ヤキモキ焼いてる君ほど愛しく思うものはない。 ★ベタベタな戦争と出歯亀来良組。 ほら、そんなに不貞腐れないでよ、折角の顔が台無しでしょ。え?やだな、そんな顔だけで選んでないよ。 ぼそぼそ、と声がした。 裏路地から聞こえてくる声は音量を抑えているのか、少ししか聞こえない。 僕と紀田くんは興味本意で近付く。 やっぱり気になるから。いざとなったら逃げればいい。そのときはそのときだ。 そっと影から覗けば、ああ、見たことを後悔してしまった。 紀田くんも眉間に皺が寄って溜息を吐いている。同じ気持ちだよ。 見た先にはあの、折原臨也と平和島静雄が居たのだから。 しかも、臨也さんが平和島さんの膝に座って正面から抱きついている。ご丁寧に腕まで絡めて。 これじゃあ何処ぞのバカップルではないか。僕も少し溜息を吐いた。 「紀田くん」 「なんだ」 「僕たち出歯亀と言うものになるんじゃないかな」 「まさしくそうだろうとも、ああこの俺が!有り得ない!」 「ちょっと静かにしてよ、バレたら無事じゃ済まないって」 「そう、俺たちの時間を邪魔しないでくれるかな、紀田くん、帝人くん」 「「!!」」 バッと上を見れば臨也さんがにーっこりと笑いながら、怒っていた。 ……生きて帰れるかな。紀田くんなんて真っ青だし。 僕は意を決して話しかけた。 「…言い訳ぐらいしても?」 「冗談以外ならね」 「…人間の習性をご存知かと思いますが、裏路地から話し声が聞こえたら気になりませんか」 「なるねえ、俺なら即割り込むほどには」 「そんな感じなのですが」 「ふうん、まあ俺たちもここで話してたのが駄目だったねえ、まあ今回は何もしないであげるよ」 やった! これで無事に帰れる!と思ったのもつかの間、臨也さんが酷く綺麗な顔で笑った。 「池袋に変な噂を立てたら、社会的に抹殺しちゃうからね…?色んな手を尽くして、存在ごと、ね」 釘を刺されると言うことを初めて体験した今日この頃。 僕は方針してる紀田くんを引き摺りながらその場を後にした。 もう興味本位で覗くのは控えよう、相手があの二人のどちらかと分かったら尚更逃げよう。 ★ 「ふふ、逃げちゃった」 「臨也」 呼び掛けに振り向いた臨也の顔は笑顔だった。 「何、シズちゃん」 「こっちこい」 「ふふ、シズちゃんってば焼き餅屋さん」 「うっせえ」 まさかあの二人に見られると思っていなかった二人だが、もう関係ないようである。 臨也を抱きしめる静雄に、抱きつく臨也。この二人の時間を裂いたものの末路など、知れているのに。 裏路地。 暗がりで二人は気付かなかったようだが、静雄たちの周りには屍累々であった。 その裏路地を溜まり場にしていた不良たちの末路。 暗黙のルール。 池袋で有名な二人には、手を出してはいけない。 片方に手を出せば、片方からの報復が待っているのだから…。 100413 いつ書いたっけな、コレ 公害カップル笑 [*前へ][次へ#] [戻る] |