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俺の頭から君が消えることなどない。

★臨也独白。静←←臨ぽい。シズ不在。





脳内を侵されたような感覚。
ああ、誰かが俺の居場所に入ってきた。
うっすらと目を開く。そして自嘲気味に笑う。

「また、シズちゃんの夢を見た」

彼が消えてから、もう一年が立つと言うのに。
未だ、俺の心は彼を求めているらしかった。



「よう」

軽快に声を掛けられたのが自分だと秒差で気付いて、彼が嫌そうに見ていた皮肉たっぷりの笑顔で振り向いた。

「やあ、ドタチン」

君に会えない寂しさは何で埋めればいい?それとも埋まるの?
もう、侵された脳は正常に動くことを知らないんだよ。
だから。だから。だから。
お願いだから。

「何してんだ、こんなとこで。…ああ、そうか静雄が居ないからか」

早く帰ってきてよ。
君のことを覚えているのは、おれたちだけなんだよ。

「そうだねえ」
「新羅も首無しライダーも探してるのに、な」

俺でさえ、君の情報をつかめないなんて、ね。
ねえ、何処にいるの。生きているの。死んでいるの。
声だけでも、聞かせてよ。
君が居なくなった、一年前。
俺は確かに君を殺したいと願っていた。
思っていたんだ。だから、殺せずに居なくなるのは意味が違うんだよ。

知ってた?

君が居なくなってから池袋は少しだけ噂になったよ。
あの「平和島静雄が死んだ」って、ね。
大体、なんで居なくなったの。君の上司にも話したけど、知らないの一点張りだしさあ。
あれは絶対知ってる反応なんだ、脅しても吐かないから殺してやろうかと思って手を出そうとしたらセルティに止められたよ。
大鎌持ってるんだもん、勝てる訳ないじゃん。俺はシズちゃん用に身体が動くんだから。

珍しく感情を露にした俺をセルティはやんわりと抱きしめた。
あ、これあとで新羅に何か言われるな、なんてぼんやり思いながら意識を落とした。
探して問い詰めるのに睡眠を費やしちゃってきつかったんだよね。
そんなことをぼんやりと思い出しながら意識をドタチンに戻した。

「静雄の消息は未だ知れず、ってか?」
「まあ、そうだね。ドタチンも探してるんだっけ?」
「ダチだしな」

ドタチンとシズちゃんの関係は友人。
さて、俺は?

「何か情報があれば回すから、ちゃんと寝ろよ」

あらま。
睡眠不足なのバレてる。
まあ、あんな夢を見るから、だろうね。
シズちゃんが俺の夢へと、居場所である家へと入ってくる夢。
タチが悪いったらないよ。
しかも夢の中のシズちゃんは俺を見てくれないんだ。
そんな、夢。
怖くて眠ることもしたくなくなった。
じゃあ、と手を振りながらドタチンと別れた。
俺は何をするでもなく、ぼんやりと足が赴くままに動いていたら、シズちゃんの家だった。
………俺、病院に行った方がいいんじゃないかな。

「もう、忘れろよ」

そう言った俺は、言葉と裏腹に涙を流していた。


終わり
100506
ざ、中途半端。
シズが出るまでしようかと思い長くなりそうだったので、打ち切り。
臨也が寂しがる話にしたかった。
続けようかな、



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あきゅろす。
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