ちなみに、安全の為にこれ以上傾かないようになってる」


「や、あの、先生……」


「模範解答が欲しいんだろう?」


星月先生はそう言うと、そっと俺の頬を撫でた。こ、この雰囲気…やばい…!俺は星月先生から逃げようと身をよじる、が、両手で頬を捉えられ耳に唇を寄せられてしまい…ギクッと身体を硬直させる。身構えてはいても、やっぱり耳は駄目で……


「星月先…っ、ぁ、やめ…っ!」


かぷ、と耳たぶをくわえられ、思わず変な声が出てしまう。下から上へとゆっくりと舐め上げてくる感覚にぞくぞくして、弥が上にも身体の熱が上がった。


「ふっ…、くぅぅ……!」


「こら…逃げるんじゃない」


顔を逸らそうとしても手で固定され、お仕置きだと言わんばかりにわざと音を立てて舐めてくる。手の平で口を塞いで声を押し殺そうとしても、耳への責めに流されそうになっているのはバレバレだったみたいだ。


「ん………、いい反応だな。耳が弱いのか…?」


「ひっ、ぁ……ち、がいます…!」


「違くないだろう?ほら…正直に言いなさい」


「星月せんせ…!んん……、あっ、あぁ!それ…や、め…っ」


耳に舌先を捩込まれ、くちゅくちゅと出し入れされる。おまけにじゅるっと吸われたりもして、俺は腰砕けになり抵抗する事すら出来なくなった。力が抜け、腰抜かしてしまう…。星月先生はそんな俺を静かに笑うと、目線を合わせるように腰を下ろした。


「はあ…っ、はあ………星月、先生…」


やばい、今のだけで勃っちまった…。それを悟られたくなくて、膝を立ててごまかそうとする。…しかし星月先生の手が両膝に掛かり、あっと声を上げる間もなく大きく割り開かれてしまった。


「ちょ…!?あっ、あ、……んんぅっ!」


「ふむ…、耳を舐められたくらいで勃起するなんてな…。流石、こんなに天秤を傾かせるだけはある。」


ズボン越しに指先で撫で上げられ、抗議の声が喘ぎに変わる。星月先生の手がベルトのバックルに掛かり、このまま流されるのか…と奥歯を噛んだ。だが星月先生がピタリと手を止め、何か思い付いた様に顔を上げて「あぁ」と言ったものだから、何事かと俺は先生の顔を見た。


「"お願い"、やっと思い付いたぞ」


「えっ!?」


唖然として固まる。なんで今更…、鍵はもう不要だというのに番人の"お願い"を聞かなきゃいけないんだ?すると俺の表情から感情を読み取ったのか、星月先生は続けて言った。


「お前、天秤の角度を上げたいんだろう?角度を上げる方法を教わりたいなら…」


「…"お願い"を…聞け、って事ですか…」


「流石、理解が早いな。そういう事だ。」


くそ、今回はえろい事無しで先に進めると思ったのに…!!でも中途半端に放置された身体は星月先生の"お願い"を聞きたがっていて、俺は自分自身に歯噛みした。なんだよ、俺が変態みたいじゃねぇかよ…っ


「…、それで……星月先生の"お願い"ってなんですか…?」


「それはな…」


そこで言葉を切った星月先生は、俺の右手を掴むと手をそのまま股間へと移動させてきた。手の平から感じる自分の昂ぶりに我に返りハッとして顔を上げると、俺の手を動かしながら星月先生は言う。


「っあ、ぅ……!」


「お前の自慰でも見せてもらおうかと思ってな」


「そん…っ、……あ!」


星月先生が俺の手の上から力を加え、結果的に俺のにも刺激が伝わりビクッと身体が跳ねてしまう。今まで色々やってきたというかやられてきたというか…、とにかく色々あったが、これは…違う意味で恥ずかし過ぎる!俺が躊躇っていると星月先生は「早くしないと、天秤を元の位置に戻すぞ?」と悪戯っぽく口角を上げるものだから、…俺は了解するしかなかった。


「…わかり、ました」


観念してそう言うと、星月先生は俺の答えに頷きようやく手を離す。星月先生は腰を上げて俺の背中に回ると、足の間に俺を入れるように座った。


「っ!?」


「ん?俺は此処から見物だ。嫌なら"お願い"のハードルを上げてもいいが…」


「や、やりますから!」


ハードルを上げるとか、それは勘弁してもらいたい!俺が慌てて大きな声を出すと、こっちは大真面目だというのに星月先生は吹き出した。
なんかもう居た堪れなくて、俺はやけくそになってベルトに手を伸ばす。半勃ちのペニスを握るが、背後からの視線が気になって…俺はちらと星月先生を見た。


「あの…」


「なんだ、緊張してるのか…?」


「あまり見ないで欲し……っ、うぁ…!」


「見なかったら意味ないだろう?俺しか見てないんだから、恥ずかしがらないで早くしろ…」


星月先生は俺の首筋に舌を這わせると、ちゅっと軽く吸い付いてきた。腰にクる感覚と大人っぽくて甘い声に、俺は操られるように頷きゆっくりと右手を動かし始める。


「はっ、ぁ………く…」


今まで放置されていたからかいつも自分でやる時よりも快感が強くて、思わず顔をしかめる。先走りを塗り付けるようにすると滑りがよくなって、俺の手は次第に大胆になっていった。


「んっ…ぅ……ぁ…!」


「……いい眺めだな…」


星月先生の囁きが耳をとろけさせる。最初は遠慮がちだったのに、ぐちゅ、と音がするようになると…もう手は止まらなかった。


「はぅ、…っあ……!くぅ…っ」


「なんだ…、声を押さえてるのか?そうしたいなら、手伝ってやる…」


「…んぐっ!?ん、んんーっ!」


手伝うってなんだ?とぼんやりと考えていると、突然口に指を突っ込まれて驚愕する。え!?と思い目だけ動かすと星月先生の右手が視界に映った。
何も手伝えてないだろコレ…!
だがそんな心の叫びを口に出す事も出来ず、俺は呻きながら自分のペニスを扱くしかない。…惨め。……でも星月先生が俺の舌を撫でたりしてくる事に身体がじーんと痺れて、俺は指の隙間から喘ぎ声を漏らした。


「ふぅ、ん……んっ、はぁ……あうっ…!」


「名無し、さっきよりもいい声が出てるぞ……こうされるのが好きか?」


唾液に濡れた指を出し入れしたり、耳にキスをしてきたり……俺は星月先生にされるがままになってしまう。なんか…くらくらしてきた…。


「そのまま……俺のをくわえるの、想像してみろ…」


「んんっ!?ふ……、っぅく…ッ」


「ほーら、くわえるって言ったらどうするんだ?ちゃんと、俺の指を唇で愛してみろ…」


星月先生の声が、脳から俺を犯すように浸透していく。言われた通り、俺が星月先生の指をフェラするみたいに締め付けると耳元で満足そうに笑った。くすっ、という吐息すら…この人の声は一々甘くて困る。


「いい子だな…。熱くて、たっぷり濡れてて…お前の中は気持ちいいぞ…」


「くっ、ぅぅ……ん…!」


「足に力が入ってる…、もうイきそうか?」


星月先生の言葉に、俺は弱々しく頷いた。ぐちゅぐちゅと扱くのが、段々に早くなる。もうイく、と俺が息を飲んだ…その時、星月先生はそれを待っていたように指を引き抜き、俺の口を自由にした。


「っあ、星月先生…!」


「最後くらい、お前の声をちゃんと聞きたくてな」


「いじわ、る…っ、ん、あ……や、だめ…っ……あ、ぁっ!」


不本意だが、指が突っ込まれていれば声を押さえられるのに…っ
でもここで中断出来る程、俺の理性は残っていなかった。


「諦めて、もうイけ……名無し…」


「ひっ、あ……ぁ…!先生…も…イっちゃ、ぁ…、ん!っ、く、ぁあああぁあ!!」


星月先生が耳を甘噛みしてきて、その拍子に頭の中で何かが白く弾けた。びくびくと身体が跳ね、荒い呼吸のまま手に精液が掛かっているのを見た。


「はあ…はあ……っ、……せんせ…。これで、いーのか…?」


後ろを振り向くと、どこか楽しそうに唇を舐める星月先生と目が合う。星月先生が何か言うのを待っていると、ぐらりと、また天秤が揺れたので慌てて上を見上げた。


「え…、上がってる…!?」


天秤はゆっくりと平行へと近付いていき、つまり俺達のいる皿は扉に向かって上昇していっていた。


「あれ…、でもあっち側の皿って無人ですよね…?」


「あぁ、この天秤は基本的に平行を保つようになってるからな。
お前が射精して性欲が下がれば、その分傾きも緩くなる」


あぁ…成る程…、それが答えね…。


「ん。」


「あ、どもッス…」


ティッシュくれるなんて準備がいいぜ星月先生…!
天秤が扉に着くまでに、と大急ぎで服装を整えたりしていると丁度タイミングピッタリに扉まで上昇した。よし、行くか!……って、星月先生…なんで俺の手を握って…。


「名無し」


「は、はい…?」


「……今度は、俺に抱かれに来い」


「!?」


手を引かれ、よろけたところに…星月先生は唇にそっとキスをしてきた。ぼんっ!と顔が真っ赤になる。な……、な…っ


「あ、蟻がたかりますよ!!!」


「…はぁ?」


甘すぎる!一々甘すぎる!!
俺の発言があまりに意味不明だったのか星月先生は首を傾げるが、すぐに分かったらしく苦笑する。くっそ、なんか悔しいな…。


「い、い……行ってきます!」


「あぁ、またな」


俺は逃げるように、皿から扉の前の足場に飛び移った。顔が赤いのが恥ずかしくて、顔を上げたくない…。俺は若干俯いたまま、既に解錠されている扉を開けた。
















continue












2012.5.27

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