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届け物

ピンポーン




小包が、届いた








お兄ちゃんが消えてから毎年、誕生日になると差出人不明のプレゼントが届くようになった
送られてくるようになったタイミングといい・・私は勝手にそれはお兄ちゃんから送られてきている物なのだと信じていた
・・1人になった時の私は今よりも幼く、そうでも思ってなきゃやってられなかったから・・


・・・でも、今回届いたこの小包は、なんだか違う気がした
まぁ、『懐かしい』感じがするのと、差出人が不明なのは変わらないけれど・・。
それに、今日は誕生日じゃないしね

不審に思いつつも、私はその小包を少しづつ開けていく
・・と、
「・・・薬・・?」
私は思わず声を出してしまう
そこには、病院で貰うような銀の紙を背に、プラスチックで保護されている4錠ほどの薬が入っていたのだ

・・・あやしい
・・危なすぎる

そんな言葉が頭をよぎりながらも、私は薬と共に入っていた何かが書かれたカードを手に取る

「!」

そのカードを一瞬見て、私はすぐさま先程も確認した差出人の欄をもう一度確認した
・・でも、やはりそこには何も書かれていなくて・・
私は手を握りしめる

カードには、見慣れた文字が書いてあった
綺麗なのに、癖のついた文字・・
彼が、その癖を直していなければ・・多分、この文字は彼の物だと、思った・・


・・っ

そんなわけ、ない、よね


キュッと唇をかみしめ、もう一度、そのカードに目を向ける

【使用上の注意
・次の日は体がだるくなるから予定を確認して使う事
・薬を飲んだその日は例え足が痛くなくてもできるだけ安静にする事
・3日に1回しか飲まない事
使い方を絶対に間違えるな】

“足が痛くなくても”

それを知っているのは、
この間話した精市達と、
ずっと一緒にいてくれた景吾達と、
・・私を階段から落としたお母さん、と
私、を心配してくれていたお兄ちゃんと
それから・・ ・




私の頬は濡れた道を作った







すると、ふと目に入るカードの端の文字



【Our princess forever】



“我らの永遠のprincess”





「ふぇ・・っひ」







会いたい

そう思うのに、

心を揺すられるのを

怖いと感じてしまうのは、



なぜ・・・?













**


座って段ボールを大切に抱えながら
頭を伏せて肩を震わす彼女


そんな彼女を見ないように、俺はドアの向こうの壁に背を預けて
彼女と同じように顔を伏せた



ここに来たのはふと思いつきだった
ただ、今朝は早く起きたから海里と一緒に部活に行こうって・・


なのに、

なんで、こんな場面に遭遇してるんだろ・・俺




ここからじゃ、彼女の抱えている段ボールはよく見えない

けど、分かるんだ



あれはきっと






‘優斗さん’関係の物だと・・



分かってしまう自分が嫌で
こうやって隠れてへこむくらいしかできないのも嫌で・・

「・・はぁ」

俺は小さな重いため息をついた





優斗さん、あなたは彼女にとってどれほど大きな存在なんですか・・?
俺は
あなたを超えることができるでしょうか──・・ ・


俺を憎悪とも言う嫉妬が
侵食していく・・


自己嫌悪TLDR

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