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王者

「なぁ卯月」
部活の後、部誌を書いていると部長に話しかけられた

「はい?」

「夏の個人戦と、団体戦の話なんだが、、」
そう言って私の向かい側に座る

私はその内容から真剣な話だと思い、パタンと部誌を閉じた


「個人戦、ダブルは全員出れるけどシングルは人数的に2人出られないだろ?」

「はい」

「で、これは出席日数で決めようと思うんだけど・・」
そう言って私と目を合わせる

「あぁ!良いですね」

「だろ?やっぱ、部活に来る来ないでやる気が分かると思うんだよ」

「そうですね」
私は笑って答える

いつも、部長は技術では選ばない
『やる気』のある子を大切にしている

そんな部長の考えが私は大好きだ




「で、問題が団体戦なんだが・・・」
部長はそこまで言って言葉を詰まらせる

え・・?
先輩方はちょうど8人いらっしゃるんだから、悩む必要ないんじゃ・・


私がそう考えていると部長はさっきよりももっと真剣な顔になった

思わず私は息を飲む



「幸村、真田、柳を出そうと思う」



「え・・・?」
いきなりの言葉に私は驚きを隠せないでいた

「シングル・・三本ですか・・?」
私の言葉に、部長はコクンと頷いた

「主には、そうなるな」

「っなんでっ 先輩方、最後なんですよ!?」

「・・分かってる。・・だから、シングルはたまにローテーする。」

「『たまに』でいいんですか?」

私が言った言葉に部長はフッと笑った

「・・・良いんだよ。」

「っなんで」

「俺たちが願うは、全国No,1だ。『王者立海』そう後輩達に名乗らせてやりたいから・・な」

そう言った先輩は優しく笑っていて、

私はもう、






何も言えなかった










帰り際、部長が私に振り返る

「全国、行こうな」


寂しそうに
でも、しっかりとした顔を向ける部長に私はできる限りの笑顔を返した


「・・はい!」







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あきゅろす。
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