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慣れ

「あれ?海里、なんか机の上に・・」

「へ?」
リビングに入り、精市が机の上のあるものに気がついた

何かと思い、机に近づくと大量の紙束・・



・・あぁ・・

たまにこうして家に紙束が山積みになっている事がある
これは『仕事』の書類。お祖母ちゃん曰く次期代表になるたに今からやっとかなきゃいけないものらしい・・
でも、まぁ私的には、ただ人手が足りないだけだと思っていたり・・


それにしても・・
この頃はなかったのに、な・・・

「? 海里?」

「あ、あぁ、気にしないで!冷たいジュースでも持ってくr !」
私はその場で動きを止る





この家に誰が入ってきた・・・?




「邪魔なものは処分して・・




その言葉がすぐに脳裏を駆けめぐった
そして、考える間もなく足が前へと出る

「えっ どこ行くの?」
精市の声が聞こえて

「ごめ・・、精市、まってて!」
でも固くなった声でそれだけ答えてそのまま私は足を動かした




自分の部屋へ・・






















扉のノブに手を掛ける


「なん・・で・・なんで!?あれは、、ゆ・・とと一緒に・・!」
「だから、ですよ。あなたにとってそれは‘   ’」



その時、自分の体が震えている事が分かった


「海里・・?」

『待ってて』って言ったけど、ついてきてくれた精市は私の肩に手を掛ける

でも、今はニコリとも笑えなくて固まった表情のまま答える事ができなかった



そして、意を決して部屋のドアを押す












そこには






















いつもと全く変わらない部屋があった






「よかった〜」
緊張の糸が切れたからか、私はまだつかんでいたノブに全体重を掛けた

「さっきから、、どうしたの?」
そんな私を見て、先ほどまで心配そうだった精市の顔は和らいで、微笑みながら聞いてきた

「いや、あのね。。あの紙の束があるって事は家の者がここに入ったってことなの。
・・で、、前に2度くらいあったんだけどね、お祖母ちゃんの言いつけでここのトロフィーとか勝手に持って行って捨てられた事があって・・。」


トロフィーだけじゃない・・

‘大切なもの’も・・


「なんで・・」
精市は目を見開き、小さく呟いた

「・・邪魔だから。
例え上位の賞だとしても、、私が勉強以外の事に熱中するのは良くない事、だから・・」

「・・・」
なぜか寂しい喋り方になってしまう自分に空笑いをすると精市は心配そうな・・不安な目で私を見つめてきた

その目が、、自分の心に突き刺さって・・
私は前髪をかき分けて精市と1度、目を離した

「いつも出かけるときは部屋に鍵閉めてるんだけど、最近みんなといてつい、楽しくって気がゆるんじゃった・・
さぁ!じゃ、リビング戻ろっか」
空気を変えようと、元気よく言って私は扉を閉め、クルッとまわってリビングの方へ向いた



「・・ねぇ、海里・・・大丈夫?」


耳元で呟き、ギュッと後ろから抱き締めてくれる精市



「・・へーきだよ?」

「・・・俺に、嘘は付かないで?」
その言葉に胸が誰かにつかまれたようにギュッとなって・・切なくなった

でもね?

「本当にへーき!!もう慣れっこだもん!」
これは本音

慣れたくなくても、やっぱり慣れちゃうの

「残るは・・跡部景吾、鳳長太郎、樺地宗弘、宍戸亮、向日岳人、日吉若、忍足侑士、芥川慈郎」
誰かを人質に取られるのも
「ふ、笑わせないで?こんなもの、あなたに必要ないわ」
自分の何かを失うのも・・

「・・そっか」

そう眉をたれ下げながら私に微笑む精市にまた、なぜか胸が締め付けられた

・・


・・そんな、



しないでよ・・







チュ




私は慰めるためか何故なのか・・気づいたら精市の頬にリップ音を鳴らせてキスをしていた


「・・え//!?」
顔を真っ赤にさせて驚く精市に私まで赤くなってきて、



「いいいい言っとくけど、こ、これはあ、ああ挨拶なんだからね///!!」



なんて口走ってしまった



そしてその言葉が漫画で見た『ツンデレ』キャラみたいになってしまった事に恥ずかしくなった私は顔をますます赤くして
精市を置いてリビングに早足で向かったのだった



















そして


後ろから


「・・ぷ、かわい・・」

なんて言葉が聞こえたもんだから私はこれでもかって位体中を熱くして絶対に振り向かずに歩いた・・











なんであんな事言っちゃったんだろ・・・//TLDR
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