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愛しい人
☆☆☆☆☆☆

菖蒲の高級車に乗り込み渡されたタオルで髪を拭きながらこの6年の話をお互いにした。

俺は服も濡れていたこともあって、飯は菖蒲の家で食べることになった。

ついた場所は高級感溢れるマンションだった。

なんでもマンション丸ごと菖蒲の物らしい。

勿論通された部屋は最上階。

何もかもが自分とかけ離れていて動揺の嵐だった。



俺は菖蒲に言われた通り先に風呂を借りて冷えた体を暖めた。

風呂から上がると旨そうな料理とワインが置いてあって、菖蒲はまたもや電話をしていた。

俺は取りあえずソファーに座って料理を摘まみ食いした。
やべぇー。重さんと同じくらい旨いな。

俺は感心しながら一口、二口と口に運んだ。
するとクスクスと笑い声が聞こえてそちらを見れば眼鏡をかけたインテリ系イケメンがいた。

おや?と俺が首をかしげると、イケメンは笑いを止めて挨拶をしてくれた。

「どうも。初めまして。
桐山の秘書兼龍神会若頭を勤めています、筧弥生と申します。」

おぉ。
ヤクザに見えねぇ。

「どうも。菖蒲には高校時代から世話になってる春海純です。」

頭を下げれば、またもやクスクスと笑い声。
頭を上げれば優しい瞳と目があったのでニッと笑いかければ筧さんも笑顔を返してくれた。

「料理を気に入って頂けたようで良かったです。」

その言葉に驚いた。

「筧さんが作ったんですか!?
贔屓目無しでうちの料理長に敵う奴は居ないと思ってたんですけど、筧さんの料理本当に美味しいですよ!」

俺が興奮しすぎて笑いながら話せば、筧さんは顔を少し赤くして嬉しそうに有り難うございますと返してくれた。

そこで電話が終わった菖蒲が戻ってきて、筧さんはお辞儀をして部屋を後にした。



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