ど ら ご ん @ チクチクと刺さる芝生もとい雑草を布団にして、ガチガチと歯を鳴らしながら目を覚ました。 潤む景色、木々の緑も青空もぼやけて、暑くて寒くてダルくて動けなかった。 ぐずぐず鳴る鼻は効かないし、日の光がぽかぽかと当たるものの肌寒く小さく丸まって、 そこでいつも暖かい赤いのが居ないことに気がついて、 棄てられたのか、と回らない頭でぼんやり考えた。 「ぅぐっ…」 喉に、気管に硬いパンでも詰まったかのような息苦しさ、詰めた息を吐き出そうとすれば嗚咽が漏れて ひどい、寂しさに襲われた。 しんじゃうんだ、どらごんがきえちゃった わたしがいらなくなったんだ。 ひどい ひどい さみしい ひとりぼっちで しんじゃうんだ。 違うことを考えたいのにそれしか考えられない。 憎みそうになる心に、それはお門違いだと、あれは野生の生き物で 人の思惑なんざ関係のない、誇り高い生き物なんだと頭のどこかから冷静な自分が切り捨てた。 しゃくりあげながら、辛うじて息をする。 怖くて怖くて、寂しかった。ただドラゴンが恋しい 泣きつかれて、閉じていくまぶた、 青々した芝が陰り意識が堕ちる前、ザッと地べたを踏みしめる靴音を聞いた気がした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |