6.
「あぁ……それと、これはお土産」
大したもんじゃないけど。と付け加えつつ、俺はサラとソフィーの二人にそれを手渡した。さっそくそれを開けたソフィーは、感嘆の声を上げて。
「わぁ……っ! これ、欲しかったネックレスだっ! どうしてわかったの?」
「ずっと見てたから。……それで良かった?」
念のために確認を取ってみれば、ソフィーが二度頷いてくれた。
「うんっ! ありがとう、おにいちゃんっ!!」
ここまで嬉しそうに言われると何だか照れくさい。どういたしまして、と告げてサラを見れば、未だネックレスを手に取ったまま無反応だ。いや、じっと見てはいるんだけど、特に何の言葉もない。……もしかして、やっぱり趣味が合わなかったりしたんだろうか。
「……サラ?」
「…………これは、」
どうしたんデスか。そう尋ねられて、どう答えるべきか思案する。というか、どう返事をすればいいんだろう。買ってきた、で、いいんだろうか。
「あー……お前に似合うかなぁと思って買ったんだけど……好みじゃない?」
恐る恐る質問してみれば、サラはやっぱり黙ったままだった。これは、何だろう。ひょっとして、返す言葉もないくらいに酷いものを買ってきたんだろうか。ソフィーに聞くべきだったのかなぁ……
悶々と考え込んでいれば、不意に「あの、」とサラが顔を上げた。
「ん?」
何? と聞いてみても、それきり言葉が返ってこない。……うーん、これはやっぱり俺がマズいことをしたんだろうか。他に理由らしい理由もないしなぁ……
「あー……別に、気に入らなかったら……」
「違います!」
いきなりの大声に、俺もソフィーもぱちくりとしてサラを見た。口癖の「デス」が抜け落ちてる。どうしたんだ、一体。
そうして否定した後、サラは「ええと」とか、「あのデスね……」とか、何か言い辛そうにしている。
「……ええと……?」
つまり、どういうことだ……?
俺が一人首を傾げていれば、ふとサラが俺に背を向けた。え、何だ。俺、拒絶されてる?
「……あのデスね、」
「うん」
「これは、貰っておくデスよ」
「そっか」
一応受け取って貰えるらしい。なら良かった。人安心して胸を撫で下ろせば、「だから、」とサラは言葉を続けて。
「……今度、これを付けて出かける、デス」
「うん」
「……デスから、」
急に振り向いたかと思えば、一瞬だけサラは口を噤んだ。けれどもすぐに開口すると、睨むように俺を見上げる。
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