21話 海賊船05
〜その頃のコウ〜
「カイルー! この荷物はこんでくれー」
「はいっ」
(お……重い……)
相変わらずバカ重たい荷物を運んでいた。
もうあまり時間はない。さっきから色んな船員の話を聞いていると、やはり船長が有力だ。
今日はいつもに増してご機嫌らしい。
きっと精霊が手に入って喜んでいるのだろう。
(本当に危険ならルーンが黙ってるはずないわね)
そう思い、荷物をまた倉庫に運ぶ。どうやって船長室に忍び込もうか...そう考え悩んでいる時、コウの耳に朗報が届いた。
「おい、船長がお呼びだぞ」
「え? 私……が?」
不思議に思ったが、これは又とないチャンス!
私は急いで船長室に向かった。
++++++++++
コンコン
「カイルです」
「ああ、入れ」
コウは静かに扉を開ける。そこには船長と男がいた。男の顔までは判らなかったが。
ふとテーブルの檻に目をやる。その中に黄色の鳥を発見した。
(――! 居たっ!)
「どうした? 早く来い」
「はっ……はいっ」
コウはなるべくルーンを見ないように、真意を悟られないように、慎重に行動する。
ここは言うなれば敵陣。その最中にいるのだから、ここでバレたら厄介だ。
「何用でしょうか」
「ふむ……どうだ? ユーリック」
隣に居た男が反応した。こいつはユーリックというのか。
いったい誰なのだろう。海賊の仲間かもしれない。
「ああ、上等だ」
「よしっ! 契約成立だなっ」
「?」
意味がよくわからないコウ。
船長はこちらを向き、にやりと笑った。それが妙に気持ち悪い。
「下の者からお前の事を聞いてな、「良い」新人がいる、と……お前はこれから――ドォォンッ!!何だ!?」
突然の爆風に、船が大きく揺れる。
船長も慌てて部屋から飛び出した。
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