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愛しい人
真実

菖蒲と隣通しでソファーに座って乾杯をして旨い料理を堪能する。

この6年が嘘のように昔と同じ穏やかな空間に俺はホッとした。

でもどうしても聞いておきたいことがある。

俺はグラスを置いて菖蒲の方を向けば、菖蒲も何か感じたのか、グラスを置いて俺の方を真っ直ぐ見てくれた。

「…俺さぁ、ずっと菖蒲に聞きたかったことあったんだよ。」

「なんだ?」

菖蒲の声が安心感をくれる。
俺は軽く目を伏せてゆっくりと心に溜まっていたものを吐き出した。

「…菖蒲はさ、春日の事好きだったのか?」

俺は言い終わる前に真っ直ぐ菖蒲の目を見た。
菖蒲は驚いた表情で俺を見ていた。

「春日が居なくなって、菖蒲も姿を消したから…悲しかったのか?」

菖蒲は苦笑しながら俺の頭を撫でた。
昔と変わらない優しい手だ。

「ちげぇよ。俺はずっと好きなやつがいた。

そいつを悲しませねぇ為に彼奴を守るのに手を貸したんだ。

俺が姿を消したのは、タイミング悪く組の抗争や跡継ぎ問題が関わった時期だったからな…純を巻き込むわけにはいかなかったんだよ。」

菖蒲の瞳は俺を真っ直ぐ写していてぶれなかった。たから俺はその言葉を信じれた。

だけど、悔しかった。

菖蒲は俺をいつも守ってくれる。

だけど俺には守らせてくれないのだから。




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